初聴きディスクレポート

洋楽ひとことレビュー Vol.27(2011年9月)

9月に買った&借りたアルバムの、「一番最初に聴いたとき」の感想を紹介します。今月もいっぱい買った!いっぱい借りた!

で、今月は「あれ?今までと音のイメージが違う!」っていう驚きを与えるような作品が多かったですね。大概そういう作品は最初は戸惑いがあるので、「第一印象での評価を書く」というコンセプトのこの記事では星の数もちょっと少なめになってしまってますが、これらのほとんどは聴きこむにつれて、今では星がイッコ以上増えてます。変化を受け入れ、先入観を取っ払って聴くことで、純粋にその作品が楽しめるようになっていくんですよね。そんな心境変化も楽しんでる今日この頃。



<★の解説>----------------------
★★★★★今年の名盤上位20位以内確実!
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆普通に良作
★★☆☆☆若干気になる部分もあり。もう少し聴きこみたい
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
---------------------------




では今月も、さっそく「Album of The Month」からご紹介します。


【Album of The Month - Apparat / The Devil's Walk】
★★★★★
apparat_devils_walk

9月終了間際に届けられたこのアルバム、本当はこの枠にPepper Rabbitを載せるつもりでしたが、土壇場でこの作品がAlbum of The Monthに。

トム・ヨークもフェイバリットに挙げてたりするドイツ出身のテクノ・エレクトロニカ系アーティスト。ポスト・ダブステップ、チルウェイヴ、アンビエント、エレクトロニカ、シューゲイザーなどの要素を取り入れてるんだけども、それらのどの型にもハマっておらず、独特の音世界を構築しています。複雑なビートだったり粒子の細かいヒンヤリした電子音が鳴ってるんだけど、意外にもこのアルバムの中で一番大きな部分を占めてるのは温もりを感じさせる「うた」。エレクトリックな作品にも拘らずほぼ全編ヴォーカル曲で、ブックレットには歌詞も全部載ってるし、いかに彼が「うた」を大事にしているかがわかります。彼自身の、囁きともつぶやきとも取れる繊細なヴォーカルはジェイムス・ブレイクやジャスティン・ヴァーノン(Bon Iver)にも通じるものがあって、エレクトリックなサウンドも決してヴォーカルを邪魔しないように絶妙なバランスで鳴っています。

反復するメロディの高揚感はSigur Rosのそれにも近い感触。しかしサウンド的に一番近いのはトム・ヨークのソロ作「The Eraser」で、語弊があるかもしれないけどあの作品をよりキャッチーでメロディアスにした感じ。

アートワークは17世紀の宗教的な洋書の挿絵みたいだし、「The Devil's Walk」というタイトルも含めて何かしらの神聖なコンセプトも感じさせるので、今後各媒体でのインタビューやらレビューやらで読み解いていきたいと思います。









Pepper Rabbit / Beauregard
★★★★★
8月にセカンド「Red Velvet Snowball」を出したばかりのLA出身のサイケ・オーケストラル・ポップ・デュオによるデビューアルバム。ファーストとセカンドを同時に買いどちらも素晴らしかったものの、このファーストの方がわずかによかった。Local NativesやMGMTにも通じるサイケ感と、The Flaming LipsやMercury Revのようなドリーミーで優雅な管弦楽器の音、そしてキラキラしつつも時折切ないメロディが一体となって、これがデビュー作とは思えないほど完成度が高い作品。ウクレレが先導する曲や、柔らかいオルガンやメロトロンの音が入っている曲もあって、寝る前のひとときにちょうどいい一枚。





Pepper Rabbit / Red Velvet Snowball
★★★★★
そしてこちらが最新作。1曲目のイントロからして若干エレクトリックな要素も増え、ファーストからの成長も大いに窺えるのだけど、メロディの面でわずかに軍配を譲りました。とは言ってもこの作品も非常にメロディアスで、ピアノや電子音たちのキラキラしたフレーズが心を落ち着かせてくれたり、ウキウキと高揚させてくれたり。
キモかわいいジャケットが若干気になりますが。





Girls / Father, Son, Holy Ghost
★★★★☆
昨年のEP「Broken Dreams Club」を挟んでの注目のセカンド。そのEPと同様に今回もスタジオ録音をしているだけあって、ファーストとは異なるクリアな音質で、グリッターなロックンロールを鳴らしています。EPの時にその片鱗を見せた、トロピカル感とグラムロック感がさらに強化されて、仰々しくて泥臭いギターソロが飛び出したりするのも何だかうれしい。ファーストの時のような甘酸っぱくてキラキラとしたロウファイ・サーフ・ポップな感じはここにはなくて、キラキラというよりむしろギラギラしてさえいる。

「Vomit」は歌を取り除いたらまるでMogwaiのようだし、ボートラとして収録されている最終曲「Martina Martinez」はこのバンドの懐の深さというか音楽性の広さを如実に表していると言えるでしょう。特に前半はいろんな音楽の歴史の縮図みたいに曲ごとにくるくると音楽性が変わり、飽きさせない展開。1曲目からラストに至るまで、そのめまぐるしい展開はまるで映画を観ているような気分にさせます。しかも、後半はなんだか傷心モード全開な曲調(歌詞は読んでませんが。ジャケットに歌詞が書かれていますが、細かすぎて読む気がしません)。

ファーストと比べてどちらがいいかという点については、まだ判断に迷うところ。どちらも異なる魅力があります。





Bombay Bicycle Club / Different Kind of Fix
★★★★☆
Cajun Dance Partyの仲良しバンドということで2009年にデビューしたイギリスのバンドの3枚目。本国では初登場6位をマーク。実は1枚目と2枚目は聴いたことがないのですが、先行シングルの軽快なピアノがリズミックに跳ねる「Shuffle」にヤラレました。しかしアルバム全体としてはこの曲に匹敵する軽快さはなく、どのブームにもあてはまらないような普遍的な曲が詰まっています。The SmithsとかAztec Cameraのような、80年代~90年代初期のイギリスのネオアコ/ギターポップっぽい「湿っぽさ」を持っていて、いかにも英国っぽいと言えそう。





The Rapture / In The Grace of Your Love
★★★☆☆
古巣DFA復帰作となる5年ぶりの新作。すでに賛否両論巻き起こっています。変化ぶりに驚いて「最初に聴いた印象」では星3つとなってしまいましたが、これは聴くほどに評価が上がるアルバム。これまでの彼らからは想像できなかったほどにメロディアスで、空間を活かしたスカスカな音も「イマ」のDFAらしさが感じられます。特に1曲目「Sail Away」における高揚感あるメロディとニューウェーヴなシンセはこれまでの彼らには決してなかったし、今まで以上に伸びやかでセクシーなルーク・ジェナーの声からも、かつて脱退劇や、すわ解散という辛酸を舐めたバンドとの決別の意思表明のように聞こえます。

過去のスタイルを繰り返すことなく、ただただ前進する姿勢も見え、「2011年型のDFAサウンド」を定義する、何ともクレイジーでセクシーでクールなダンスアルバム。





Red Hot Chili Peppers / I'm With You
★★★☆☆
ここ十数年、サウンドの要だったジョン・フルシアンテを失ってどうなるかと思われたレッチリですが、僕はこの変化を大歓迎します。ラプチャーと同様にこちらも、「最初に聴いた印象」ではその変化ぶりに星3つに留まったものの、これは個人的には「Californication」に続く2番目のフェイバリット・アルバムになりそう。

普通30年もやってるバンドだと、スタイルが固定化されてつまらなくなってくものだし、実際にここ10年のレッチリはそうだった。でも新加入のジョシュ(WarpaintのドラマーやPJ Harveyのツアーギタリストとしても有名)が、非常にいい効果をもたらしてくれたと思うし、おそらく他のメンバーも「もうジョンはいない。これまでのレッチリサウンドに縛られず、自由にやろう」という気概を持って制作したのであろう各曲から伝わってくる、新しいレッチリスタイルの数々に、ほんとにうれし涙が出ます。

そんな中でも最も曲をリードしているのはフリーのうねるベースで、近作よりもファンキーさを増していますが、どれもいわゆるファンクナンバーにはなっておらず、純粋にかっこいいロックを目指しているところが大いに評価できます。





Dum Dum Girls / Only In Dreams
★★★☆☆
一本調子な感じも否めなかった昨年のファースト「I Will Be」から大いなる進化を遂げたセカンド。何と言っても音がグリッターになり、ヴォーカルが飛躍的に上手くなってます。Best Coastが西海岸を離れてNYに移り住んだような(ただし彼女らもカリフォルニア出身なのですが)雰囲気。「Coming Down」のようにミディアムな曲などバリエーションは増えてメロディも洗練され、特にこの曲における高音で伸ばす部分の歌声がとってもエモーショナル。

しかしほとんどの曲のドラムが「ドンタタドドタ」で若干ワンパターンなのと、4~6曲目に至る同じテンポ・似た曲調が続くのにはちょっと苦笑。





The Kooks / Junk of The Heart
★★★☆☆
3枚目のアルバム。過去2作は試聴でしか聴いたことがないのだけど、少しイメージが変わったかなという印象。アコースティックな曲やニューウェーヴ風な曲が大部分を占め、パンキッシュに疾走する曲はほとんど見当たらない。シンセのほんのり感やピアノの使い方はSmith Westernsの「Dye It Blonde」やThe Viewの「Bread And Circuses」にも通じるものがあるものの、それらと比べてしまうとやや印象が薄い気も。アルバムとしてはもう少し、前作収録の「Always Where I Need To Be」みたいな疾走感のある曲が欲しかったところ。





The Drums / Portomento
★★☆☆☆
サーフロックブームを牽引したバンドのセカンド。どの曲もとてつもなくキャッチーだしメロディがすごくいいんだけど、いかんせんどの曲も似てる…。テンポだったりリズムパターンが同じ曲が続くので、あまりノリ切れなかった。曲単位では全部いいので、曲順が違っていたら違う印象だったのかも。EPやファーストでは、例えば「Down By The Water」みたいなスローな曲がいいアクセントになっていて、作品全体の流れを作っていたしバラエティ感としてもいい効果も出していたけど、今回はそういう曲が1曲2曲でもあれば違ったのかも。

でも「I Don't Know How To Love」を筆頭に口ずさみやすくてライブでも盛り上がりそうな曲は多いし、「Searching For Heaven」のようなエレクトリックな異色ナンバー(この曲はまるでクラフトワークのようだ)もあり、聴きこむにつれて今後どう印象が変わるか楽しみでもあります。





Architecture In Helsinki / Moment Bends
★★☆☆☆
あまりよく知らずに借りたんだけど、ちょっと想像とは違ってました(笑)。RoyksoppやThe Whitest Boy Aliveのような、哀愁漂うシネマティックなダンスミュージックかと思っていたら、わりとベタな80'sオマージュなエレポップ。男性ヴォーカルメインですが、女性がヴォーカルの曲も数曲あって、こっちの方が好き。ダサさスレスレの80'sサウンドを敢えてダサいものとして忠実に再現していて、クラフトワークやニューオーダーというよりもWham!やCulture Clubみたいに聞こえる曲も。やりすぎてホントにダサい音もあるのが難点。





Lenny Kravitz / Black & White America
★★☆☆☆
60年代、70年代のソウルへの憧憬が漂うアルバム。全体的にメロウで、かつてのロックンロールな感じよりもLove & Peaceな感じの曲調が目立ちます。そう言えばこの人モータウンとか大好きだもんね。2曲目「Come On Get It」ではJBばりのシャウトもしているし、Jay-Zが参加した曲もあってなかなか多彩。

しかし残念なのはプロダクション。せっかくこういうソウルフルな曲調をやるのであれば、例えばデンジャー・マウス(ナールズ・バークレイ、べック)やマーク・ロンソン(エイミー・ワインハウス)などの、ヴィンテージ感をうまく表現するプロデューサーを使ったらすごくいい雰囲気のあるアルバムになったのに、と思います。





Puro Instinct / Headbangers In Ecstacy
★★☆☆☆
美人姉妹2人組によるサイケ・ソフトロック。サマソニにも来てました(観ていませんが)。フワフワとした酩酊サウンドをシュガーコーティング、それも綿菓子でコーティングしたかのような激甘サイケデリアな音世界に、一聴した後もなんだか夢でも見ていたかのような気分にさせられました。それだけにあまり印象が残らなかったのも事実で、アルバム全体の世界観が徹底的に統一されているせいで各曲のディテールが目立たず、どれも似たような印象も受けたのが残念。

しかしジャケットやタイトルなどから近親相姦レズビアンな背徳的イメージも連想させられたり、キュートなポップ感とサイケでビザールな雰囲気のミスマッチな違和感もこのアルバムの魅力の一つとなっています。ところどころに挿入される小曲「KDOD」シリーズはちょっと意味不明ですが(笑)。





神聖かまってちゃん / 8月32日へ
★★☆☆☆
夏休みの宿題的に、まず最初にリリース日が決められたアルバム。結論からすると、これまでの作品の中では一番好きではない。もちろんライブで聴いた曲や彼らのオフィシャルサイトで聴いたの子のデモバージョンで知ってる曲はそれなりにいいんだけれども、個人的に好きな「友達を殺してまで」の収録曲を再録する意味はなかったと思う。本人はあの作品はプロダクションが気に食わなかったので録り直した、というけど、再録バージョンは「友達を~」の劣化コピー版という感じ。ギターの音は何重も重ねすぎだし、各音も頑張って作り込みましたって感じがする。その割に、音のバランスやイコライジングがヘタクソで結果、普通の邦楽ロックバンドと同じ匂いがしてしまっています。もっと粗削りでレベル振り切れてるくらいなのが彼らの神髄だと思うのだけど。特にひどいのは「バグったのーみそ」で、これはデモバージョンと比べるとカッコよさはデモバージョンの1%にも満たないと思います。





Sloan / Select Singles 1992-2011
★☆☆☆☆
こちらのサイトでフリー(募金も可)配信されているシングル集。実は今までしっかり聴いたことがなくて、グッドメロディな普遍的ギターポップを書くことで定評のある彼らだけに、そのシングル集であればとてつもない良作であること間違いないんだろうと思って聴いたけど、なぜか自分には響かなかった。期待が高すぎたのかも?オーセンティックな音すぎて、もっと多彩な音が鳴っていてストレンジな感じがしないと、今の自分のモードには物足りないのかも。再び聴き返した時に、良さがわかることを期待したい。




■過去アーカイヴ
8月のアルバム感想

7月のアルバム感想

6月のアルバム感想

5月のアルバム感想

4月のアルバム感想

3月のアルバム感想

2月のアルバム感想

1月のアルバム感想
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今週の10曲

今週の10曲(2011/9/25付)

今週よく聴いていた曲や初聴きした曲を紹介します。秋のリリースラッシュに向けて、注目アーティストの新曲が続々と公開。そのあたり中心にお届けします。インディロック好きはチェックして損なしかもしれんですよ。



Demontre - "Reigning"
The CureやThe Horrorsなどからの影響を感じさせるダークでゴスなポストパンクバンド。待望の新曲PVが到着です。途中で爆発するシューゲイザーサウンドは圧巻。バンド名は本来は最後の「e」の上に「'」が入りますが文字化け防止のため外しました。




Big Troubles - "Sad Girls"
最近良作リリース続きのSlumberlandに移籍してのセカンドアルバムリリース。これがまた大化け。前作はいかにも宅録風なロウファイ作で、チープなリズムマシンとガシャメシャギター、リヴァーブかけすぎボーカルだったのに、今作は音質もよくなったどころではなく、クリーンなギターとメロディの良さで勝負。まるで別バンドです。グラスゴーの90年代ギタポバンドとか思い出させます。各メディアの年間ベストにも高い位置で食い込みそうな予感。




Veronica Falls - "Bad Feeling"
こちらもSlumberlandからのリリース。歌謡曲風な哀愁メロディやギターが日本人の琴線をくすぐります。個人的にはこの男女ハーモニーは、The Mamas & The Papasとか思い出しました。どちらも男女2人組ですし。




Letting Up Despite Great Faults - "Teenage Tide"
長いバンド名がペインズっぽいですが、曲の印象とかも遠からじ。キラキラとしたメロディアスなシューゲイズ・ギタポですが、こちらはエレクトリックな要素高め。6月にリリースされた「Paper Crush EP」が話題となっています。来るセカンドアルバムにも期待できそう。




DOM - "Things Change"
ネクストMGMTかネクストGirlsかってところを狙うDOMが新曲を発表。いよいよデビューフルアルバムリリースのアナウンス間近?ちょいシューゲイザーかつちょいクラウトロックなこの曲やEP「Family of Love」収録曲を聴く限り、とんでもなく素晴らしいアルバムになりそう。




Apparat - "Black Water"
ModeselektorとのユニットModeratやEllen Allienとのコラボでも知られるエレクトロニカ・アーティスト。が、エレクトロニカという枠では決して語れないです。シューゲイザー、ポストロック、ダブステップなどを内包しつつ、非常に抒情的かつメロディアスなポップスとして高く評価されそう。間もなくリリースの新作「The Devil's Walk」からの先行シングル。全曲試聴はこちらからできます。




Naked Hearts - "Animals We Were"
ちーたかも大好きな、グランジや90'sロウファイの空気をたっぷり吸い込んだブルックリンの男女2人組。10月にリリースされる新作から新曲公開です。




Jim Reid - "Black and Blues"
The Jesus And Mary Chainのジム・リードがソロ名義の新曲を公開。彼らしいメロディ展開と、アコギ×ノイジーなギターの組み合わせがJ&MC節全開、往年のファンにも気に入られそう。
Jim Reid - Black and Blues by jim reid



Times New Viking - "No Room To Live"
PVが凝ってて面白いです。オハイオ州出身の3人組ロウファイバンド、すでに5作目ですが、ほどよいロウファイ感とキラキラしたポップ感が絶妙。




R.E.M. - "Imitation of Life"
先日31年に及ぶ活動に終止符を打つことを発表。解散を惜しむ声がとても強く、あらためてその人気の高さと影響力を実感しました。僕はアルバムを1枚しか持っていませんでしたが、これを機にいろいろ聴いてみたいと思います。持っている唯一のアルバムから、とても大好きな曲です。




この2枚は絶対買い!




ライブレポート

ライブレポート:Chris Chuチャリティアコースティックライブ@原宿VACANT

The Morning Bendersのギター&ボーカル、クリス・チュー(Chris Chu)君による一日限りのアコースティックライブが9月13日に原宿VACANTにて行われました。


chris_chu


このライブは事前に会場にメールで申し込みをした、先着の数百名のみの招待制という結構プレミアム度高めなイベント。自分はツイッターで情報を知り、申し込み開始から40分後くらいに申し込んだので運よく行くことができましたが、申し込み開始当日のうちに定員になって受付は終了した様子。


会場となったVACANTは普段はライブスペースではなく、わりとトークショーやアート展、映画上映など、様々な形態のアートを楽しむイベントスペースであるらしい。余談ですがここは原宿の竹下通りを抜けてムラサキスポーツ脇の小道に入り、しばらくして左に曲がったところにあるのだけど、かつて自分がよく行っていたショップDEPT原宿店があった場所でした。いつの間に変わったんだね。


当日は20時開演。10分ほど前に中に入ると、建物の2階にある会場は壁も床もすべてフローリングで、裸電球のオレンジの光によって柔らかで暖かい雰囲気の広々としたスペースに、なんと古風な柄の座布団がたくさん。後方の壁際にはベンチも置かれていた。この座布団やらベンチに座って、なんだか会場に集まった人(やはり女性率高い)はとてもリラックスしたムードでチュー君(親しみを込めてこう呼ばせていただきます)の登場を待っていた。


会場にはステージのような一段高くなった場所はなく、ドアのある壁際にチュー君が座るであろうイスがポツンと一つ置かれているのみ。ぐるりとそのイスを囲む最前列の人はチュー君に手が届きそうな近さ。


定刻過ぎに、その非常口みたいなドアが開いてチュー君が登場すると、とりあえず無言で座りギターを抱える。演奏はサム・クックのカバー曲からスタート。木で囲まれた空間だからか、アコギの音との相性も良く非常に心地よく音が響いていて、弦の上を指が滑る時の「キュイッ」という音もクリアに、反響し過ぎない程度に響いていた。そしてチュー君の声はというと、これがもう安定感抜群なのだ。音程が本当に正確で、危なっかしいところが全くなく、時に絞り出すように力強く歌う部分もあれば、溜息のように優しく囁く部分もあり、CD音源の通りなんだけどCD以上にクオリティが高かった


続いての2曲目はThe Morning Bendersのアルバム「Big Echo」から「Promises」。CD音源の通り、タメのあるリズムもしっかりとアコギでリズムを取り、アコギと歌だけなのにまるでバンド演奏がそこで鳴っているかのような感覚も覚えた。途中、英語でオーディエンスとのコミュニケーションもあったのだけど、すべて英語であまり聞きとれなかった…。あれだけ日本語でツイートしていたので、日本語でのMCもあるかと期待していたのだけど。どうやらリクエストなども募っていた様子。カーディガンズの「Love Fool」リクエストしたかったな。


個人的には、ビートルズのカバー「Blackbird」がよかった。イントロの繊細なギターのフレーズを崩すことなく、本当に丁寧に一音一音発していて、なんだか原曲に対するリスペクトが感じられたし、他のカバー曲も原曲の良さを崩すことなく歌い上げていたと思う(いくつかの曲で突然あっさりと終わらせることも多かったけど)。また、新曲「Virgins」も披露。それからフリートウッド・マックのカバー「Dreams」では途中、チュー君のすぐ隣の壁際にいた若い外国人女性が立ってコーラスを添えていたけど、これもピッタリとハマって美しいハーモニーを奏でていた。噂ではチュー君のカノジョという情報もあったけど、あくまでツイッター上の噂なので、女性ファンの皆さんガッカリしないように…。


ファーストの曲とセカンドの曲、そしてフリー配信されたカバー曲集「The Bedroom Covers」などからバランスよく配されたセットリスト、いよいよクライマックスは名曲「Excuses」。この曲の「ダン ダラン ダラン ダラン」(←活字にするとなんかヒドイ)のコーラスをみんなでするのはとても楽しいし、ハッピーな気分になる。サマソニの時もこの曲をみんなでシンガロングしたけど、多幸感で場内が満たされてたし、あの一体感というか親密感は感動的ですらあったな。


演奏が一旦終了すると、チュー君は感謝のあいさつを述べた後、正面左右にお辞儀をしてドアを自分で開けて去っていった。アンコールで再び自分でドアを開けて入ってきたのだけど、この自分でドアを開け閉めして出入りするのはなんだか結構カッコ悪いものだ。やはりアーティストはステージにサッと出入りできた方がいい、などと思いつつ、アンコールは再びサム・クックの曲で「A Change Is Gonna Come」。あどけなさを残しつつも、渋みも艶も持った声の持ち主というのはそんなにいるもんじゃないけど、サム・クックのカバーがサマになる若手のギター&ボーカルという点でも、彼は本当に才能豊かで類稀なアーティストだと思う。


アンコール終了後、例のドアからチュー君が出ていくと、日本人女性がCD販売や東日本大震災の復興義捐金の案内をした。日本人ではないチュー君が、日本のためにこうしてチャリティライブをしてくれたこと自体がすごくうれしいし、本当に日本のことを愛してくれているんだなと思った。もちろん自分も、微力ながら募金させていただきました。


彼はサマソニから1ヶ月近く滞在してたし、彼がときどきつぶやく日本語ツイートは多くの人を和ませた。つい先日はJetlag=時差ボケが大変、とツイートしていましたが(笑)、また日本にぜひ来てほしい。そしてその時は、もうちょっと日本語でMCしてほしい!まあ、自分が英語をもっと勉強しろという感じですがね(笑)。


■SET LIST
Bring It On Home To Me (Sam Cooke)
Promises
Mother and Child Reunion (Paul Simon)
Cold War
Blackbird (The Beatles)
Virgins
Wet Cement
Dreams (Fleetwood Mac)
Waiting For A War
All Day Day Light
Damnit Anna
Crying (Roy Orbison)
Excuses

-encore-
A Change Is Gonna Come (Sam Cooke)



今回のアコースティックライブとは無関係ですが動画をば。
The Morning Benders - Dreams (Fleetwood Mac Cover)






今週の10曲

今週の10曲(2011/9/18付)

今週よく聴いていた曲や初聴きした曲を紹介します。最近買ったCDの曲などをいろいろと。



The Big Pink - "Stay Gold"
来年1月にアルバムリリース決定、さらに今年の12月には来日もする彼ら。待望の新曲が公開されました。アンセム「Dominos」を彷彿とさせる、高揚感溢れるナンバー。





Neon Indian - "Polish Girl"
チルウェイヴ/グローファイの代表的アーティスト。いろんなガチャガチャした音が入っている感じ、かつてのべックのようにも感じられます。煌びやかなシンセ音の影に隠れがちだけど、メロディーも素晴らしいです。





The Morning Benders - "Excuses (Yours Truly session)"
この映像はファン必見。アルバムの音源を忠実に再現というか、コーラス隊(一般のファンの人?)と管弦楽器隊を交えての完全再現セッション、圧巻の出来です。先日東京で行われたChris Chu君のアコースティックライブでも、この曲はもちろん披露。





Coldplay - "Princess Of China"
来月リリースの待望の新作収録曲。この曲ではRihannaがフィーチャリングされているそうです。これはライブからの音源で、Rihannaのパートはないようです。あと音質は悪いのでご容赦を。





Leona Lewis / Avicii - "Collide"
イギリスのオーディション番組「Xファクター」のシーズン3優勝者。いわゆるポップフィールドのシンガーですが、ピアノのリフが印象的な、静かに高揚するダンストラックはインディーロックやエレクトロ好きにも聴かれるべき。





Girls - "Martina Martinez"
評判のすこぶるいい新曲の中でもなぜかボーナストラックのインストをチョイスしてしまいましたが、それぐらいこの曲はすばらしいと思うのです。





The Rapture - "Come Back To Me"
リリースされたばかりの3rdアルバムより。ハイテンションなポストパンクサウンドを捨て、この曲では余計な音を排したクールでスタイリッシュなハウスに。





CSS - "La Liberacion"
フジロックでもこの曲をプレイしてくれてました。ギミックなしのパンク曲。こういう潔い曲もかっこいいし、アルバムにもバリエーションの幅を持たせています。





DJ Mehdi feat. Chromeo - "I Am Somebody"
先日不慮の事故により亡くなられました。R.I.P.





Red Hot Chili Peppers - "Factory Of Faith"
新作「I'm With You」収録曲。一聴した限りでは地味目ですが、ギターのカッティングやうねるベース、何だか今までとちょっと違うルーズなラップなど、この曲のかっこよさにようやく気付きました。





電子音の洪水

かっこいいアー写

The Coolest Pics 「かっこいいアー写」画像集 Vol.6【80's】

「かっこいいアー写」をぺたぺたするだけの特集記事、第6弾です。しかしこの特集は自分でもやってて面白いです。これまでに雑誌などで見たことがあるかっこいい写真を、ネットでアーティスト名を画像検索するんだけど、目当ての写真が見つからない代わりにもっとかっこいい写真がザクザク出てきて、写真を選びながら自分がアー写萌えしてるっていうね。そう、まさに萌え。僕はアー写オタクなのです。


今回のテーマは、「80's」。80年代に活躍したアーティストを取り上げますが、やはりこの時代のアー写は面白い。みんな個性的ですね。そんで基本的に派手かダークかの両極なんですな。では派手な方から行ってみましょう。


Culture Club
culture_club
ちょっと前までは、80'sと言えばニューロマに代表されるようにとにかく派手で煌びやかなイメージで…。ちょっと浮かれ過ぎてて今の時代にそぐわないって空気があって、「過去のブーム」感が強かったですけど、そんな浮かれた時代性を見事に具現化したのがこのバンド、と僕は勝手に思っています。今でこそ80年代の享楽的なメロディやレトロフューチャーなシンセサウンドは再評価されてますが、90年代は「浮かれすぎ」「ケバケバしい」なんて揶揄されたりも。80年代リアルタイムではどんなだったんでしょうかね。



Madonna
madonna
80年代を代表するポップスターと言えばマイケルとマドンナなわけですが、特にこの時代のマドンナはこういったアー写で、派手ではあるけど決して煌びやかではないというか、内面にダークさを秘めていた感じがします。それは背徳的なイメージという彼女なりの戦略なんだろうけど、この写真からにじみ出るセクシーさやちょっとサディスティックな雰囲気が好きです。



prince2
80年代のポップ・アイコンでもう一人忘れちゃいけないのがプリンス殿下。去年観たライブでもキレキレのパフォーマンスで現役感バリバリでした。



Guns'n'Roses
guns'n'roses
何かとお騒がせな話題に事欠かない、80年代不良キッズたちを夢中にしたこのバンド。今ではアクセル・ローズはイカついオッサンだけど、この時代はめちゃくちゃイケメンです。スラッシュも例のタレサンとモジャモジャヘア、そしてタバコふかし。かっこいいです。



Red Hot Chili Peppers
redhotchilipeppers
レッチリは、音楽は90年代後半以降の方が好きだけど、アー写はヒレル・スロヴァク在籍時のハチャメチャな感じの方が好き。この時代のアー写はほとんどすべて「4人全員がバラバラにアホなことをやる」っていう流儀があって好きです。他にもかの有名な、ソックスだけを身に付けている(しかも足にではなく)というアー写もありますが、このブログの健全さを保つために掲載を見送らせていただきました(笑)。



Joy Division
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ここからはガラッと雰囲気を変えて、イギリス中心にややダークなモノクロ写真を。まずはポストパンク・ニューウェーヴを代表する彼らですが、この写真は一番地味なメンバー、スティーブン・モリスがやたらとカッコよく見えます(胸毛もすごい)。とはいえ、やはりイアン・カーティスのオーラ滲み出るカリスマ感は別格。



New Order
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で、そのイアン・カーティスを失い、ジリアン・ギルバートが加わってスタートしたのがニューオーダー。彼らとの出会いについてはこちらの記事でも触れています。あっ、使ってる写真も同じでした。



The Stone Roses
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80年代のイギリスで最も偉大なバンド、これに異論をはさむ人はほとんどいないんじゃないでしょうか。とにかく全員カッコいい。フードを深く被り過ぎでもはや誰だかわからないレニも、正面をキッと見据えたジョン・スクワイアも激クール。



The Jesus And Marychain
jesus_and_marychain
当時「最も凶暴なバンド」として、ライブでは毎回暴動が起きるなどヤバいイメージが付きまとっていた彼らも、実はアラン・マッギー(クリエイション・レコーズ)によって作られたイメージ戦略だったんですね(というのが、映画「アップサイド・ダウン」を観てわかりました)。バーストしたヘアスタイルのリード兄弟の後ろでナイーブな表情で佇んでいるのは、ご存じ現プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー。



The Smiths
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モノクロのコントラストが強すぎ、光の当て方が劇画タッチなこのアー写、モリッシーはボサボサの髪の毛に、虫食いみたいになってるダサいセーター。なのに何でこんなにカッコよくて、オーラが出てるんだろう。



The Cure
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今回たくさんのモノラル写真がある中で、彼らほどモノラルが似合うバンドはいないでしょう。このアー写に代表される彼らの耽美なイメージが日本の90年代ビジュアル系バンド(のアー写)に与えた影響は大きいと思います。



Cocteau Twins
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Massive Attackの「Teardrop」にボーカルで参加したことでも有名なエリザベス・フレイザー擁するバンド。彼女の、透明感がありつつもシャーマニックなボーカルは唯一無二。パンキッシュな髪型も素敵です。



Human League
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Little Bootsのデビューアルバムで彼女とデュエットもしたことがあるフィル・オーキー率いるシンセ・ポップ・バンド。ちょっとダークだけどキラキラしたサウンドは、アー写とともにいかにも80年代的。最大のヒット曲「Don't You Want Me」は全米・全英ともに1位を獲得しています。



Pet Shop Boys
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ラストはポップにシメます。やはり80年代はMTVによってポップ・ミュージックとポップ・アートが混然一体となって、ポップ・カルチャーを形成していった時代だと思うのです。そんな中で、アーティスト性と大衆性の両方を備えた彼らはやはり偉大で、だからこそ80年代当時から現在に至るまで、多くのファンを魅了してやまないのでしょう。そして彼らは毎回、ヘンテコなアー写で楽しませてくれますね。ちなみに僕にとっては、彼らは最初に音楽に興味を持つきっかけとなったアーティストでした。



次回のテーマは、たぶん70年代でやるかもです。
プロフィール

PUBLIC IMAGE REPUBLIC

Author:PUBLIC IMAGE REPUBLIC
聴いた音楽の感想、リリース情報まとめ、ライブレポートなど

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