00年代ベストアルバム

Back To 00's - 「00年代の名盤」を1年ごとに振り返る(2000年編)

僕は、70年代の末に生まれ、80年代に音楽に興味を持ち、90年代に、今へと繋がる「ロック」の世界に目覚めました。

なので、2000年から2009年までの「00年代」のロックというのは、初めてリアルタイムに実体験したディケイドだったわけです。10年と聞くと長い年月のようですが、10年前に好きだった音楽は今なお新鮮で色褪せていません。時代を切り取り、社会の光と影を投影した作品でありながら、普遍的なメロディを持つ音楽が長く聴かれ続けるということなんでしょうね。

60年代のビートルズの狂騒も、
70年代のパンクの喧騒も、
80年代のニューウェーブの勃興も、
90年代のグランジの衝動も、

リアルタイムで体験できなかった僕を含めた世代は、どんな体験をしてきたか?を、2000年から1年ごとに、名盤とともに振り返りたいと思います。全10回。第一回目の今回は、「2000年」です。


2000年の名盤Best11
GrandaddyTheSophtwareSlump

01 Grandaddy - The Sophtware Slump
02 Sigur Ros - Agaetis byrjun
03 Badly Drawn Boy - The Hour of Bewilderbeast
04 The Delgados - The Great Eastern
05 At The Drive-In - Relationship of Command
06 Radiohead - Kid A
07 Primal Scream - Xtrmntr
08 Yo La Tengo - And Then Nothing Turned Itself Inside-out
09 Godspeed You Black Emperor! - Lift Your Skinny Fists From Antennas To Heaven!
10 Doves - Lost Souls
11 Wheat - Hope And Adams



2000年当時記録していた個人的な年間ベストを元に、当時リアルタイムで聴いていなかったものを足して決定しました。

2000年と言うと、何だかロックシーンが停滞していたなんて表現をよく目にしますが、そうでしょうか?僕はそう思いません。確かにメインストリームというか、王道のロックシーンでは目立った動きはなかったかもしれませんが、この年のエレクトロニカ/ポストロック/音響系/アブストラクト/エモなんかのシーンは、非常に活気づいていたと記憶しています。この辺りのジャンルから、様々なサブジャンルが派生して、より実験的で刺激的なビートを持った音楽がたくさん生まれました。

また、2000年には記念すべき第一回目のサマーソニックが開催されましたが、2000年の名盤Best11にも入っているSigur RosやAt The Drive-Inが出演。クリエイティブマンは次の時代の動きを敏感に察知していたことが伺えます。

サマソニと言えば、この年の一番の後悔はAt The Drive-Inを観なかったこと。当時、あんまりうるさいロックは好きではなかったので(上のベスト11の他のラインナップを見てもらえればわかると思います)、大して気にしていませんでした。彼らのことを好きになったのは、2年くらい経ってからだったかな。もうその時にはすでに解散して、オマーとセドリックはMars Voltaとして活動していました。

Sigur Rosはサマソニ出演発表時、世間的にはまだ「誰?」的な存在でしたが、2000年の頭に"Ny Battery"のシングルが出た時に初めて知り、タワーレコードで取り寄せをしたものの入荷せず、いろいろな輸入盤店を探してやっとアルバム「Agaetis byrjun」を入手。そしてサマソニに挑みましたが、この年の個人的ベストアクトとなりました。照明をうまく使ったステージングと、ヴァイオリンの弓でギターを弾くジミー・ペイジ奏法、そして唯一無二のエンジェリックな歌声に引き込まれました。自分がアルバムを入手してしばらくしてから、タワレコなどでもぽちぽちアルバムが入荷するようになり、苦労して探し回ったのは何だったんだ…という思いをした苦い経験があります(笑)。

あと当時、「デイヴ・フリッドマンのプロデュース」というフレコミに弱くて、ピアノや管弦楽器を多用した壮大なオーケストレーションとバンドサウンドとの融合、ダイナミックなドラムサウンドにヤラレっぱなしだったので、そこら辺がよく顕れてると思います(4位と11位がフリッドマン作品)。

一般的に、この年の大事件(ロックシーンの、ですよ)と言えばRadioheadの「Kid A」でしょう。賛否両論巻き起こし衝撃を与えつつも、僕は当時Radioheadが嫌いでした。というか「Kid A」で嫌いになったんですけどね(笑)。これも、よく言われた、「彼らはロックバンドだったはずのに、打ち込みを取り入れてメロディも捨て去り、何だか難しい方向に行ってしまった」的な理由で嫌いになったんではなくて、彼らが「時代の最先端を行ってる、これを理解できない人は音楽センスなし」みたいな、彼らが神格化されてる風潮が大嫌いだったんです。そういう風潮作り出したのは、某音楽雑誌の編集長(国内盤でライナー書いてる)が原因だと思ってるので、僕はこの人も嫌いなんですけど。

「Kid A」の描き出した音世界やビートは、Aphex TwinやBoards of CanadaやAutechreあたりを聴いてる人からしたら、特に真新しいものではなかったと思います。「ロックバンドがそういうことをした」って点は評価されるべきかもしれないけど、音そのものに新鮮なものは感じられなかったです。でもこれがわからなかったらダメみたいな風潮に世間がなってきて、なんかもう、レディヘレディヘうるせーよ、おれは嫌いなんだよ、って感じになっていました。そんな思いも、翌年リリースのシングル「Pyramid Song」を聴いて吹っ飛ぶんですけれども。


で、この年で一番ファイバリットな1枚となった、Grandaddyの「The Sophtware Slump」は、アメリカはモデスト出身の5人組によるセカンドアルバム。97年のファーストでは、PavementやGuided By VoicesのようなUSローファイ・ロックにぶっ壊れたようなキーボードサウンドを散りばめたインディバンドでした。ところがこのセカンドで大変身。「2001年宇宙の旅」や、David Bowieの「Space Oddity」などへのオマージュを衒いもなく感じさせる、壮大なSF感を持ったコンセプチュアルなアルバムとなりました。特に圧巻はオープニングの"He's Simple, He's Dumb, He's the Pilot"。約9分に及ぶ、全5,6パーツにもなる、まるで宇宙旅行のような組曲です。歌詞は、宇宙空間を永遠にさまようことになった宇宙飛行士が、だんだん小さくなっていく地球に思いを馳せるというストーリー。他の収録曲も、自分が発明した何でも言うことを聴くロボットが、留守中に酒を飲んで壊れてしまうストーリーだとか、いろいろ考えさせられる詞の世界。世の中の便利なマシンや文明と、それに比例して汚れていく地球の環境。人口と自然を対比させながら、悲哀にも満ちた優しい声でジェイソンが頼りなく歌う。その悲哀がアルバム全編に満ちていて、統一感のある作品になっています。

"The Crystal Lake" by Grandaddy



彼らはこの後、2枚の素晴らしいアルバムを残し、解散してしまいます。この2枚のアルバムは、(おいおいこの記事で書きますが)いずれもリリース年のBest11に入ります。そう言えば彼らの、唯一の来日公演はこの年のサマーソニック。ほぼ最前列で観ることができた僕は、すごくラッキーでした。


(余談)
同じくこの年のサマソニに出演したColdplayは、まだアルバムデビュー前で、インドアステージの朝二くらいの出演でした。そしてクリス・マーティンが投げたタオルを、何と僕がキャッチ。これがなかなか質のいいタオルで、もう10年以上、バスタオルとして今でも使っています(笑)。ありがとう、クリス。
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