ライブレポート

ライブレポート:Akron/Family@渋谷WWW

7月6日(水)に行われたAkron/Familyジャパンツアーの東京公演に行ってきました。彼らのライブを観るのは初。しかも前回来日の、Deerhunterとのカップリングツアーでのライヴは大絶賛の声を多数耳にしていたので、個人的にはかなり楽しみにしていました。

akronfamily


今回は、ジャパニーズ・ノイズ界のみならず、世界中のアーティストからもリスペクトされている灰野敬二が率いるバンド・不失者との対バン公演。が、まずその辺の情報を僕が知ったのは公演後でした。灰野さんについては、名前は知っているしノイズ界では著名であることも知っていたけど不失者については何も知らず、ノイズ・ミュージックに関しても造詣がほとんどない状態だったし、あくまで「前座扱い」と考えていたので、「前座のバンド、うるさいし長いなあ」と思ってしまったことは大変申し訳ない、失礼なことをしてしまいました。


そんなわけで、これはずっと聴いていたら肝心のAkron/Familyまで体力が持たん!ということでバーカウンター付近で休憩。たまに扉が開いて漏れてくる音楽は、まさにノイズ・インプロヴィゼーションの応酬(でも、ちゃんと聴いていない身分なのであんまりこの辺詳しく書くのは止めときます)。


約1時間半に及ぶ不失者のライヴに続いて30分のセットチェンジの後、会場BGMのレッチリが流れる中で登場したAkron/Familyのメンバー3人。相変わらず山とか好きそうなルックス(キャップ、ヒゲ、長髪、坊主、メガネetc.)でした。メンバーが登場してもフェード・アウトする気配のないBGMに、開口一番「We Are Red Hot Chili Peppers!」と言ってオーディエンスを湧かせ、「ギヴィラウェイギヴィラウェイギヴィラウェイナウ」とオーディエンスとシンガロングを始めるメンバー。


そんなリラックスした雰囲気の中、続いてサンプラーから繰り出される様々なノイズや鳥のさえずり音など、混沌とした状態で演奏スタート。3人で出しているとは思えない音圧で内臓がズンズン震えました(特に自分は右側のスピーカー近くにいたので)。3人のコーラスワークは音源ほどハーモニー豊かではなかったものの、エネルギッシュなサウンドで場内圧倒。さらにコーラスと、人差し指を立てて右手を挙げながら体を揺らすという動きをオーディエンスに求め、全員で歌いながらユラユラ。自分は3分ほどで腕が疲れて挫折!あれは結構長時間はツライ…。


そしてこの日最もヒートアップしたのは、開始から30分ほど経過した時点でギターのセス(長髪&メガネ&ヒゲ)がガムテープを取りだし、それを最前の柵に結ぶと客席へと乱入!ガムテープを持ったまま最後部席まで行き、ステージから最後列までガムテープで繋げるという奇抜なパフォーマンスを披露。きっと、「みんなは繋がっている」とかなんかのメッセージなのかな…と思いつつ。セスはちょうど僕のいたところを通ったので、ペタペタ触りつつ僕もガムテープを持って笑顔でハシャイでました。


そこからは怒涛のノイズ・タイム。灰野さんが再び登場し、ノイジーなギターをかき鳴らし、アクロンのメンバーもサンプラーやギターやベースで様々なノイズをブチかましました(この「ブチかます」は最適な表現だと思います)。このノイズ・インプロヴィゼーション・セッションは約1時間に及んで延々と披露。僕を含めた灰野さんをよく知らないオーディエンスがポカーンとし、灰野さん好きなオーディエンスは「奇跡のコラボだ!」と熱狂するという、不思議な空間でした。


灰野さんファンはどう思っていたか知る由もありませんが、おそらくAkron/Familyのアルバムの曲をもっと聴いて踊りたい、というオーディエンス(自分含む)が「おいおい…これいつまでやるの…終わる気配ないけど(汗)」と思ってからそれなりに時間が流れた頃、勝手な想像ではありますが、アイコンタクトでノイズ・ジャムを終わらせようとするアクロンメンバーに対し、何かに取りつかれたかのように一心不乱にギターをかき鳴らす灰野さんはそのアイコンタクトには気付かず、セスが「あの…灰野さん、そろそろ終わりで」と灰野さんに耳打ちすると、ようやくギターをおろし灰野さん渋々退出、という図に見えました(笑)。でも実際は、灰野さんをリスペクトするアクロンのたっての要望でこのコラボが実現し、時間無制限でのプレイをリクエストしていたようなので、アクロンのメンバーも大満足だったのではないでしょうか。


さて、灰野さんが抜けるとまたアルバムの曲に戻ったのですが、みんな1時間近く突っ立っていたせいか若干オツカレ気味。フロアー狂乱必至・ライヴのハイライトになるはずの最新作オープニング曲"Silly Bears"が飛び出しても、フロアはおとなし目でした。音が割れ気味だったPAのせいもあるかもしれません。ギターやベースの音をバーストさせることである種のカタルシスを生みだしてはいたものの、混沌とし過ぎてノリきれないというオーディエンスがいたという見方も、あながち間違いではないように感じました。ほどなくして本編が終了し、アンコール2曲(ドラムの人がメインボーカル務めましたが、一番歌がうまかった!)を含めての1時間50分に及ぶライヴ終了。


今回のライヴでのAkron/Familyメンバーは完全にノイズモード。彼らが元々備えていたその要素が好きでこの会場に来た人たちは、不失者も観れたし、アクロンと灰野さんの共演も観れ、満足いくものだったのかな、と思います。ただ、彼らのポップ・サイドに惹かれ、アニコレなどに通じるものを感じて集まったインディ・ロックファンにとっては、少し不完全燃焼なライヴでもあったのかなという気もしました。でも、最新作のアートワークに描かれた火山のように、大地の鼓動や大自然に対するリスペクトを感じさせるダイナミックなライヴは圧巻。この次はぜひ、来年でいいのでフジロックやメタモルフォーゼなど野外で観たい!
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