初聴きディスクレポート

洋楽ひとことレビュー Vol.26(2011年8月)

8月に買った&借りたアルバムの、「一番最初に聴いたとき」の感想を紹介します。前半こそ夏フェスモードでしたが、中盤以降はまたいろいろと買いあさりました。このところめぼしいリリースは落ち着いてきてるので、旧譜とかも掘り下げてみました。あとはフリーで配布されているアルバムもいくつか落として聴いてました。それにしても今回はなぜかやたらと文章が長くなってしまった(汗)。


■過去アーカイヴ
7月のアルバム感想

6月のアルバム感想

5月のアルバム感想

4月のアルバム感想

3月のアルバム感想

2月のアルバム感想

1月のアルバム感想

<★の解説>----------------------
★★★★★今年の名盤上位20位以内確実!
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆普通に良作
★★☆☆☆若干気になる部分もあり。もう少し聴きこみたい
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
---------------------------




では今月も、さっそく「Album of The Month」からご紹介します!


【Album of The Month - Givers / In Light】
★★★★★
givers-in-light

ルイジアナ出身の5人組バンドのファースト。Dirty ProjectorsやVampire Weekendと比較されがちだけど、確かに細部まで凝りまくった各楽器のアンサンブルや男女の伸びやかなコーラスは複雑に絡み合っていて、Dirty Projectorsのように知性的。だけどそこに、Vampire Weekendのようなわかりやすいポップさがプラスされることで、どの曲も非常にキャッチーに仕上がっています。プロダクションも秀逸で、特にドラムの音はデイヴ・フリッドマンが担当したかのようにダイナミック。フルートやサックス、パーカッションなどいろんな楽器が加わりつつも、それぞれの音がクリアにバランスよく配置されており、ファーストアルバムとは思えないほどのクオリティ。紅一点のティファニーちゃんは、ちょっと田舎臭いアメリカ娘って感じで好感が持てます。





CSS / La Liberation
★★★★★
ブラジルはサンパウロ出身の5人組によるサード。自分はセカンドにおける、メロディに重点を置いた普遍的なポップ路線が好きだったのですが、今作では1stのパンキッシュでエレクトロな要素と、2ndでの普遍的ポップサウンドが見事に結実した作品に仕上がっている感じました。と同時に、フジロックで観た彼らは間違いなくライブバンドに成長していて、かつては長引くツアーに疲弊して活動を休止していた痕跡はどこにも見受けられないほどに、ロックンロールを楽しんでいる感じがこのアルバムからはヒシヒシと伝わってきます。「I Love You」、「Hits Me Like a Rock」などが象徴する、陽性に弾けたエレクトロ・サウンドは今後の方向性を明確に示しているし、かと思えば表題曲のように余計なギミックなしでパンキッシュに突き進む曲、はたまたエキゾチックな香りのする南国っぽい曲もあるあたり、おそらくはこれまで養ってきた知性と遊び心を存分に発揮しながらも、スタイルに捉われずに自分たちのやりたい方へ突き進もうという意思がはっきり顕れているように感じられました。つまりは、「La Liberation=解放」とは、これまでのパブリック・イメージや過去の苦難(マネージャーによる金持ち逃げ事件とか)との決別の意思表明なんじゃないでしょうか。ちなみに、国内盤と輸入盤とでは曲順が全く異なるのでご注意を(*1)。
9/1追記:国内盤と輸入盤で曲順が異なるというのは、誤った情報でした。参照したサイトの表記が間違っていたようです。ごめんなさい。




Washed Out / Within & Without
★★★★☆
EPでチルウェイヴを世に知らしめた存在でありながら、他のチルウェイヴ・アーティストが2作目を出し始めたでタイミングでようやくリリースされたファースト。同ジャンルのMemory TapesやToro Y Moiらがセカンドでネクストレベルに突入し華麗なポップ化を図る中、Washed Out=Ernest Greene青年の一手は自然と、期待と注目が集まりました。が、フタを開けてみると、音的にはあくまで正統派チルウェイヴ・マナーに則った作品。でも同時に、すごく驚きました。というのも、EPではソウルやファンクのリズムをサンプリングして、どこか内省的な雰囲気も漂っていたのに、今作ではキラキラしたバレアリックなシンセが前面に出ていて、すごく開放的な音になっていたから。少なくとも、ベッドルームで聴くよりは太陽のまぶしい海辺で聴きたいような、そんなサウンドになっています。フジロックで観たパフォーマンスは、イメージと360度違ってアクティブで驚きましたが、つまりこのアルバムは、フルバンドでのライブ活動によって外に開かれた彼の心情をよく表しているように思えます。




Beach House / Devotion
★★★★☆
昨年の3rd「Teen Dream」も素晴らしかったし、フジロックでのパフォーマンスもよかったので過去作も掘り下げてみました。この2ndも、3rd同様に白昼夢のような浮遊感と甘いサウンドで優しく包み込むような作品で、彼らが3rdで急激に変化して評価されたわけではないことがわかりました。今はわりとドリーミーなサウンドがブームだけど、彼らは何年も前からこういったサウンドを貫いてきたということで、まさに時代が彼らに追いついたという感じ。




Dom / Family of Love
★★★★☆
EPとしては昨年の「Sun Bronzed Greek Gods」で話題を呼び、ネクストMGMTの呼び声も高い彼らが待望のデビューアルバムに向けてセカンドEPをリリース。サーフロックやサイケ、エレポップを変幻自在に取りこみつつ、曲によって全く異なる印象を与えます。そんな中でも、メロディはGirlsやMGMTばりにキャッチーなので、来たるデビューフルアルバムがとても期待できそうです。5つ星でもいいくらいだけど、EPということでアルバムへの期待を込めた4つ星。




Toro Y Moi / Underneath the Pine
★★★☆☆
こちらもチルウェイヴの代表アーティスト。1stは好きになれなかったのだけど、2ndはチルウェイヴの枠を飛び越えてソウルフルでファンキーに変化、ということで評判がよかったのでゲットしてみました。特にボーカルのハーモニーはビーチボーイズを思わせるものがあったし、ディスコファンク的なアプローチとアンビエントな音響という、一見相反するものをうまくミックスして、70年代のアンダーグラウンドなディスコで鳴ってる音楽みたいで新鮮。チルウェイヴってリヴァーヴなんかの音響的な意匠に逃げてしまって、歌やメロディはないがしろにしがちなイメージもあったけど、Weezerが好きらしいことも納得な、全体的にとてもメロディアスなアルバム。




Wolf Gang / Suego Faults
★★★☆☆
シングル群で話題を呼び、「ひとりMGMT」なんて呼び名も付いたWolf Gangのデビューアルバム。シングル「Lions In Cages」とか大好きだし、何よりMGMTの1st同様デイヴ・フリッドマンがプロデュースということでアルバムの期待度も絶大だったんだけど、これは肩透かし。シングル含め数曲はとてもいいんだけど、他の曲のインパクトは弱いし各曲のクオリティにバラつきが感じられました。また、アルバムとしてのトータル的な世界観も完成には至っておらず、フリッドマン効果もあまり発揮できていない様子。ソロ・アーティストで新人ということで、まだまだ表現力に未熟なところが多かったのかも。フリッドマンはそれをまとめ上げて、壮大なオーケストレーションとダイナミックなドラムサウンドでアーティストの魅力を最大限に引き出す天才だけど、今回はそれがうまく発揮できていないように感じられました。でもおそらくこれに伴うツアーで、バンドアンサンブル的な部分が補完されていくと思うので、次作に大いに期待。




Computer Magic / Spectronic EP, Hiding From More of Our Time EP, Hiding From Our Time EP
★★★☆☆
80'sでSFちっくなエレポップサウンドが魅力、ダンジーちゃんのかわいらしいルックス声も相まって音楽ブロガーの中で話題となった1人宅録ユニット。彼女のサイトで3枚のEPがフリー公開されていたのでDLしてみました。まとめて聴いていると少し冗長な曲があったり、何の変哲もないフツーの曲もチラホラありますが、後ろの方で小さくなっている電子音などヘッドフォンで聴くといろいろな発見があって面白いです。デビューアルバムは今年の年末か来年頭には出るそうで、こちらは彼女の魅力を凝縮した粒ぞろいの名曲を集めてほしいものです。
ちなみに、この3枚のEPはすべてこちらからフリーDLできます。
Spectronic Hiding From Our TIme Hiding From More of Our Time



Fountains of Wayne / The Cookie Jar
★★★☆☆
彼らの最近のB面曲やボーナストラック曲など全17曲もの楽曲をコンパイルしたアルバムがフリーDLされました。1分台の短い曲も多いけど、どれもメロディはFOW印。特にThe Kinksのカバー「Better Things」の出来がとてもいいです。ダウンロードはこちらから。



Brandon Boyd / Wild Trapeze
★★★☆☆
去年、ひっそりと自主制作で数量限定リリースされた、Incubusのイケメンボーカリストによるソロ。ブランドン本人によると思われるドローイングが簡素な紙ケースに印刷されているだけのパッケージで驚き。音の方は、Incubusの最新作のように静かでメロディ重視の歌い上げ系かと思いきや、かつてのIncubusのように激しい曲も多いです。ただ、やはりメロディ中心に書かれていて、非常に聴きやすいポップな作品。




Standard Fare / The Noyelle Beat
★★★☆☆
Los Campesinos!ばりの男女混声・疾走ギタポ。ギターの音がジャキジャキしててすごくかっこいい。ただ、全体的にフックが弱く、1回聴いただけではあまり印象に残らなかった面も。メロディもキャッチーではあるけど何かもう一つ個性が欲しいところです。聴きこむにつれて、いいところが見えてきそうな気はします。




The Horrors / Skying
★★☆☆☆
前作はポーティスヘッドのジェフ・バーロウを迎え、ダークでシューゲでクラウトロック・マナーのハンマービートを多用し、音楽メディアからも好評価を得たし、自分も大好きでした。今作もシンセを前面に押し出した点は前作を踏襲したと言えるものの、ダークさは消えむしろ明るく開放的。ビートはミディアムテンポが多いです。メロディアスな部分はしっかりあるんだけど、少し中途半端にも感じられました。ミディアムで明るい感じのシンセをまぶせるなら、メロディはもっともっとよくないと映えないのでは?そんなわけで、進化する姿勢は評価したいのですが、グルーヴと高揚感を身に付けた代わりに、自分的にはツボだったダークかつビザールでノイジーな感じが薄れたのは残念。




Blondie / Panic of Girls
★★☆☆☆
70年代から活躍するNYのニューウェイヴ・バンド、21世紀に入ってからの2作目。シンセが入りまくりのエッジィなパンクサウンドは健在で、「The Tide Is High」に似てるレゲエナンバーや、「Girlie Girlie」みたいなレゲエスタンダードのカバーも収録。でも、終盤のジプシー系の曲は蛇足な気も。




School Knights / All Dawgz Go To Heaven
★★☆☆☆
デンバーの5人組Weed Diamondのギタリスト、Michael Steinによるサイド・プロジェクト。ジャケット写真が衝撃的です。90'sのシアトルのカレッジバンドのような、ノイジーでフリーキーな音。ただ、そのように感じられた原因の一つがプロダクションの悪さであり、ドラムの音が薄っぺらくて迫力ゼロ。もう少し立体的でダイナミックな音になっていたらカッコ良かったと思います。ダウンロードはこちらから可能です。
SchoolKnights



Vitalic / Flashmob
★★☆☆☆
ソニックマニアでのVミラーライブがとてもよく、この時にかかっていた曲で知らない曲はセカンド(本作)の曲かな?と思って借りて見ました。が、やはりそこはライブマジックというやつで、1stアルバム収録のキラーチューンに敵うものはここにはナシ。メロディラインはやはりVitalic印のちょっとメランコリックなものが大半ですが、「La Rock 01」や「My Friend Dario」に匹敵するパンクさがなかったのが寂しいところ。




Beyonce / Dangerously in Love
★★☆☆☆
今や世界を代表するディーヴァ、ソロ1作目。70年代のソウルグループThe Chi-Lites(うちの母が大好きでした)の曲のホーンセクションをサンプリングした大ヒット「Crazy In Love」目当てでしたが、この曲はやはり今聴いてもかっこいい。でもアルバム後半に行くにつれて曲がメロウになりすぎていき、やはりこの辺の曲調が時代を感じさせてしまうような古い音になってしまっていました。まあ2003年作品だから仕方ないですが。

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