ライブレポート

ライブレポート:Friendly Fires@新木場Studio Coast

12月2日、新木場スタジオ・コーストで行われたFriendly Firesのライブに行ってきました。

friendly_fires
※写真は別のライブのものです




開演時間30分前に会場に到着。この日はとても寒かったうえに、海に面した新木場の地は冷たい風にさらされ極寒。そんなコンディションにあっても、駅から会場に続く道を急ぎ足で歩く人々はこれから体験するであろうハッピーなダンス・パーティーに心躍らせ、抑えきれないワクワクを抱えているように見えた。


19時きっかりに客電が落ち、オープニング・アクトのChad Valleyが登場。今回は意図的にChad Valleyに関する情報(ルックス、音、経歴など)をシャットアウトして臨んだのだけど、1曲目が始まって数秒で「これほどFriendly Firesのオープニング・アクトとして適任なアーティストはいないな」と感じた。Friendly Firesの音、特にセカンド「Pala」のようなサウンドとBPMが好きなら、必ず気に入るのではないか。彼が登場するまではフロアも比較的空いていて、ステージ向かって右側ではクネクネと踊るお客さんも見られたが、彼がプレイし出すやいなや続々とフロアに人が流れこんでいった。


卓にマックPCなどは置かず、キーボードと少しのエフェクター、サンプラー類でコンパクトにまとめた機材でBPM100~120前後の心地よいダンス・ビートを刻み、アンビエントかつトランシーなシンセ・フレーズを次々と繰り出す。しかし何よりも印象的だったのは、彼のルックスとボーカルだろう。ちょっとぽっちゃりした体系にチェックの半袖シャツ姿で、時にエモーショナルに歌う姿はJimmy Eat Worldのボーカル、ジム・アドキンスを思わせたりもした。そして結構歌がうまい。ライブ後に彼の音源を数曲チェックしてみたが、チルウェイヴとも共振しそうなその音楽は、彼のエモいボーカルと組み合わされることで他のチルウェイヴ・アーティストにはない個性を発揮していたし、ライブではリヴァーヴが抑えられていたことでボーカルの力強さやソウルフルな要素が増していたように思う。結構気に入ったので、彼のリリース作品「Equitorial Ultravox」もぜひゲットしたいと思った。


およそ30分間、Chad Valleyがフロアを十分に温めたところで数分のブレイクを挟んだのち、19:40頃に客電が落ちてFriendly Firesがステージに登場する頃には既に前方はギチギチ。そこにどんどん人が押し寄せ、大変な事態に。そんな密集してたら踊れないぞ!?と思いつつも、つい自分も流れで前へ前へと行ってしまい、周りの人たちが「近い近い!」「やばい!」と興奮していたぐらいの位置で観る。メンバーは6人。Friendly Firesの3人の他、サポートには日本人のホーンが2人と、ベースやパーカッション、キーボードなどマルチに操るメンバーが一人。1曲目はファーストから「Lovesick」。ファンキーなナンバーでオーディエンスの熱を徐々に上げていくような出だしだ。と思ったのも束の間、2曲目はファーストのキラー・トラック(であり、アルバムのオープニング曲でもある)「Jump In The Pool」!この時凄まじい数の熱狂したオーディエンスが流れ込み、大ジャンプ大会と「Jump in the pool! Jump in the pool!」のコール大会。さすがに人の流れの勢いに負け、若干後ろに下がった。しかしこの位置でもかなり場内は暑い。すでに汗がジトリ始めてきたのだけど、見るとステージ上のエド(ボーカル)の着ているシャツも汗がにじみ始めていた。彼はいつもシャツを着て裾をズボンにインしているイメージがあるんだけど、今回もそうだった。体型が目立つので変えた方がいいと思うけどなー。


さて、3曲目「Running Away」以降はセカンド曲を3連発。曲によってギターのエド(ギブソン)と、ドラムのジャックはパーカッション&コーラスをやったり、サポートのマルチ奏者も次々と楽器を持ち替えて音に華を添えるのに多いに貢献していた。しかしそんな中でも一際目立っていたのはやはりボーカル・エドのダンスだ。サマソニのライブでも同じこと思ったけど、キレキレなセクシーダンスのはずなのに彼が踊ると何だかとても滑稽なのは(絶対に)体型のせいだろう。口をチューの時みたいにとがらせ、酸っぱいものでも食べた時のような表情で、指先を開いて手を上下させながら腰をくねらす様は、正直カッコイイとは言えない。しかしそれでも、汗だくになりながら「オーディエンスを踊らせたいんだ!」「みんな踊ろうよ!」という気概はビシビシ伝わってきて、観客もそれに応えるかのように笑顔で踊り狂っていた。また、ボーカル・エドは曲を終えるときに数曲でドラムの「バン!」という音に合わせてマイクを頭に「ゴンッ」とやっていて、それが笑えた。そんなメンバーのキャラも素敵だ。


終盤、セカンドのチルアウト・チューン「Pala」で一旦クールダウン。かと思いきや、この曲はヤバかった。今まではアルバム中で最も地味な曲だと思っていたのだけど、ライブだと後半の盛り上がり、特にドラムが徐々にパワフルになり、スローテンポな分シンバルやスネアやバスドラの一音一音がいちいち鳴り響き、そこにウォール・オブ・サウンドなシューゲイズ・ギターが絡んでいく様は、まさにポストロックかシューゲイザー・バンドだった。これが、彼らがデビュー時にマイブラ云々言われた所以(ゆえん)なのだろうか。


その後はセカンドから、オープニング曲「Live Those Days Tonight」(もちろん間奏の「I live I live~」の大合唱付き) 、そして「Pull Me Back To Earth」などトライバルなビート感の曲をプレイ。そういえば、ドラムセットの客席側には六角形のエレキドラムパッドが3つ備えられていて、ジャックは16ビートの細かいリズムを刻みながら時折このパッドを叩いてコンガのようなパーカッシブな音を鳴らしていた。彼、ドラムめちゃくちゃうまいよなあ。ロック的ではない、複雑なトライバル・ビートを、一糸乱れぬ手さばきで刻みながらバンドのグルーヴを引っ張っていた。愛くるしい熊ルックも相俟って、バンドの愛すべきキャラクターだ。


さて、いよいよ本編ラストはファーストからの代表曲「Paris」だ。これまでフロアの中ほどで心地よく踊っていたオーディエンス(自分含む)も、この時ばかりは前方に押し寄せ、ここぞとばかりに踊り狂った。そしてサビでは両手を高く掲げて、全身にこの高揚感あるサウンドを浴びる光景が繰り広げられた。気付けばボーカル・エドのシャツ全体は汗で色が変わり、そして裾はズボンから完全にアウトしていた(笑)。


「Paris」のエンディングの、あのアトモスフェリックなシンセが鳴り響く中メンバー退場。場内は盛大な拍手に包まれた。しかしそのシンセ音が鳴り止まないうちにメンバーがさっそく戻ってきた。アンコール1曲目はセカンドから「Hawaiian Air」。個人的には大好きな曲が、アンコール用の曲として選ばれたことはすごくうれしかった。思えば、セカンドアルバムリリース直前にWEBで全曲試聴と、一番好きな曲をTwitterで投票しようという企画で、僕が一番好きな曲に選んでツイートしたのがこの曲だった。今知ったんだけど、この曲は「Pala」からのセカンドシングルらしい。


ラストを締めくくるのはやはりこの曲、サマソニのラストと同じくキラー・トラック「Kiss of Life」!おそらく一般人に言っても平井堅の曲という認識しかないタイトルのこの曲は(どうでもいいネタですいません)、オリジナルアルバム未収録ながらキャッチーなコーラスとトライバルなビート、そしてライブにおける後半のカオス・パートで、彼らのレパートリーでも圧倒的な人気を誇る曲だ。そのカオス・パートでは、サマソニ同様にドラムがブレイクを入れる度にテンポが速くなり、しまいには「ポニーテールとシュシュ」よりも速い四つ打ちビートをぶちカマし、ボーカル・エドは例のクネクネダンスでステージ上を駆け回り、ギター・エドはしゃがみこんでエフェクターをいじり倒してシューゲイズ・ノイズを撒き散らして、まさにカオス状態のままにライブ終了。

"Kiss of Life" - Lollapalooza 2011



空調が全く効いていなかったのか、それとも空調の力を超えるほどに我々が熱を帯びていたのかわからないが、とにかくオーディエンスもエド同様に汗だくだった。しかし凄まじいライブ体験をしたみんなの表情は、満足感と高揚感で満ち溢れたものだった。場内は真夏並みに暑かったが、客電が点いて外に出ると再び冬の寒々とした空気で、この温度差にみんなが風邪を引かないか心配である。そしてこれにて今年のライブは終了。一年の締めくくりに相応しいライブだった。



■12/2 Sinkiba STUDIO COAST set list
01 Lovesick
02 Jump In The Pool
03 Running Away
04 Blue Cassette
05 True Love
06 On Board
07 Chimes
08 Skeleton Boy
09 Show Me Lights
10 In The Hospital
11 Pala
12 Live Those Days Tonight
13 Hurting
14 Pull Me Back To Earth
15 Paris

-encore-
16 Hawaiian Air
17 Kiss of Life




"Hawaiian Air (Lightbox Session)"




来日記念盤。あとChad君の音源。


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