ライブレポート

ライブレポート:Foster The People@恵比寿LIQUIDROOM

東京2公演+大阪、合わせて3公演全てソールドアウトとなった、Foster The Peopleの初来日公演に行ってまいりました。


foster_the_people_live
※画像はこの日のライブとは無関係です


1月17日、恵比寿リキッドルーム公演。開演10分前に会場入り。すでに場内は「いま最も勢いのあるバンド」をひと目見ようと駆け付けた人たちでいっぱい。それでも人と人との間をくぐり抜けて、なんとか一番手前のゾーン(ステージから4メートルくらいのところにある手すりバーより前方)まで来た。周りは女性ばかりだったこともあり、十分すぎるほどに視界良好でした(後ろの人ごめんなさい)。


ステージはMutemathやFriendly Firesのように、向かって右側にドラムセットを横向きに配したセッティング。これはドラムやパーカッションがバンドのグルーヴの中核を担う、リズムコンシャスなバンドで最近よくみられる形ですね。


開演の19時きっかりに暗転して、まずはMark Pontius(ドラム、パーカッション)、Cubbie Fink(ベース、バッキング・ヴォーカル)と、サポート2人(ギタリストとパーカッション&キーボード)が登場。この時点で場内はものすごい歓声に包まれ、あらためて彼らの人気の高さを知る。4人がゆったりと音を奏で始めると、やがてジャケットにハット姿のキレイめファッションに身を包んだMark Foster(ヴォーカル、キーボード、ギター、プログラミング、パーカッション)が登場。歓声も俄然大きくなる。


1曲目は「Houdini」からスタート。なんと、僕が予想というか望んでいた通りだったのでこれはめちゃくちゃうれしかった。観客は前方へと押し寄せ、体と体をぶつけ合いながらジャンプして笑顔でシンガロング。音楽自体は体育会系のノリではないのに、昨年同じ場所で観たThe Go! Teamの時のような運動量の多いノリ方だ。音響的にはスネアドラムの音が「ベシャッ」という感じだったのが気になったけど、それでもアルバムにおける多彩なエレクトロニックな音やパーカッシヴなビートを、フォスター君やサポートメンバーが楽器を自在に持ち変えながらしっかりと再現できていたのには正直驚いた。おかげで音源にあるようなグルーヴや煌びやかな部分が、ライブで全く損なわれることはなかった。


2曲目にはアッパーな「Miss You」。先程まではまだ冷静だったオーディエンスも、ここではついにタガが外れたように踊り狂っていた。この曲はバスドラが8部で連打されていて、踊るにはかなりリズムがとりにくいんだけど、前方はとにかくもみくちゃで、ビートに合ってるのかすらもはやわからないほどみんな小刻みに体を揺らしていた。なんかもうこの時点で、彼らのオーディエンスも普通のバンドのライブのクライマックスのようなテンション。そしてこの時はっきり確信したことは、彼らは紛れもない「ライブバンド」であるということ。それこそ、MutemathやThe Mars Voltaのライブを観ている時と同じような興奮を覚え、体は勝手に動いていた。


続いての「Life On The Nickel」「I Would Do Anything」では、サビでのオーディエンスのシンガロングもバッチリ。やっぱり非英語圏の人にもわかりやすいフックがあると、歌いやすさに比例して盛り上がる。それにしてもフォスター君の歌声は、ふやけた感じの脱力ボーカルからソウルフルなファルセットまで変幻自在だ。初めてアルバムを聴いた時、僕はこのバンドはボーカルが2人いるのだと思ってしまったほど。3、4曲目が終わる頃にはフォスター君はハットも取りジャケットも脱いで、マッターホルンのイラストがプリントされたグレーのTシャツ姿に。彼だけでなく他のメンバーもそうだけど、オシャレなんだけど全くチャラさを感じさせないところがすごい。まるでGAPの広告モデルのような清涼感のあるいでたちで、とても好感が持てた。


さて、ここまでは普通にいつもの「楽しいライブ」のノリで観ていたのだけど、続いての「Broken Jaw」、これはヤバかった。強烈なダンスビートにより、場内は週末のクラブ・パーティーのような熱狂に包まれ、その後もさらに「Call It What You Want」「Don't Stop」という、これまたシンガロング可能なシングル曲2連発をたたみ掛ける構成はまさに圧巻。ライブの流れの作り方が非常に上手い。「Don't Stop」では、フォスター君はここで初めてギターを持ち、ステージ上を駆け巡っていた。


ここで短いMCののち、Weezerのファーストアルバムから「Say It Ain't So」のカバーを披露。Weezerのカバーをやるという話は事前に聞いていたけど、勝手に「Buddy Holly」だろうと思っていた(あの曲の楽しげなサビのメロディは、とてもFTPっぽいと思ったから)。こちらは特に彼ら流のアレンジをすることなく、ほぼ完コピに近い形。なんでも、フォスター君は幼い頃にWeezerのリヴァースから直接弾き方を教わったことがあるのだそうだ。つまりあのカバーは、彼なりのWeezerへのリスペクトの念が入ってるんですね。最近Weezerは「Pumped Up Kicks」をライブでカバーしてるけど、なんかそういう相互にリスペクトし合っているところも「イイハナシダナー」と思ってしまう。


本編ラストは、個人的にアルバムの中で一番好きな「Helena Beat」。イントロのちょっと複雑なエフェクトも見事に再現していた。さらにあのシンセリフに合わせて「オーーーオーオーー」の合唱も起きるほど、オーディエンスの興奮も最高潮に達し、そのテンションが途切れることのないまま本編終了。


ここで一度メンバーがハケると、ものすごいアンコールの拍手の嵐。最近のライブでここまで熱狂的なアンコール拍手はちょっと体験してないってくらい。やがてフォスター君が一人で登場しキーボードの前に座ると、アルバム未収録のスローなナンバー「Ruby」を披露。これまでの熱狂が嘘のように、ここではしっとりとした雰囲気でオーディエンスもこの聴きなれない曲に熱心に聴き入っていた。続いての曲は、入手したセットリストでは「Warrant」となっていたけど何か全然違う曲に聴こえたんだけど・・・。知ってる人、情報求む。


そんなわけで大ラスは大ヒット曲「Pumped Up Kicks」。前の曲のアウトロでシガー・ロス的な空間系ノイズのまま、なだれ込む形で始まった。が、これは非常に不安だった。正直この曲は有名であることを除くと、曲調的にはライブで盛り上がるタイプの曲ではなく、他の曲と比べてもスカスカだし地味な曲だ。それに先ほどのスローな曲2連発の後ということもあり、案の定歌のパートが始まってもオーディエンスはいまいち「Helena Beat」までのノリが取り戻せないまま。もちろんサビではシンガロングが起きるんだけど、他の曲の方が断然盛り上がっていた。「この曲が最後だとなんか尻すぼみだなあ・・・」なんて思っていると、後半のブレイク部分で突然四つ打ちエレクトロ・パートが挿入されて場内再び熱狂のダンスモードへ。フォスター君もカウベルをぶっ叩いてところ狭しと動き回る。終盤には客席前方に飛び込んで、オーディエンスに支えられながらもそこにいた全員を見渡すように直立していた。そして拍手喝采の中、ライブ終了。なんだか最後の方は記憶がおぼろげになるほど踊りまくってしまったが、去年観たどの単独公演よりも素晴らしいと感じるほどだった。


"Pumped Up Kicks (Live Version)"

この日のライブアレンジはこれとほぼ同じでした


今回のライブで一番強く感じたのは、彼らはけっしてポッと出の新人バンドではないということ。本人たちも予想していなかったであろう、「Pumped Up Kicks」の大ヒットのプレッシャーなど、ハナから感じていないように感じるほど、堂々としていて地に足のついたパフォーマンス。オーディエンスを楽しませたい、踊らせたいという気概がガンガン伝わってきたし、有名バンドになってしまったことに対する気負いとか肩肘張った感じは微塵も感じさせなかった。それどころか、長かった下積み時代の活動によって強固になった百戦錬磨のバンドアンサンブルや、オーディエンスに対する見せ方や盛り上げ方なども完全に掌握しているかのような、パフォーマーとしても完成されたライブだった。彼らは草食然としたインディ畑から現れたが、実は経験に裏打ちされた肉体的グルーヴをスマートかつクールに体現する、センスも技術力もアイデア力も総じて高い「ライブバンド」なのだ。彼らはきっと次作で、プレッシャーを感じることなくさらに素晴らしい傑作を届けてくれる予感がしてならない(まさにMIKAやMGMTがセカンドでそうであったように)。そう確信することができたライブだった。




■2012/1/17 恵比寿LIQUIDROOM set list
Houdini
Miss You
Life On The Nickel
I Would Do Anything
Broken Jaw
Waste
Call It What You Want
Don't Stop
Say It Ain't So (Weezer Cover)
Helena Beat


-encore-
Ruby
Warrant(?)
Pumped Up Kicks






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