初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.36(2012年6月)

毎月恒例、今月買った&借りたアルバムの「いちばん最初に聴いたとき」の感想まとめです。


<★の解説>----------------------
★★★★★年間ベストアルバム20位以内確実
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆標準レベルの良作
★★☆☆☆若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
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ではさっそく6月の「Album of The Month」の発表です。



【Album of The Month - The School / Reading Too Much Into Things Like Everything】
★★★★★
the_school

今年の上半期はAllo Darlin'やHospitalityなど、女性ボーカルのギターポップ作品をいくつか購入したけど、その中でも最もよかったのが本作。アレンジや曲そのものは非常にシンプルなのだけど、全編が60'sガールポップを思わせるキャッチーなメロディと優しい歌声に包まれていて飽きさせない上に、収録時間も短い(30分にも満たない)のでちょっとした合間にも通しで聴くことができる。ほっこりと暖かい陽光が差し込むような明るい曲が多い中で、哀愁漂う歌謡曲風ナンバー「It's Not The Same」が異彩を放っているところも、本作を一本調子にさせないための良いスパイスになっている。

The School - "Some Day My Heart Will Beat Again"


The School - "It's Not The Same"






POP ETC / POP ETC
★★★★★
The Morning BendersあらためPOP ETC。生音主体のレイドバックしたバンドサウンドからエレクトリックなR&Bサウンドに転身をはかったことで、すでに賛否両論が起こっているようだけど、自分はこの変化を大いに評価したい。前作のサウンドもあれはあれで好きなんだけど、アルバム全体としては少しゆったりしすぎだと思っていたので、本作におけるアップリフティングなダンスナンバーや、オフビートでも湿っぽくならない陽性のR&Bナンバーは純粋に楽しめた。表面的なアレンジや装飾音につい耳がいきがちだけど、よく聴くとメロディーや歌心そのものは前作の良いところをそのまま受け継いでいる点も素晴らしい。




Wallflower / Filled With Flowers EP
★★★★☆
大阪の4人組バンドによるデビューEP。2012年のThe Pains of Being Pure At Heartの大阪公演にてオープニングアクトを務めたそうで、昨年の年間ベストアルバム1位にペインズの「Belong」を選んだ自分としては必ず聴くべき作品だと思った。ペインズやDream Diaryにも通じる甘いメロディーの疾走ギタポに、ウィスパーな男女ツインボーカルということで、まさに自分の「好きポイント」を確実に押さえたバンドであり、今後が非常に楽しみ。なお、本当は5つ星をあげたいくらいなのだけど、まだEPということで今後のデビューフルアルバムへの期待も込めて星をひとつ減らした。




The Heartbreaks / Funtimes
★★★★☆
ザ・スミス直系のネオアコ・ギターポップ。ボーカルの声質は若干異なるものの、高音部分の歌い回しなどがモロにモリッシーを意識してそうだけど、それよりもギターである。キラキラした流麗なフレーズの数々は、ジョニー・マーのプレイを思い浮かべずにはいられない。しかしこのバンドは単なる「ザ・スミスのモノマネバンド」になっていないところがよかった。普通こういう音のバンドはドラムも軽めなプロダクションにしがちけど、本作はパワフルなドラムが全編にわたって鳴らされており、繊細かつスタイリッシュでありながらもモダン・ロックなサウンドに仕上がっている。そしてなにより、いい曲がたくさん書けるという点が素晴らしい。




Sigur Rós / Valtari
★★★★☆
前作「残響」やJonsiのソロ作で見られた、アップリフティングで開放的なサウンドはここでは皆無。これまでの作品だと「( )」が最も近いと感じた。アルバムの後半、インストのビートレスな時間が少し退屈にも感じたけど、作業用BGMとして落ち着いて聴くには最適かも。M3「Varúð」で一瞬だけ顔をのぞかせるダイナミックなパートはこの作品のハイライトであり、この部分で大いに震えた。




King Tuff / King Tuff
★★★★☆
ガールズのファーストやスミス・ウェスタンズ、はたまたキーボードを棄てたDOMのような、甘酸っぱいメロディーとラフでロウな演奏。全曲ではないんだけど2/3くらいの曲は非常に良いメロディーで、「Transmissions~」におけるフレーミング・リップスのように「喜」と「奇」、「哀」と「愛」に満ちている。ジャケットのイメージにも通じるノウティ(いたずらっ子)なボーカルの声質もヤンチャっぽくて好き。




The Flaming Lips / Day They Shot A Hole In The Jesus Egg
★★★☆☆
初期音源の編集盤。「Transmissions From The Satellite Heart」以前の音源は聴いたことなかったので、もっとノイジーでジャンクな音を想像していたんだけど、非常にポップでまさにフレーミング・リップスらしいサウンドが詰まっている。ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」のカバーなど、一聴の価値ある作品。本作をきっかけにリップスの初期音源に対する興味が急激に高まり、92年作「Hit To Death In The Future Head」も購入してみたので、来月のこのコーナーで紹介する予定。




The Smashing Pumpkins / Oceania
★★★☆☆
再結成後二作目。前作「Zeitgeist」リリース時は、解散前のメンバーがビリーしかいないということに違和感を覚えスルーしてしまったし、最近ようやく試聴した際も「過剰にラウドにしただけの90年代ハードロックの焼き直し」という感があって全くノレなかった。要は、自分の中でスマパンは終わっていた。でも昨年過去作のリマスター作品を聴いたことで気持ち的にリセットされたせいなのか、再結成の前後のスマパンは全くの別物と捉えるようになり、比較をやめたことで本作はすんなりと聴くことができたように思う。

確かに本作はサウンド的には過去のスマパンのアルバム全てを内包しているようでもありつつ、そのいずれとも異なる。ビリーのニューウェイヴ好きがよく表れている「One Diamond, One Heart」や「Pinwheels」、そしてハードでミディアムテンポないかにもスマパンなロックチューンがバランスよく配置されている点からも、「Mellon Collie~」の精神を受け継いだ作品と言えると思う。それでいて各曲のメロディーは「Siamese Dream」や「Adore」のように瑞々しくて繊細なところがよかった(と、結局思いっきり比較してしまっている笑)。




The Beach Boys / That's Why God Made The Radio
★★★☆☆
デビュー50周年ということで、つまりメンバーも相当なお爺ちゃんなはず。それでいてこの美声ハーモニー。時代は変わっても、普遍的なグッド・メロディーは変わらず。クリアすぎるプロダクションに耳が慣れていないので、初めは玄人好み過ぎるかなと思ったけど、聴き進むにつれて耳に馴染み、とにかくメロディーとハーモニーの美しさに感動。




Violens / True
★★★☆☆
揺らめくネオアコ風ギターと、リヴァーブの効いたボーカルハーモニー。サイケデリック、ドリームポップ、ネオアコ、シューゲイザーといった昨今のインディーロックのトレンドを全て内包したサウンドは、既聴感がありつつもどこか新しい。ただ、もしかしたら本人としては他と差別化を図りたかったのかもしれないけど、「Unfolding Black Wings」や「All Night Low」のような早いビートの曲は個人的には要らなかったように思う。




Electric Light Orchestra / All Over The World:The Very Best of ELO
★★★☆☆
70年代から80年代にかけて活躍した、通称ELO。60'sのロックンロールからビートルズ、エレポップ、ディスコ、プログレと、ポップの歴史を辿っているかのようなベスト盤。こちらもビーチ・ボーイズとはまた違った意味で、各曲のメロディーが素晴らしかった。こんなに中期ビートルズに近いグループがいたのか、と驚き。




The Cribs / Ignore The Ignorant
★★★☆☆
ジョニー・マーが参加しているという点でも気になっていたし、なによりも今年リリースの最新作「In The Belly of The Brazen Bull」が素晴らしかったので、その直前のアルバムを借りてみることに。音の感じは若干「In The Belly~」と異なり、あそこまで粗削りではないものの、エモーショナルな歌唱とキャッチーなメロディ、パワフルな演奏は本作でもいかんなく発揮されている。さらにそこにジョニーの流麗なギターフレーズが乗ることで、全体としては瑞々しくて蒼い印象。日本のそれとはまったく異なるけど、イギリス流の「青春パンク」と言えるかもしれない。




Tilly And The Wall / O
★★★☆☆
数年前にサマソニで観て以来、気になっていたけどアルバムまでは手が出ていなかったバンド。タップダンサーがいる点がユニーク。サウンドの方はシンセポップのような曲もあれば、男女混声のキラキラしたギターポップもあり、かと思えば陰のあるメロディーのパンキッシュなロックンロールもある。個人的にはその暗めのロックンロール曲はあまりピンとこなかったけど、アルバム全体にメリハリを付けるためのアクセントになっていればよかったとは思う。しかしそれらの曲が前半に多かったこともあり、曲順の流れが悪いと感じたので星マイナス1。




cero / World Record
★★★☆☆
Contemporary Exotica Rock Orchestra、略してcero。その名が示す通り、鈴木慶一臭のするシティ・ポップを細野晴臣臭のするエキゾチック感覚で調理したかのようなコンテンポラリー(現代的)なポップ・ミュージック。実際、細野氏のトリビュートアルバムに収録されている鈴木慶一の曲にも参加しているらしい。そしてそんな二人の大先輩から受け継いだジャンルレスな雑食性は、彼らの音楽にもよく顕れている。曲によってスタイルはバラバラ、フィッシュマンズのような浮遊感を携えていたり、スチャダラパーのようにフリースタイルなラップを取りこんでいるミクスチャー感覚がいかにも現代的・都市的だと思う。その「洗練された遊びゴコロ」に満ちた本作は、昨年のベストディスクに挙げる人もチラホラいたほど。




Exlovers / Moth
★★★☆☆
以前からフリーDLされていた1曲目の「Starlight, Starlight」はすごくツボな感じの激スウィートな疾走チューン。しかしこの曲に匹敵する曲がそのあと出てこないのは寂しかった。メロディーセンスはあると思うけど、ミディアムテンポな曲は凡庸なギターポップに留まっているので、もう少しアップテンポでジャングリーな曲を増やした方がよかったと思う。先日のHostess Club Weekenderで観た際はもう少しノイジーでビッグなサウンドだったけど、本作はクリアで大人しく、イマイチ盛り上がりに欠ける印象も。




Japandroids / Celebration Rock
★★★☆☆
エナジー溢れるボーカルや疾走感に満ちたドラムはよかった。しかしギターの音が少し今の時代に合っていないと思う。90年代の売れ線ロックバンドのような、歪ませてはいるけどラジオで流せる程度に留めたという感じの中途半端な音なのがなんとももったいない。今年になってから粗削りでパンキッシュなサウンドのアルバムを出したクラウド・ナッシングスやザ・クリブスと比べると小奇麗な印象であり、もっと粗削りに吹っ切れてくれれば傑作だったと思う。




OGRE YOU ASSHOLE / Homely
★★★☆☆
昨年、各メディアや個人ブログで大絶賛を受けていたのでずっと気になっていたアルバム。彼らの音楽性をよく知らなかったこともあり、本作を通しで聴くまで敢えて彼らの音に触れるのを避けてきたのだけど、いざ聴いてみると想像とはだいぶ異なっていた(もっとサイケデリックで、ゆらゆら帝国からガレージ臭さを抜き、ポストロック/ダブ的要素を大量に注入したようなイメージだった)。そんな肩透かし感を抜きに聴いてみると決して悪くはないし、いわゆる典型的なJ-ROCKのイメージとは真逆にある脱力感は、シド・バレットや遠藤賢司のようなサイケフォークさも感じられた。




Stuck In Summer / Stuck In Summer EP
★★★☆☆
Wallflowerに続いてこちらもfrom大阪。なんだかインディーロックシーンは関東よりも関西が断然アツイ気がする。海外のチルウェイヴ勢をベースにしつつ、よりダンサブルでエレポップなアレンジと夏っぽい音作りが秀逸。全5曲入りのEPはこちらからフリーDL可能。



Blood Red Shoes / Fire Like This
★★☆☆☆
先日リリースされた3rdアルバム「In Time To Voices」がなんだか消化不良気味(好きな曲はすごく好きなんだけど、そう思える曲が2曲しかなかった)だったので、この2ndで挽回を試みた。確かに「In Time~」よりはハードで爽快なんだけど、ソングライティング面においては3rdの方がよかったと思う。次作ではメロディアス(単純に明るい曲という意味ではなく、彼らの持ち味であるダークさを含みつつ、という意味)かつ激ラウドなアルバムを期待したいところ。




Best Coast / The Only Place
★★☆☆☆
各曲のメロディーは素晴らしいと思う。しかしやはり、前作もそうだったけどアルバム通して聴くと単調な印象。ストリングスを導入した曲など新機軸もあるけど、なんか安っぽい音になっていて少し中途半端だと思う。前作のリヴァーブ感は確かによかったけど、例えそれを棄て去ってもアレンジやミックス次第でもっと良い作品に仕上げることは可能だったはず。




Audrey / The Fierce And The Longing
★★☆☆☆
数年前に一度試聴して、いいと思ったもののその後忘れ去っていたバンドで、中古で安かったので買ってみた。女子4人による、ゆったりとした浮遊感のあるサイケ・ロックという点ではWarpaintにも通じるものがある。ただWarpaintほどテクニカルではないし抑揚のある展開もないので、わりと淡々とした感じ。たまに引っ張り出して聴きたいけど、ヘビロテするような作品ではなかったかな。




Dntel / Aimlessness
★★☆☆☆
どちらかというと、クラブや野外フェスで深夜に無心に踊るための音楽。耳馴染みがよくて気持ちいいし、メロディーはちゃんとあるんだけど、若干大人しすぎ(メロディーが前面に出ている感じではない)て掴みどころがなかった。シチュエーションや場所、時間を限定する音楽という印象。




Madonna / Erotica
★★☆☆☆
マドンナのオリジナルアルバム11枚組セットの続き。例えば本作以前のアルバムは80年代の作品であり、その時代のエレポップは一周巡っているのでかっこいいのだけど、92年リリースの本作(ちなみにこのセットに90年リリースの「I'm Breathless」は収められていない)はまだ一周していないため、とても古臭く感じてしまった。要は、現在のメインストリームで流れているダンスポップの源流みたいな音なので、陳腐に聴こえてしまう。既に耳馴染みのあるシングル曲は楽しめたけど、この時代に持てはやされたクラブ向けのエクステンデッド・ミックスみたいなアレンジばかりなために収録時間は75分超で、部屋で聴くには途中で飽きてしまった。




Two Wounded Birds / Two Wounded Birds
★☆☆☆☆
これは単独の紹介記事を書いたほど期待していたのだけど、それほどではなかった。既に聴いていた1曲目の「Together Forever」はラモーンズ直系の甘いメロディとパンキッシュな疾走感のあるサーフ・ロックで素晴らしいものの、全体的にはいろいろと中途半端に感じられる。ザ・ヴァクシーンズやザ・ドラムスの手法を踏襲しようとしていながらリヴァーブが弱かったりギターの音が小さかったり、「Daddy's Junk」に至ってはジェリー・リー・ルイスの「Great Balls of Fire 」風のピアノを試みるも子供が見よう見まねで真似したようなレベルだしで自分にはピンとこなかった。確かに2回目に聴いた時はそこまで悪いとも思わなかったけど、期待値が大きかった(今月で一番楽しみにしていた)アルバムだっただけに初聴き時は落胆が大きかったので星1つ。




2:54 / 2:54
★☆☆☆☆
以前パッと聴いた時点では、陰鬱で重苦しいムードが「グランジを通過したEsben & The Witch」という印象で逆に新鮮だったのだけど、アルバムを通して聴くと実に単調。曲のバリエーションが少ないので盛り上がりに欠けるし、曲単位でみてもシンプルすぎるリズム隊や抑揚のない展開に、聴き終わった後も何の印象も残らなかった。個人的にはこのようなサウンドにはドラマティックな展開が必要不可欠だと思う。メディアのヨイショにより期待し過ぎた感も。
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