初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.37(2012年7月)

7月に買った&借りたアルバムの「いちばん最初に聴いたとき」の感想まとめです。今回は枚数少なめ。確か去年も7月は少なかったと思うけど、フジロックで頭がいっぱいなので新譜を買ったり聴いたりする余裕がないからと思われます。


<★の解説>----------------------
★★★★★年間ベストアルバム20位以内確実
★★★★☆すばらしい
★★★☆☆標準レベルの良作
★★☆☆☆若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆期待ハズレ
☆☆☆☆☆全然ダメでした
---------------------------



ではさっそく7月の「Album of The Month」の発表です。



【Album of The Month - Passion Pit / Gossamer】
★★★★★
Passion Pit_Gossamer

こじんまりとした宅録風味でナイーブだった傑作EP「Chunk of Change」、そしてバンドを得てロック度が増し、陽性に振り切れたファースト「Manners」。これら二作は互いに異なるベクトルを持ちながらも、ともにポップ・アルバムとしては最高の出来映えだった。だから次なる一手となるセカンドアルバムにも絶対の信頼を抱いていたし、「もし作風がガラリと変わったとしても、根底にあるキャッチーな要素は変わらないはず」という確信があった。そして本作に先駆けて公開された「Take A Walk」「I'll Be Alright」の2曲を聴いて、その確信はさらに強固に。

さて、いざ本作を聴いてみると、前作で培った「キャッチーな黄金律」をしっかり踏襲しており、どの曲も見事なまでにメロディアス。ただ、前作とは何かが決定的に違う。メロディはただ底抜けに明るいだけではなく、そこにはほんのりせつなさややるせなさも滲み出ており、喜怒哀楽のすべてが込められているかのような点は「Chunk of Change」と「Manners」両面の要素が感じられた。

このせつなさ・やるせなさは一体何なのか?どうやらそのカギはなかなか辛辣らしい歌詞にあるようなので、これからじっくりとその意味を読み解いていきたいと思う(たぶん、今のように「いい曲だらけだね!」で終わるような単純な感想ではなくなっていくだろう)。とにかく現時点で言えることは特にアルバムの後半のクオリティが素晴らしいということ。メルヘンチックなイントロを持つM10「Love Is Greed 」からラスト3曲の流れ、哀愁感や高揚感がクライマックスに向けて徐々に膨らんでいく感じが秀逸だと思う。

Passion Pit - "Love Is Greed"






The View / Cheeky For A Reason
★★★★☆
昨年の「Bread And Circuses」に続いて早くもリリースされた4作目。オープニングの「How Long」から「これぞギターロック!」なロールするドラムと瑞々しいコーラスが繰り出されて爽快な気分になる。ただ、グッドメロディ尽くしという点では決して前作にヒケを取らないものの、個人的にはもう少しジプシー風というかストンプなシャッフルリズムの曲が「ハズシ」としてあってもよかったと思う。




The Flaming Lips / Hit To Death In The Future Head
★★★★☆
92年リリース、通算5作目にしてメジャーデビュー作。自分はこの時代の彼らに対して、もっとノイズ~ジャンクなイメージを勝手に抱いていたのだけど、本作以降の彼らのアイデンティティであるポップなメロディと狂気すら感じさせるサイケデリックなサウンドテクスチャーは、既にこの頃から開花していたということがよくわかる。アナログ盤には未収録というCDオンリーのシークレットトラック「Monster In Beast Jailbreak」は29分超の長尺なのだけど、これはまさにキチ○イな曲なので気になる方はぜひCDを買って「早送りせずに」聴いてみてほしい。




The Bangles / Eternal Flame~Perfect Best
★★★★☆
バングルスと言えば、スザンナ・ホフスが在籍した80年代に活躍(復活して現在も活動中)したガールズ・ロックバンド。「Manic Monday」「Walk Like An Egyptian」「Eternal Flame」は超有名曲だし大好きだけど、他の曲はどうなの?と思いながらベスト盤から手を出してみると、これが全曲、前述の有名曲にヒケをとらないほど名曲揃いだった。「If She Knew What She Wants」あたりはThe Raveonettesがカバーしてもおかしくない60'sガールズポップ風だし、サイモン&ガーファンクルのカバー「Hazy Shade of Winter(冬の散歩道)」に顕著なようにギターやドラムのプレイは非常にパワフル。それでも楽曲がガーリィでキュートな印象でまとまっているのはやはりホフスの持つ可憐な歌声の魅力なのだろう。




Blouse / Blouse
★★★★☆
いかにもキャプチャード・トラックスな音。浮遊感に満ちたシンセ・サウンドと、けだるい女子ボーカルが特徴のドリーム・ポップ。音色もレトロでほどよくチープで、スカスカなビートもよかった。全体的に音の使い方が似ているので、各曲ごとの印象に残りにくいのが難点。




Eight And A Half / Eight And A Half
★★★☆☆
Broken Social SceneのジャスティンがThe Stillsの元メンバーらと組んだバンド。カナダの良インディレーベルArts & Craftsからのリリースというのも頷けるほどにStarsやMetricなどと同様、ノイジーなギターとキラキラしたシンセが加わったメロディアスなサウンド。特にシングルである「Go Ego」の胸キュンなメロディが素晴らしい。ただ、アルバム全体としてはコンパクトすぎていて若干の物足りなさも感じた。




Galileo Galilei / Portal
★★★☆☆
どこにでもいそうな日本のロックバンドという認識でいたけど、評判がいいので試聴してみたら軽く驚いたのでレンタルした。UK・USインディのトレンドに倣い生演奏とエレクトロニクスをうまいバランスで融合させており、Passion Pitの「Sleepyhead」を彷彿とさせるシンセが入った「Imaginary Friends」、短いインスト・エレクトロ「Swimming」などは見事なクオリティだと思う。メンバー全員がプログラミングを担当するらしいけど、この手のバンドで失敗に陥りがちなあざとい打ち込みサウンドにはなっておらず、音の質感も過剰にハイファイなコーティングがされていないところがよかった。ただ、曲数が多いのと曲が長めなのと後半が少し単調でダレるので、曲のバリエーションがもっと増えたらすごく面白いアルバムができると思う。個人的にはスーパーカーが「Jump Up」を出したときと似ている(音楽性のことではなく、純粋に次回作で化けるだろうなと確信が持てるあたり)と思った。




Elastica - Elastica
★★★☆☆
「トレインスポッティング」のサントラ収録曲「2:1」でこのバンドを知ってから、15年越しでようやくアルバムを手にした。というのも時代が巡って、今また往時のブリットポップ然としたサウンドやささくれ立ったグランジィな音が個人的にキてるからだろうか、とにかくなぜか急に聴きたくなった。ジャスティーン(デーモン・アルバーンの元カノ)のキュートかつクールなボーカルもいいし、パンキッシュでノイジーなギターが一周巡って逆に新鮮でかっこいい。




The View - Hats Off To The Buskers
★★★☆☆
昨年のアルバム「Bread And Circuses」から彼らを聴き始めたので、デビュー作である本作を初めて聴いてちょっと驚いた。彼らがこんなにリバティーンズ・チルドレンだったとは。「Skag Trendy」に顕著なように、荒っぽいジャンキーボーカルはまさにリバティーンズのそれに通じるものがある。ただ自分が「Bread~」を気に入った要因は、あのキラキラとした洗練されたサウンドと陰陽のメリハリのある全体の構成、そしてスコティッシュ訛りなボーカル、トラッド的要素の絶妙なバランスにあったと思う。本作ではまだパンキッシュな粗さが前面に出ていて、アルバム全体のメリハリもあまりない(「押し」ばかりで「引き」がない)ように感じられた。なお本作におけるベストトラックはM6「The Don」であるが、この曲は自分が好きな「Girl」(「Bread And Circuses」収録)に少し似ているので、やっぱりこういうキラキラした「ズンチャッ、ズンチャッ」な曲調のものがもう少し欲しかったところ。

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