ライブレポート

ライブレポート:FREEDOMMUNE ZERO@MAKUHARI MESSE

8月11日に開催された入場フリーのフェス、FREEDOMMUNEに行ってきました。

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MAKUHARI BUDOHKANステージ


21時くらいから行ったんだけど、会場の案内が全く出ていなかったものの、人の流れと雰囲気ですんなり辿り着く。この時間は全然混雑していなくて、不安だった「MUSIC UNLIMITEDの購入明細メールを見せる」という入場方法もスムーズ。入場してみると、思っていたよりも広いスペース。まずは各ステージの配置を把握するために場内を散策した。


ピラミッド型のブース「EXTREAMZERO」とドーム型のブース「BROADJ」があって、これはステージ同士が暗幕一枚で仕切られて背中合わせになっているのでかなり音が混ざる。でもこのブースはなかなかユニークで、高さがないのでアクトが見えにくい難点はあるにしても、ピラミッド型やドーム型に組まれた格子が光るというのは非現実空間を演出するのにピッタリなセットだったと思う。

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ちょうど仕切り暗幕の真横に立って撮影するとこんな感じ


そこから休憩スペースを挟んで位置するMAKUHARI BUDOHKANは、上部に吊り下げられた箱型の四面のスクリーンがかっこいいライブ専用ステージ。さらに奥にはトーク専用のブースがあるといった感じ。はじめここに来たときには、大林宣彦監督がトークライブを行っていた。しかもその横には夏目漱石の脳が展示してあるという、なんだかとてもシュールな文化的空間。


さきほどのMAKUHARI BUDOHKANに戻り、salyu×salyuを観るべくスタンバイ。ステージに登場したsalyuと3人のsalyu×salyuシスターズは、おかっぱ黒髪に白いドレスという統一されたコスチュームで、まずはアカペラコーラスを披露。以前salyu×salyuのCDを借りた時はあまりピンと来なくて、スタッカート使いまくりのボーカルに若干苦手意識があったんだけど、ライブだとこれが逆にいい。歯切れのよいリズムで刻まれるボーカルハーモニーは4人の息がぴったり合っていて見事だった。バックを務めるあらきゆうこや小山田圭吾も変拍子を刻みつつ、各パートが複雑に絡み合いながらポップな楽曲を構築していく様はすごいの一言。


しかし一番すごかったのは3人のシスターズ。それぞれがハープやトライアングル、フルート、アコースティックギター、鈴など巧みに使い分け、1曲の中でもいくつもの楽器を持ち変えつつハンドクラップを入れたり、それでもってちゃんと複雑なコーラスもこなしていた。この人たち、どれだけ才能豊かなんだ。この多重コーラスと変拍子を軸にしたスタイルは、Dirty Projectorsを思い出させるものがあった。


その後は再びあちこちウロウロ。トークブースではデヴィ夫人が登場するし、ドーム型ブースではATAK Dance Hallが接触不良気味のノイズと共にビートを繰り出す。しかしステージ後方からもの凄いビートと歓声に音がかき消されがち。こちらのステージはスピーカーの音が小さくてちょっとやりにくそうだった。で、その反対側、歓声に包まれたピラミッド型ブースではなにが行われていたかというと、KEN ISHIIである。レーザー出しまくりで、強力な四つ打ちビートをキメ、フロアを狂乱させていた。


その後はBUDOHKANの方で不失者を観たり。実は彼らを観るのは2回目で、前回はAkron / Familyの来日公演の時なんだけど、自分の事前リサーチ不足によりこのブログのライブレポートでも結構失礼なことを書いてしまいました。というわけで今回は「彼らがどんなバンドか」ということを判った上で観たので、なかなか楽しめた。灰野さんは相変わらずの髪型とサングラスで、高音で歪みまくったノイズ(灰野さん自身のしゃべりによる)をこれでもかとぶちかます。そして灰野さんと同じ髪型のベーシストは…おお、元ゆらゆら帝国の亀川千代さんじゃないの!思いがけず見れたのでうれしい。それにしても耳をつんざくような凄まじいノイズだったので、前の方で観てる人はちゃんと耳栓をしているのかどうか、してない場合は耳から血でも出てるんじゃないかと心配になった。


ドーム型ブースの方はタイムテーブルが予定より30分ほど押していて、お陰でたまたま通りかかった時にSIMI LABが観れた。彼らのことは今まで全然知らなくて、気が向いたら観てみよう程度だったんだけど、これがめちゃくちゃカッコよかった!オリコンチャート上位に入るような日本のヒップホップ/ラップとは対極にある、ドープでストイックなヒップホップ。自分はヒップホップそのものに苦手意識があるわけではないけど「嫌いなヒップホップ」に属する方が多くて、好きなタイプのヒップホップは、「音数少なめ、かっこいいサンプリングループ、ビートがモタり気味でカッコいい、同じライムとフローを繰り返さない、ラップが16分音符にきれいに乗っていない」というのがあるんだけど、それらを全部満たしていた。女性ラッパーがいるのもポイント高い。それにしても全員ラップがめちゃくちゃうまいし、不穏なトラックと複数MCの絶妙な掛け合いはオッドフューチャーにも近いものを感じた。

SIMI LAB "Show Off"



その後、BUDOHKANステージにて本日のメイン、小室哲哉のライブ。ステージには10台近いシンセやサンプラーが組まれ、TKの姿は少し見えにくいんだけど、吊るされた箱型スクリーンにTKの手元やお姿が映るので視覚的にもしっかり楽しめた。TKは各マシンをせわしなく行き来してサンプリングヴォイスを出したりトランシーなシンセフレーズを弾いたりツマミをいじったり。TM Network(このブログで何度か触れていますが、自分が音楽に目覚めたきっかけのバンドです)の「Get Wild '89」を序盤に投入して早々とフロアを沸かせると、その後は忌野清志郎の「JUMP」やH Jungle with t「WOW WAR TONIGHT」のフレーズ小出しなど、いくつもの見せ場を作ってこの日最大の盛り上がりを見せ、1時間があっという間に終了。終演後アンコールまで起こったほどだった。

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その後休憩。あんまりおいしくない、ストーンズのベロがあしらわれた発泡酒(600円)を飲みつつ、七尾旅人を待っているとどんどん人がこちらに流れてくる。気付くと後ろの方までぎっしり。そんな中で、最近のトレードマークでもある麦わら帽子を被った七尾旅人が登場し最初に披露したのはなんと華原朋美「I'm Proud」のカバー!!最後の方にも歌の中で「Get Wild、Self Control、Time To Count Down~」なんて口づさんでいたけど、彼は完全に自分と同世代なのでした。若い頃はTM大好きだったのでしょう。彼のライブは初めて観たんだけど、あんなに歌の最中にベラベラとよくしゃべる人だったとは。ラストは「Rollin’Rollin’」も披露。


その後は少し仮眠して、Manuel Göttschingを観る。卓を前に座り、黙々と演奏するゲッチング先生。曲は長尺なんだけど、美麗なフレーズを軸にしてアンビエントな電子音を徐々に重ねていき、ミニマルに展開しながら音を次第に厚くしていく様は、まさにストイックに研究に打ち込む博士のよう。始発で帰るために15分ほどしか観れなかったけど、貴重な体験でした。


全体としては、思っていたよりもしっかり運営されたフェスだった。ゴミが多かったけどそれは運営のせいではなく個人の責任だと思うし。飲食ブースが外だったおかげで、比較的室内に飲食ゴミはなかったと思う(あったけど、サマソニほどではない)。運営側としては金銭面、それにともなう運営人件費など、いろいろ向き合うべき課題はあると思うけど、次回以降も続いてほしいフェス。ただ、フリーを続けるのか次回から有料になるかによらず、規模はこれ以上拡張しなくていいと思う。音響面としてはまず音の混ざりを解消する必要があると思うので。次回もし有料になっても、自分はまた行きたいかな。
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