ライブレポート

ライブレポート:キノコホテル@東京キネマ倶楽部

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自分にとっての2012年のライブ納めということで、12月8日に行われたキノコホテルのライブ、もとい実演会に行ってきました。

彼女たちの実演会を観るのは二度目で、以前某イベントで初めて観た時は結構な衝撃を受けました。全員女の子でルックスもレベル高いのだけど、いわゆるアイドル性を売りにしていない。彼女たちの人気の要因は、その卓越した演奏テクニックと熱いパフォーマンス、そして確立されたキャラクターにあると思うのだけど、そういう独自の世界観とストイックなアーティスト性を兼ね備えたバンドって現在の日本のロックシーンでは貴重な存在だと思います。

今年のフジロックで彼女たちを観るつもりだったのに、レッドマーキーの電気グルーヴで揉みくちゃになっている間にすっかり忘れてしまい見損ねたので今回はそのリベンジでもありました。以下、ライブレポートです(写真は全て、この日のものではなくネット上にあったものです)。




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12月5日に発売された通算3作目となるアルバム「マリアンヌの誘惑」レコ発ツアーということで、鴬谷にある元グランドキャバレー、東京キネマ倶楽部にてこの日の実演会は行われた。


ステージの横には階段があって、そこを登るともう一つ小さなステージがあったり、円形の2階席があったりと、この東京キネマ倶楽部(会場の様子はこちらを参照ください)はいわゆるライブハウスではない。大正時代のオペラハウスをモデルにしているそうで、カーペットのような柄付きの壁と、薄暗い照明によって醸し出されるビザールでレトロな雰囲気はまさにキノコホテルのサウンドにピッタリ。


暗転とともに「G線上のアリア」が流れ始め、実演会スタート。上段の小さなステージにスポットが当たると、そこには黒いドレス姿でバイオリンを演奏するマリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)の姿が。メインステージからドラムのファビエンヌ猪苗代が現れ、二人による軽い寸劇のようなものが始まると場内からクスクスと笑いが起きる。こうしたユルい演出も、コミックバンド的なノリではなく、彼女たちのキャラクターをわかりやすく具現化したような演劇風になっているのは、ニコリともせずにドSキャラを貫き通すマリアンヌ東雲の存在感によるところが大きいだろう。


さて、マリアンヌはお馴染みのミリタリー調に衣装替えのため一度袖に引っ込み、まずは他のメンバー3人によるジャムからスタート。しかし度肝を抜かれたのが、イザベル=ケメ鴨川のギターだ。おそらく日本の女性ギタリストでここまで耳をつんざく爆音を鳴らすのは彼女だけなのでは。ファズを効かせ、スピーカーがぶっ壊れるんじゃないかというぐらいに激しいフィードバックノイズを放ちながらもひたすらクールな表情のケメの姿は、どこかナンバーガール在籍時の田渕ひさ子を彷彿とさせた。


それにしても彼女たちの真髄はライブだ。ギターの音がデカイのももちろん要因だけど、CD音源とは違って音がクリアではない分、雑然としたノイジーな感じが全面に出て、サイケ、ガレージ、モンド、エレキといった彼女たちのサウンドを形容する要素の魅力が倍増。CDとは比べ物にならないほどに猥雑でカッコよくなっている。


それに加え、演奏スタイルも魅力的。マリアンヌはステージ前方に乗り出してムチをふるったりするし、ケメも前方に出てめちゃくちゃ激しいギターソロを弾く。ベースのエマニュエル小湊はほぼ無表情で高音と低音を自在に行き来するようなベースプレイを見せ、ファビエンヌは終始笑顔。演奏中は基本無表情な他の3人とのコントラストがまた面白く、そこがファビエンヌの魅力でもある。


MCでもマリアンヌのドSキャラは全開。例えばこんな感じ。ちなみにこれらのMC中、すべてマリアンヌは真顔である。

マリアンヌ「前回東京でワンマンやったのはいつだっけ?」
ケメ「夏ぐらいだったかと思います」
マリアンヌ「夏になんてやってないわよ、アホ!」

エマニュエル「(ゴクゴクと水を飲む)」
マリアンヌ「ちょっと、誰が水飲んでいいって言った」

エマニュエル「支配人(※マリアンヌのこと)、今日もお綺麗です」
マリアンヌ「声が小さい!」
エマニュエル「支配人、今日もお綺麗ですっ!!」

マリアンヌ「ここからだと客の姿が全然見えないのだが…」
(スポットライトが客席を照らす)
マリアンヌ「なんだ、オッサンばっかりだな!」

客「支配人ー!」「ファービー!(※ファビエンヌの愛称)」
マリアンヌ「だーまーれー!!」

マリアンヌ「あんたがメスブタだからよ」
エマニュエル「はい…」

とこんな具合に、とにかく胞子たち(オーディエンス)や他の従業員(メンバー)に対するマリアンヌの女王様的なキャラが徹底している。そこには媚びなど一切ない。自分は、バンドにおけるメンバー間の慣れ合いや、ブログやらTwitterで私生活感を丸出しにしたりファンに媚びようとするアーティストの姿勢が好きではないので、そういうところは非常に好感が持てる。


一方で、ユルいMCも面白い。マリアンヌは終始ニコリとすることもなくけだるそうに話すのだけど、パンツだけを身に付けたマリアンニャ(マリアンヌと同じ髪型をしたネコのキャラクターぬいぐるみ)を掲げ、「この子は中国で生まれたんだけど、なんか手違いでこんなのが50体送られてきちゃったのよ」とか、「わたし達はAKB48よりもずっと前からミリタリー着てるのよ」などのMCで場を和ませたりも。しかし再び演奏が始まるとそんなユルさとは真逆のエネルギッシュなパフォーマンスに。序盤こそおとなしかったオーディエンスも、徐々にボルテージが上がってくる。


曲によっては4人の女性ダンサーが登場したり、マリアンヌも4回衣装替えしたりと「見せ方」にもこだわりを感じる。さらに、マリアンヌがギターピックをくわえてケメの頭を鷲掴みにし無理矢理ピックを口移しすると、互いの楽器を交換して2人でノイジーなプレイを見せたり、マリアンヌがキーボードnord electro 3の上に仁王立ち(厚底のブーツを履いているのでかなり不安定なはず)したと思ったら今度はM字開脚でドヤ顔をカマしたり、前述のように鞭を振り回したり、ステッキでエマニュエルの顔を小突いたりと完全にマリアンヌワールド全開。それでもこのバンドがイロモノ的バンドにならないのは、やはり各パートの演奏がしっかりしていて、テクニカルだからだと思う。メンバー紹介時のソロなど、いずれもかなりのものだった。


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nord electro 3の上に仁王立ちの図


個人的に、バンドのポテンシャルを最も感じたのは中盤にプレイされた「風景」。前作「マリアンヌの恍惚」に収録された、長尺のサイケナンバーだ。マリアンヌは一旦ステージからはけ、3人によるジャムでゆったりとスタート。ファビエンヌはマレットスティック(マーチングバンドが大太鼓に使うようなアレ)を使い、エマニュエルはミニマルなフレーズを延々とプレイ。ケメはリバーブやディレイなどのエフェクトを駆使して様々な音を紡ぎだすのだけど、ゆらゆら帝国の「EVIL CAR」を思わせる展開のこの曲は徐々に高揚してテンポを上げていき、終盤はハードコア・パンクのような性急なフォービートに変化。展開も含め、圧巻の一言に尽きる。


今回のライブは同じ会場で8日と9日の2DAYS公演で、本人曰くセットリストも2日で一公演のように組まれているらしい。さらに9日には衝撃の報告があるらしかったのだけど、どうしても都合が悪くて9日は行けなかったのが非常に残念(9日の実演会にて、エマニュエル小湊の退職が発表されたそうだ)。それにしても、自分は「一度ライブ観たけど、すぐにまた観たい」と思うことはあんまりないのだけど、年末から来年初頭にかけてもいくつかイベントに出演するのですぐにでもまた観に行きたいと思う。それほど魅力的なライブだった。その前にアルバム買わなきゃ…(小声)。


2011年夏のライブ告知映像。かなりカッコいいです。



キノコホテル - "ネオンの泪 (Live)"



■2012年12月8日「サロン・ド・キノコ ~四次元の美学ツアー」
at 東京キネマ倶楽部 セットリスト

1. 四次元の美学
2. 球体関節
3. 危険なうわさ
4. あたしのスナイパー
5. 愛と教育
6. 非情なる夜明け
7. 悪魔なファズ
8. キノコノトリコ
9. 風景
10. ピーコック・ベイビー
11. 白い部屋
12. 業火
13. その時なにが起こったの?
14. もえつきたいの
15. 恋のチャンスは一度だけ
16. ノイジーベイビー
17. #84
18. キノコホテル唱歌

ENCORE1:
19. ステファニーの恍惚
20. キノコホテル唱歌II

ENCORE2:
21. ネオンの泪
22. (新曲?)




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