あのアーティストとの出会い

あのアーティストとの出会いVol.4 ≪MUSE≫

毎回異なるアーティストをテーマに、自分との出会いの想い出を語る不定期特集記事です。ビョークニューオーダーマイブラに続いて第四回目に取り上げるアーティストは、つい先日来日公演を行ったMUSE(ライブレポはこちら)です。

※しれっと特集名を微妙に変えました。


muse.jpg
(3人ともアゴがケツ気味…)


MUSEとの付き合いは長いようで短いですね。初めて彼らのことを知ったのは、99年にファースト「Showbiz」がリリースされた時でした。もしかしたら2000年3月の初来日時だったかな?MTVだかスペシャだかwowowで、ライブの映像を観たのが最初でした。


当時、世間ではレディオヘッドの97年作「OK Computer」がジワジワと評価を上げてロングヒット中(98年のタワレコ年間チャートにもランクインしていたほど)。彼らに対する次回作への期待が高まっていく中で、「レディオヘッドそっくりなバンド」としてメディアで紹介されていたのが印象的でした。今となっては考えられないけど、「UK叙情派バンド」という括りでトラヴィスやスターセイラー、ヘイヴン、コールドプレイなんかと同類に扱われていましたね。


今でこそMUSEとレディオヘッドは、それぞれに全く異なる独自の道を歩んでいますが、MUSEのデビュー作「Showbiz」はレディオヘッドの95年作「The Bends」と比べると、音の質感も曲調もいくつかの類似点が散見できます。その要因としてはまず、ともにジョン・レッキーがプロデューサーを務めたことも挙げられますが、何より大きいのはボーカルの声質でしょう。これのせいで、英メディアからは当時「劣化版レディオヘッド」というレッテルを貼られたようです。マシュー・ベラミーもトム・ヨークも、ともにジェフ・バックリィからの影響を公言しているので似ているのは必然と言えば必然ですが、当時すでにレディオヘッドはUK最重要バンドとして神格化され始めていたので、新人のMUSEがメディアや世間からそのような扱いをされるのはある意味当然の成り行きだったかもしれません。


自分もご多分に洩れず、「Showbiz」を買った理由は単に「レディオヘッドに似ていたから」でした。ただ実際アルバムを聴いてみると、全体的に陰鬱なメロディーが多くてあまり好きではありませんでした。当時好きだったのは「Fillip」と「Escape」のみ。要は、出だしから明るいメロディーじゃないとどうも好きになれなかったのです。一時期は「ディスクユニオン行きリスト」に加わっていたこともありました(最終的には思い留まりましたが)。00年の第一回目のサマソニにMUSEが出演した際も、一応観たけど特に良いと思わず。この頃のMUSEってルックスもライブパフォーマンスも相当ダサかったんですよ。その時の映像がこちら。懐かしい。


MUSE - "Plug In Baby" (Summer Sonic Festival 2000)



当時まだ「Plug In Baby」はリリースされていなくて、サマソニでお披露目する新曲という扱いで演奏。何だか今よりも貧相で老けて見えるマシューは髪の毛を青く染めていて、歌い出し部分での手の動きもナルシスティックで若干キモめ。2分30秒頃には奇声を上げているし…。クリスも髪型とか服装とか猛烈にダサいし頭振り過ぎだし、サビの「オ~」のコーラスちょっと不気味だよ!そしてドムは今とまるで別人(ちょっと昔のトム・ヨークっぽい)。


なんかめちゃくちゃひどく書いてすみません(汗)、まあ、まあ!最後まで読んでいただければと!(笑)


そんな感じで、MUSEは「一応CD1枚持ってるけど全然好きじゃないバンド」でした。セカンド「Origin of Symmetry」がリリースされてもしばらくは興味なし。当時自分はレコードショップでバイトしていたのですが、ある日このアルバムを店内で流して初聴きしてみたところ、「Micro Cuts」で思わずレジで吹くという失態をやらかしました。この曲は全編ファルセットでオペラのような歌唱法で歌われ、後半メタルみたい展開する激しい曲なのですが、MUSEのその後の音楽性を決定付けた重要な曲だと個人的には思っています。MUSEは洋楽ロックバンドの中でも、好きな人と苦手な人が最もキッチリと別れるバンドだと思うのですが、嫌いな人の考える「嫌いな理由」を集約させたものがおそらくこの「Micro Cuts」なのではないでしょうか。この曲が好きなら彼らのどの曲もいけるし、この曲がダメならあまりMUSEをオススメできない、そんな曲ではないかと。


MUSE - "Micro Cuts" (from Hullabaloo)



その後、友人がやっていたMUSEのコピーバンドのライブを観て、あらためて「MUSEカッコいいかも」と思い、リリースから2年ほど遅れて「Origin of Symmetry」を購入。まあ、その「カッコいいかも」と思ったキッカケの曲が「Micro Cuts」だったというオチですが。サビ前の「ジャジャッ、ジャジャッ、ジャジャッ」にはシビレました。


「Origin of Symmetry」は確かに捨て曲がなくて、全曲パワフルでカッコよくて気に入ったのですが、当時は折しもポストパンク/ニューウェーヴ・リバイバル。The Raptureなどを好んで聴いていた自分にとっては、MUSEは新作が出る度にチェックするほどのレベルではありませんでした。やっぱりどこか「UNCOOLなバンド」っていう印象が強くて。マシューが一時期、髪を赤く染めてツンツンにしていましたが、そういうセンスも好きじゃなかったし。なので「Absolution」(2003年)、「Black Holes and Revelations」(2006年)、「The Resistance」(2009年)がリリースされた時も全部スルー。2002年と2007年のフジロック、2006年のサマソニにも出ていたけど全部スルー。「The Resistance」がrockin'onで年間ベストアルバムに選出された時も、「え、日本でそんなに人気あったっけ?」「昔の2枚は一応CD持ってるけど…」みたいな感じで。


そんなMUSEに対する評価が180°変わったのは2010年のフジロックに出演が決まったあと。そう、めちゃくちゃ最近です!ファーストはリアルタイムで聴いてたのに10年越し!


フジロック前に出演アーティストをチェックしていた時の話。「なんか最近のMUSEってライブがすごいらしいし、フジで時間あったら観てみよう。おや、海外でのライブのプロショットがYouTubeにフルで上がってる・・・ぽち。」



「えっ…なにこれ!すげー!MUSEのライブすげー!カッケー!!」


本当にそんな感じで、突然MUSEに目覚めたワケです。その時に観たのが、このライブ映像。


MUSE - The Resistance Tour (Live From Seattle, 2010)



まず、ステージのセットがカッコいい!それにこんなにド派手なステージで、それに見合ったド派手なパフォーマンスをするバンドって他にいないので、ものすごく新鮮に感じられました。歌もギターもキレッキレで、曲と曲の間もカッコいい音でジャムってて、ライブの間一瞬もダレないっていうのも好きだし、ギターやベースから今まで聴いたこともない音が出てきたり、とにかく「音」に対する探求心がすごいとも思いました。「Assassin」で聴けるようなドムの豪快なドラミングにも惚れました。





それからすぐに(フジロックの開催も迫っていたので)未聴のアルバムを揃えて聴き込んで、フジロックで観たんですが10年前に富士急ハイランドのコニファーフォレストで観たときとはもう完全に別のバンドでした。めちゃくちゃ興奮したし、CDよりも音が分厚くてカッコよかったです。特に「Knights of Cydonia」、ライブにおけるこの曲の迫力は、ちょっと僕の文章では表現しきれないものがあります。あとドムの衣装も笑えました(注:極度の虫嫌いのため、顔だけを出して頭まで包むシルバーのスーツに身を包んで登場)。この10年の間、フェスで3回も彼らを見逃したことをものすごく後悔しました。


自分がMUSEを好きな理由として、もちろんきっかけはライブだったけど、やっぱり「他に似ているバンドがいない」ということに尽きると思います。正直、MUSEは自分の好みのど真ん中の音からは外れているし、自分の中でもかなり異色な存在。それが逆に「未聴感」を強く抱くこととなりハマったんだと思います。「うわ、ここの歌い方気持ち悪いっ」「このピアノ、クサ過ぎw」「このメロディー、歌謡曲みたいでドラマチック過ぎw」「スペクタクル映画のスコアかよw」そう思うことは多々あるのだけど、そのスタイルがあまりに突き抜けているので全部オッケーになってしまうという、まあ、自分でも不思議です。「いいぞもっとやれ!」って思ってしまいますし。MUSEの曲は大衆性がある半面、取っ付きにくい部分もあるけど、ハマるとクセになるバンドだと思いますね。


そんなワケで2012年に6枚目のアルバム「The 2nd Law」が出たんですが、よくよく考えてみたらMUSEのアルバムをリアルタイムで聴くのって「Showbiz」以来。13年前から知っていたのに、実はファン歴がめちゃくちゃ浅いというカミングアウトでした。


さて、3日連続となるMUSE関連記事の第二弾はこんな内容でしたが、明日はいよいよ「MUSEのマイ・フェイバリット・ソングBEST20」を発表します!



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