フリートーク

スルメ盤の話。 -Teen DreamとBright Lights-

beach house teen dreamelliegoulding_brightlights.jpg


「スルメ盤」という言葉がありますよね。聴き込むほどにアジが出てどんどん好きになっていくような、飽きの来ないアルバム。今回はそんな「スルメ盤」についてのお話を。


※読みながらのBGMにどうぞ。
Beach House - Teen Dream (Full Album)




ただ単に大好きで何回聴いても飽きないアルバムは「スルメ盤」とは言わないかもしれません。先行シングルや先行試聴により高い期待値を抱いたまま、初めて聴いたときから名盤確定し、数年経っても定期的に繰り返し聴いてしまうような作品はスルメ盤というよりは「金太郎飴盤」と言った方が適切でしょう。僕にとっての金太郎飴盤は、ここ数年だとザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートの「Belong」やエミー・ザ・グレイトの「First Love」あたりですかね。

では「スルメ盤」というのは何かというと、むしろ初めはそこまで好きではなかったけど、あとからジワジワくるような作品のことなのではないでしょうか。こういう作品って、普通に好きな作品と比べても賞味期限が長いというか、数年後もヘビロテしている割合が高いように思います。

で、例えば僕のように、ブログで年間ベストアルバムとか記録していると、あとから見返した時に「うわーこのアルバム当時の評価低いなー、今ではこんなに好きなのに」ということもしばしば。そこでここでは、当ブログの2010年の年間ベストアルバムを例にとって、そんな「あとからジワジワきたスルメ盤」2枚を紹介したいと思います。




まずひとつ目はビーチ・ハウスの「Teen Dream」。これは2010年の年間ベストアルバムでは25位となっていました。当時と今現在、僕の音楽の好みはあまり変わっていません。でも、なぜこの時は25位だったのでしょうか?今の自分が2010年の年間ベストを考えたら、このアルバムは間違いなく1位に選ぶでしょうね。

ふたつ目は、エリー・ゴールディングの「Bright Lights」。2010年時点では24位となってますね。こちらは今の自分が考えたら2位ですかね。

そこで、自分なりに分析してみました。なぜこの「Teen Dream」と「Bright Lights」、初めのうちは良さがあまりわからなかったのか?

その答えは「固定観念」だと思います。最初に聴く前に、「このアルバムはこういう音だろう」というイメージを頭の中で固めてしまい、そのイメージと実際の音が食い違っていたために、「この作品はあんまりよくない」という印象を抱いたのだと思います。例えばビーチ・ハウスの「Teen Dream」を聴いたきっかけは、雑誌のレビューなどで「マイブラからの影響を感じさせる~」のように書かれていたからでした。でも聴いてみると全然マイブラっぽくなく、なんとなく肩透かしを食らったような気分にさせられました。エリー・ゴールディングの「Bright Lights」は最初もっとアコースティック寄りだと思っていたし、EDMとフォークという組み合わせが「この人は本当はアコースティックなサウンドをやりたいのに、プロデューサーがいろいろ過度な装飾を施してしまってるんだな」と思い込んでいました。

そんな両者の良さをあらためて認識したきっかけは、ともにライブでした。ビーチ・ハウスは2011年のフジロック、エリー・ゴールディングは2010年にイギリスで開催されたiTunesフェスティバルの模様をオンエアしたCS放送。


Beach House - "Zebra" / "10 Mile Stereo"
(Fuji Rock Festival '11)




Ellie Goulding - iTunes Festival Full Performance



つまり、最初に聴いた時に「あんまり良くない」と思っても、何かのきっかけで生涯のお気に入りアルバムになるようなことは結構あると思うんですね。だから、そういう長いこと聴いていないアルバムをたまに引っ張り出して聴き返してみるのも面白いんじゃないでしょうか。その当時とは少し趣味趣向が変わっていることもあるし、固定観念がなくなった今となっては、ストレートにメロディーの良さとかサウンドの心地よさが伝わってくるのではないでしょうか。また、ライブがそのきっかけを作ることも多いと思います。でもあまり好きじゃないアーティストのライブってわざわざチケット取ってまで観に行かないワケで、そこでYouTubeがあるってありがたい時代だなあと。もしくはフェスで何かのついでにちょろっとだけでも観てみるというのもアリだと思いますね。

ちなみに「Teen Dream」「Bright Lights」は2枚とも、今ではこの「2010年の年間ベストアルバム50」の中でももっとも頻繁に聴く作品になりました。そして両者ともこの次のアルバムを2012年にリリースしているのですが、面白いことに当ブログの2012年の年間ベストアルバムではエリー・ゴールディングの「Halcyon」が7位、ビーチ・ハウスの「Bloom」が2位なんですよね。これは明らかに、前作における個人的評価が長く持続したために2012年作がリリースした際の期待値が高まり、そしてその期待を裏切らない作品だったことによるものだと言えます。そしていずれも、2012年作を聴いてからさらに2010年作の評価が高まったことも付け加えておきます。


[補足]
エリーのデビューアルバムは「Lights」と、デラックス盤的な「Bright Lights」が存在しますが断然「Bright Lights」がオススメです。こちらのみに収録されている曲がどれも秀逸。



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