初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.57(2014年3月)

2014年3月に初聴きした音源の感想まとめ。あいかわらず旧譜ばかり聴いております。

<★の解説>----------------------
★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
----------------------------

では3月の「Album of the Month」から。

■■■■■Album of the Month■■■■■
Ellie Goulding / Halcyon Days [Deluxe Edition]
(2013)

★★★★★
Ellie-Goulding-Halcyon-Days-Deluxe-1.jpeg

2012年10月にもAlbum of the Monthに選んでいるEllie Gouldingの「Halcyon」(年間ベストでは7位)。ボーナストラックを多数追加したその増量デラックス盤が再びAlbum of the Monthに。「Halcyon」にも収録されていた曲は初聴きではないため、今回追加収録された曲のみでの評価です。つまりは全曲が素晴らしい。

すでにシングル・カットされ各国で大ヒットしている「Burn」「How Long Will I Love You」「Goodness Gracious」はもちろん他の曲も非常にクオリティが高くて、Madeon、Greg Kurstin、Ryan Tedderといった人気プロデューサーがたくさん関わっているだけある。でもEllie自身の歌やソングライティングが素晴らしいからこそ集まった人達だと思うし、アルバム1枚分ある新曲群をこのペースで制作してしまったことからも、彼女が今最も勢いのあるアーティストだということを実証していると思う。2012年10月のファースト・イシュー以来、US/UK/その他各国でロングヒットを続けているのも納得。

楽曲は大雑把に言ってしまえばEDMやエレクトロ・ポップ。ただ、どの曲もノリで押し切るのではなく残響音やキラキラ感が強調されたコズミックな美麗チューンに仕上げてあり、そこに乗るハスキーでハイトーンなEllieの声が最高にマッチしている。ポスト・ダブステップとエレクトロ・ポップをシームレスに繋ぐ存在と言えそう。

Ellie Goulding - "Goodness Gracious"




Cocteau Twins / Lullabies To Violaine, Volume 1
(2006)

★★★★★


4AD在籍時の82年から90年の間にリリースした9枚のEPのコンピレーション盤。彼らがリリースしたEP曲の多くはアルバムに収録されなかったので初めて聴く曲が多かったのだけど、特に初期のギターがギャンギャンしている感じがいかにもポストパンクな尖った音で、Elizabeth Fraserの気持ち悪いビブラート唱法も含めてかっこいい。時系列順なので後半はだんだんとソフトでドリーミーになっていくけど、現在のドリームポップの雛型とも言えるサウンドは古さを感じさせない。

Cocteau Twins - "Feathers-Oar-Blades"




BiS階段 / BiS階段 (2013)
★★★★★


いかにもJポップ/アイドル・ポップ的なキャッチーな楽曲と、耳をつんざくノイズの邂逅という点で、銀杏BOYZの「光のなかに立っていてね」と非常に近いものを感じた。BiSについてはあまり詳しくないけど、メロディー自体はいいのにJポップ特有のミックスバランスの悪さや、ギターやドラムなどの音のダサさがネックになっているという印象があった。そこに非常階段によるノイズとBiSの絶叫が加わることでいくらかごまかされて、逆にとても聞きやすくなっている。

ただそのミックスが雑なのも否めなくて、ほとんどやっつけ仕事に近い。新曲の「好き好き大好き」(戸川純のカバー)とラストの「BiS階段」を除いては既出音源にそのままノイズをかぶせただけで、各トラックのミックスバランスは再調整されていないと思う。これはBiS部分も含めてしっかりとミックスし直すべきだったところ。

とはいうものの、とてもポップで刺激的でコンパクトなので、ついつい何度も繰り返して聞いてしまう。3月の再生回数ではおそらく1位なくらいヘビロテしている。

BiS階段 - "好き好き大好き"




Pharrell Williams / Girl (2014)
★★★★☆


曲の構造自体はとてもシンプルなのに、最小限の音でファンキーなグルーヴを生み出しているのがすごい。ホーンやストリングスでアダルティかつゴージャスなテイストを加えているところはJustin Timberlake「20/20 Experience」に近く、実際にかなり参考にしていると思う。この路線ではジャスティンやRobin Thickeの後続ではあるけど、それぞれの良い部分をうまく吸収してファレルなりに再解釈した感じがただの「流行に乗っかった感」を与えない。



Kodaline / In a Perfect World (2013)
★★★★☆


Travisの最新作「Where You Stand」にも通じる、壮大で叙情的なサウンドと美しいメロディー(ジャケの雰囲気もどことなく似ている)。一切の捨て曲がなく、どの曲も押し並べてクオリティが高い。アイルランド出身のバンドということでU2譲りなところもありつつ、Mumford & Sons的なフォーク/カントリー色も強い。キラキラしてて高揚感のある「After the Fall」はColdplayとThe Killersのいいとこ取りみたいでかなり好き。



The Cure / The Cure (2004)
★★★★☆


2000年代以降のThe Cureの作品を聴くのは初めて。ドラムの音に顕著なように、やはり全体的に音の質感がモダンになっている。でも昔から全く芯がブレないところや、Robert Smithの艶のある声も含めてクオリティが衰えないところがすごい。中でも屈指の名曲「Taking Off」は、70年代「Boys Don't Cry」、80年代「In Between Days」、90年代「Friday I'm in Love」に続く、2000年代の彼らのベストソングと言えるのでは。



Pavement / Crooked Rain, Crooked Rain (1994)
★★★★☆


Pavementは後期の2枚(「Brighten The Corners」と「Terror Twilight」)しか持っていなくて、初期はもっと音質が粗くてノイジーで素人っぽいのをイメージしていたけど、オリジナル2作目である本作は特に後期と大差はなかった。彼らの最高傑作として挙げられることも多いだけあって、有名な「Cut Your Hair」「Gold Soundz」の他にも佳曲多し。今後残りの作品も集める予定。



Fever Ray / Fever Ray (2009)
★★★★☆


The Knifeのカリン嬢によるソロ。ジャケのせいもありThe Knifeよりもさらにダークでゴシックかつアヴァンギャルドなイメージを抱いていたけど意外にポップで、The Knifeとそこまで大きくは変わらない。"拒絶反応が起きそうな気がしたけど、いつの間にか惹かれている"というタイプのカリンの独特の声はやはり圧倒的にキモチ悪く神秘的(褒めてる)。



Siouxie & the Banshees / Tinderbox (1986)
★★★☆☆


ゴス/ポストパンク・バンドの7作目。以前のように音はジャキジャキしていないしゴス感が押し出されてはいなくて、メロディーは非常にポップ(≠明るいメロディー)。音質も全体的にクリアで、乾いた感じのドラムの音もかっこいい。ただ、「Juju」の頃のミステリアスな要素が幾分後退しているのは少し寂しい。



Pixies / Trompe le Monde (1991)
★★★☆☆


デビューEP「Come On Pilgrim」からリリース順に後追いで聴いているのだけど、作品を追うごとに好き度が増しているPixies。本作は大好きな「Alec Eiffel」も収録されているし、リリース当時クロスビートにおけるファン投票でも年間ベスト1位だったということで最高傑作に違いない!とかなり期待値高かっただけど、ちょっと肩すかし。これまで以上にポップな曲が並び、曲単位ではどれも好きではあるものの、曲順にもの凄く違和感を感じた。特に前半。



Blondie / Blondie (1977)
★★★☆☆


ニューウェーヴ/パンク・バンド、Blondieのデビューアルバム。バスドラがほとんど聴こえないせいか音が軽く感じるのが残念。でも彼女たちのルーツである60'sガールズグループ風のノスタルジックなメロディーはやはり好き。ちなみにこのジャケは氣志團がパロったことでも有名。



France Gall / 夢みるシャンソン人形 ~フランス・ギャル・ベスト (1989)
★★★☆☆
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日本の歌謡曲っぽい・・・いや、歌謡曲のルーツはそういえばシャンソンでした。CMでもおなじみの「Poupée de cire, poupée de son」をはじめとして、名曲がたくさん詰まったベスト。休日の晴れた昼下がりのBGMとして最適。



John Legend / Love in the Future (2013)
★★★☆☆


ソウルフルな歌声と美しくメランコリックなピアノを主軸に置いた作品。シングルカットされている「Who Do We Think We Are」も「All of Me」も好き。Kanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサーの一人ということで、彼の「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」にも通じるような、哀愁を帯びた美しさがある。



Cibo Matto / Viva! La Woman (1996)
★★☆☆☆


先日15年ぶりの新作「Hotel Valentine」をリリースしたばかり。そんな彼女らの記念すべきデビューアルバム。ミシェル・ゴンドリー監督による秀逸なミュージック・ビデオが有名な「Sugar Water」も収録されている。ヒップホップを軸に多様な音楽をミックスしたサウンドは、最近自分の中でも90'sリバイバル(Luscious Jacksonとか)が起きていることもあってツボだった。ただ、デモ曲風トラックを無理やり繋げたみたいな10分超の曲「Theme」は後半ダラダラ過ぎて余計だったかな。終盤の「Artichoke」もイマイチ盛り上がらなくて、アルバム全体としてはメリハリのなさを感じた。



808 State / Ex:El [Deluxe Edition] (1991 / 2008)
★★☆☆☆


BjörkやBernard Sumner(New Order)がボーカルで参加。当時はかなり評価が高かったのかもしれないけど、今聴くと正直古臭い(この時代のこういう音はこれからリバイバルがくるんだろうか)。インストのダンス・ミュージックとしては曲展開が現代のそれと比べてどうしてもつまらないし、ビートも薄っぺらく感じられた。デラックス・エディションとして付属されたボーナスディスクのリミックス音源の方がいくらか良かった。



The Most Serene Republic / Underwater Cinematographer (2005)
★☆☆☆☆


カナダの名門レーベルArts & Craftsからリリース。大所帯バンドらしくいろいろな音がカオティックに入り乱れているけど、そのせいで大事なボーカルやメロディーがかなり埋もれてしまっている。ボーカルは音量が小さいわけではないけど発音が不明瞭で、何を歌っているのか全くわからなかった(モゴモゴ適当に歌っているだけのように感じた)。手数が多いわりにドラムがヘタクソで、タイミングがところどころでズレまくっているのが気になってしまい、聴くのがだんだんツラくなった。最後の曲だけは音数もぐっと減りメロディックでシンプルだったけど、よく見たらボーナストラックで本編に収録されている曲のアコースティックver。再び聴くことはなさそう・・・(?)
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