初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.58(2014年4月)

2014年4月に初聴きした音源の感想まとめ。今月は新譜・旧譜ともに豊作でした。

<★の解説>----------------------
★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
----------------------------

では4月の「Album of the Month」から。
■■■■■Album of the Month■■■■■
Cloud Nothings / Here and Nowhere Else (2014)
★★★★★
Cloud Nothings - Here and Nowhere Else

2012年リリースの前作「Attack On Memory」が当ブログの年間ベストアルバム1位となったCloud Nothings。今回も当然期待はしていたものの、さすがに前作ほどの衝撃はないだろうと思っていたらまさかの前作超え。今回は「No Future/No Past」みたいなスロウな曲一切ナシに、全8曲・トータル31分の中にファストな曲だけをガンガン詰め込んだ激パンキッシュな内容。でもカオティックなインプロ部分も含め起伏に富んだ曲展開は、勢い一辺倒のバンドとは一線を画すものがあるし、密度が濃い分短すぎるということもなくちょうどよい長さ。

今回唯一の長尺曲であるM7「Pattern Walks」の後半、混沌としたノイズにまみれながらクライマックスを迎えた後で、これまでの暗闇を抜けたかのようなラストナンバー「I'm Not Part of Me」のせつなくもイノセントなメロディーがたまらなくグッとくる。既に公開されていたこの曲は、以前聴いた時にはいい曲だなー程度だったんだけど、この作品のこの位置で聴くとまるで今初めて聴いたかのように新鮮に感じられた。

あとこのバンドはやはりドラムが最高。前作よりもシャープな音作りになったし、(ライブでは以前からそうだったけど)テンポが遅くなったり早くなったりするところもとても好き。

Cloud Nothings - "Psychic Trauma"




Atari Teenage Riot / Delete Yourself! (1995)
★★★★★


ATRは以前から大好きなバンドだけど、ライブ盤によってすでに多くの曲を知っていたこともあって未聴だった1st。ロマンティックでドリーミーな「Sex」や、パーティ系レベル・ミュージック「Kids Are United!」なんかは2nd以降の彼らにはないキャッチーさがあってよかった。あとモロにプロディジー風な「Delete Yourself! (You Got No Chance To Win!)」や「Hetzjagd Auf Nazis!」もかっこいい。

Atari Teenage Riot - "Speed"




Gerling / When Young Terrorists Chase the Sun
(2001)

★★★★★


フジロックに出演経験もあるオーストラリアの3人組。サンプリングを駆使しつつヒップホップ、ハウス、ラウンジ、ギターポップ、ドリームポップなどさまざまな音楽をゴッタ煮にした不思議なサウンドながら、どれもメロディアスで超絶ポップ。オマケにKool Keith (Ultramagnetic MCs)や同郷のカイリー・ミノーグなど、ゲストがやたらと豪華。同じ頃オーストラリアから登場したThe Avalanchesはその後伝説的な存在になったのに、Gerlingは今や250円棚に置かれるような存在なのがちょっと不思議に思えるくらいクオリティが高い。

Gerling feat. Kool Keith - "Brother Keith on Destructor Mountain"




Rage Against The Machine / Renegades (2000)
★★★★★


MC5やThe Rolling Stones、Minor Threatなどをネタにしたカバーアルバム。カバーとは言っても、タイトルと歌詞を拝借しているだけでほぼRATMのオリジナルと言えそうなほどメロディーは大胆にアレンジされているので、原曲を知っていてもなかなかカバーとは気付かなそう。どの曲もRATMらしさがある反面、これまでの3枚のオリジナルアルバムにはなかったような展開も多々あって、単なる企画盤として軽視し(僕みたいに)聴かずにいるのはもったいない。実質4枚目のアルバムと位置付けてもいいと思う。そして5枚目のアルバム作ってくれないかな・・・。

Rage Against The Machine - "In My Eyes"




SOHN / Tremors (2014)
★★★★★


プロデューサーとしても活躍しているSOHNのソロ・デビュー作。すでに公開されていた「Lessons」や「Artifice」の時点でとても好きで、ポップ過ぎずアート過ぎずなところが気に入っている。よくJames BlakeやInc.なんかと比べられているけど、それらがそこまで好きなわけではない自分もSOHNにはグッときたのは、どちらかというと音がシンセポップ寄りで、ビートがどの曲もユニークだからかも。

SOHN - "The Wheel"




Led Zeppelin / Led Zeppelin Ⅳ(1971)
★★★★★


今月はツェッペリン勉強月間。ベスト盤とライブ盤しか聴いたことがなかったのでまずは初期4枚から聴いたけど、ツェッペリンの中でも最も売れたこのアルバムがやはり一番素晴らしい。特に「When The Levee Breaks」の重厚でモダンなドラム・サウンドは、71年の録音とはとても思えないほどにかっこよかった。

Led Zeppelin - "When The Levee Breaks"




Russian Red / Agent Cooper (2014)
★★★★☆


ベルセバのメンバーらを迎えてグラスゴーでレコーディングされ、サニーサイドなギターポップとなった前作「Fuerteventura」から一転、今回はシューゲイザー的な要素やストロークス以降のソリッドなギターロックを取り入れ、一気に音楽性が豊かになった印象。加えて、LAに拠点を移したせいかセクシーさや妖艶さ、そして退廃的なムードも出てきて、それがすごくいい味になっている。



EMA / Future's Void (2014)
★★★★☆


サイバー・グランジなビジュアルイメージがかっこいいEMAの2nd。冒頭からノイジーな「Satellites」、気だるい90's風グランジ「So Blonde」、ドリーミーなバラード「3Jane」三連発なのも素晴らしいけど、全体的にダークさとキャッチーさとセクシーさ、そしてロックンロールとエレクトロ・ポップが絶妙にブレンドされたサウンドがとてもクール。



Led Zeppelin / Led Zeppelin Ⅲ(1970)
★★★★☆


オープニングの「Immigrant Song」でド派手にハードロックを決めつつ、カントリーやトラッド色の強い曲が多い。でもダレることなくロックンロールな感じにまとまっているのは、曲順の並びのよさや一曲ごとの展開によるものが大きいと思う。前半はカントリー調でも後半はハードロックになったりと、各曲のアレンジも秀逸で、トータル的に完成度が非常に高い。



Led Zeppelin / Led Zeppelin Ⅱ(1969)
★★★★☆


1stにおけるブルージーでねっとりした感じはやや薄れ、よりブリティッシュ・ハードロックらしい音に。「Moby Dick」はほぼドラムメインでメルヴィルの「白鯨」を表現した、プログレッシヴな作風。1stと同じ年にリリースされたというのも驚き。



Led Zeppelin / Led Zeppelin (1969)
★★★★☆


ブルージーでねっとりした感じの曲が多くて、ロバート・プラントのハイトーン・ボーカルと見事にマッチしていると思う。「Good Times Bad Times」をはじめ、ボンゾのドラミングが素晴らしい。



Beastie Boys / Aglio e Olio (1995)
★★★★☆


ハードコア・パンクの曲のみ収録した全8曲・13分19秒のEP。一番長い曲でも2分2秒、短い曲は43秒という小品ながら、昨今のインディシーンを賑わせているハードコア・パンク寄りのバンドにも通じるものがある。



Plastics / Welcomeback Plastics (1981)
★★★★☆


先日亡くなった佐久間正英さんが在籍していた日本のテクノポップ・バンド。ローファイなリズムボックスの音や尖ったギター、エキセントリックにひっくり返った男女ボーカルと、僕が思い描く「ニュー ウェーヴ・パンクバンド」のイメージ通りの音でとてもかっこいい。B-52'sやTalking Headsと共演したというだけでもすごいけど、それらのバンドからの影響を強く感じさせ、タメを張るほどのクオリティなのもまたすごい。30年前の日本からこのような音楽が生まれていたことに驚き。



N'夙川BOYS / THANK YOU (2013)
★★★★☆


インディーズ時代の音源の再録を含むベストアルバム。インタールード的な数曲は余計にも感じられたけど、彼ららしさの象徴でもある。こうしてあらためて人気曲を聴くと本当にいいメロディーを書くバンドだと思うし、演奏の拙さも含め、真のローファイ・バンドとして日本の代表的存在とも言える。ただ、ボーナストラックのThe Cure「Boys Don't Cry」のカバーは英語がヘタ(ヘタウマじゃなく、悪い意味で)なのが惜しい。例えば少年ナイフみたいに、敢えて日本的な英語の発音で舌足らずに歌った方がマッチしたと思う。



The Rolling Stones / Their Satanic Majesties Request
(1967)

★★★★☆


素晴らしいサイケ作品。The Beatles「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に感化されて作ったらしい。失敗作とも言われているようだけど・・・。確かにサイケである以上にポップソングとしても成り立っていた「Sgt. Pepper's~」と比べるとポップさは弱いかもしれないけど、そのかわりぶっ飛び具合はこちらの方が高く、MGMTの最新作に通じるものを感じた。



Eyedress and Skint Eastwood / Hearing Colors
(2013)

★★★★☆
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カリフォルニア出身、フィリピンを拠点とするプロデューサーIdris Vicunaによるソロ・プロジェクトEyedressが、女性ボーカリストSkint Eastwoodを迎えた作品。ここからフリーDL可能。前半は近年のインディーR&B(この表現ほんとに何とかならないものか)にも通じるサウンドでビートもかっこいいけど、後半はドリーミーでチルな曲が多くなりちょっと退屈だった。



Blondie / Autoamerican (1980)
★★★★☆


彼女らの代表曲と言えば「The Tide Is High」「Rapture」「Call Me」「Heart of Glass」の4曲(だと思ってる)。そのうち2曲を含む5作目。冒頭から映画スコア風の壮大なオーケストラ曲、ジャズ、そして「The Tide Is High」のレゲエと目まぐるしく曲調が変わり、そういう点ではBlondieらしさ全開。これまでのアルバムではポップでメロディアスなギターロック/パンクがメインだったので、過去のイメージを一新し様々なジャンルを貪欲に取り入れた作品と言える。Primal Scream同様、曲ごとにイメージは変化するもののそれ自体がアイデンティティとなっているので、とっ散らかっているイメージはない(とっ散らかってはいるけど、そこにネガティヴな要素はない)。そして何年たっても色褪せない「Rapture」のかっこよさ、最高!



Kanye West / Graduation (2007)
★★★☆☆


本作3rdにてカニエのフルアルバムをコンプリート。2nd(Late~)→5th(My Beautiful ~)→4th(808's~)→6th(Yeezus)→Watch The Throne→1st(The College)とバラバラな順番で聴いてきたけど、一通り聴いてようやくカニエの飽くなき冒険心やアーティストとしての成長過程を俯瞰することができた。

個人的にはカニエのターニングポイントは母の死と、その影響下で制作された「808's~」だと思うけど、その前作にあたるこの「Graduation」では文字通り従来のパブリックイメージからの「卒業」を図り、まさに真の才能が開花する前のつぼみの状態であることがよくわかる。ソウルやオールドスクール・ヒップホップへの憧憬が感じられる1st、2ndと、エレクトロとミニマリズムとアート性を追求した4th以降のサウンドが程よいバランスで成り立っている。



De La Soul / De La Soul Is Dead (1991)
★★★☆☆


陽気で楽しいヒップホップ・トリオの2作目。基本路線は前作と変わらないけど、飛びぬけて「この曲がいい!」というのはなかった分インパクトには欠ける。あとSkitが多数挿入されているせいもあり、曲数がめちゃくちゃ多いのが残念。



Galaxie 500 / On Fire (1989)
★★★☆☆


サイケデリックの名盤として挙げられることの多い本作。Spiritualized、Spacemen 3あたりもしくはThe Velvet Underground系のイメージを抱いていたけど、ガレージっぽさはなくてギターポップやフォーク/カントリー調の曲が多い。「うた」を重視したアコースティック寄りのサウンドは強いて言えばR.E.M.、そしてカントリー/フォークの中にサイケデリアを孕んだサウンドはMazzy Starに近いと思った。



CEO / Wonderland (2014)
★★★☆☆


先日SpincoasterのイベントSPIN.DISCOVERYでもDJ出演してくれたCEO。前作「White Magic」は当ブログの年間ベストアルバム1位だっただけに続くセカンドも期待大だったけど、求めている方向性とは違ったかな。前作よりもカラフルでトライバルでチャイルディッシュになり、祭囃子的な躁状態サウンドへと変化を遂げたものの、これはちょっと馴染めなかった。あと、ボーナストラックのビヨンセのカバー「Halo」が前奏カットされているのは何なんだろう?



Captain Beefheart and His Magic Band /
Trout Mask Replica (1969)

☆☆☆☆☆


ロック名盤としてよく聞く名前とよく見かけるジャケット。聴いたことはないけど、闇鍋的な感じで借りてみたものの・・・全く理解できず。フランク・ザッパがプロデュースだそうで、ひと言で表すなら「変態的」。メロディーらしいメロディーのない曲も多く、適当に演奏しているだけなのでは?と思える曲、ダミ声で奇妙なメロディーを歌うアカペラ曲など全28曲。後半かなり飽きた。
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