初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.59(2014年5月)

2014年5月に初聴きした音源の感想まとめ。今月は、今年に入ってから一番新譜を買ったかも。

<★の解説>----------------------
★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
----------------------------

では5月の「Album of the Month」から。


■■■■■Album of the Month■■■■■
Lily Allen / Sheezus [Deluxe Edition] (2014)
★★★★★
Lily-Allen-Sheezus.jpg

結婚・出産を経ての5年ぶり3作目。メインプロデューサーは過去2作にも関わっていたグレッグ・カースティンで、今作はこれまで以上にメインストリーム寄りのサウンドという印象。R&Bやヒップホップがメインストリームに台頭してきた90年代初頭の王道ポップス風サウンドが懐かしさを感じさせる「Insincerely Yours」と「Close Your Eyes」、ブロステップ風ウォブル・ベースがうなりまくる「URL Badman」、MIKAの「Blue Eyes」っぽいリズムの「Life for Me」などサウンドの引き出しもヴァラエティに富んでいて面白い。

そんな粒揃いの楽曲の上でリリーの可憐で奔放な歌声が弾けていて、中でも「Air Balloon」の中毒性の高さは年間ベスト級。「言いたいこと言わずにいられない!」とばかりのリリー節も健在で、カムバックに相応しい期待以上のクオリティにUKチャート初登場1位も納得。

通常盤ではラストはKeane「Somewhere Only We Know」のカバーでしっとりと締めくくられているんだけど、本編ラスト「Hard Out Here」の最後の「ビッチ!」で締めくくるのが最高にクールだと思ったのでデラックス盤を購入。こちらのボーナスディスクは先述のKeaneのカバーを含む全5曲。さすがに本編収録曲と比べると地味でパンチは弱いけど、それでも聴かずにおくのはもったいない佳曲ばかり。

Lily Allen - "Air Balloon"




Heartsrevolution / Ride or Die (2014)
★★★★★


EP『CYOA! 』が出たのが2007年だから…もう7年前!その頃からフルレングスのリリースを心待ちにしていたものの、あまりに出ないのですでに気持ちが冷めてしまっていたところで突然のリリースのアナウンス。あまり期待せずに聴いた先行曲「Kiss」が、彼女らの魅力を3分間に凝縮したようなバブルガム・ガーリィ・エレクトロ・パンクでぶっ飛んだ。この曲のみならず、「キシカイセイ、キシキシカイセイ、カモン」と歌われる「Kishi Kaisei -起死回生-」もまた強烈なフックを持った、ついつい口ずさんでしまいたくなるようなポップチューン。

Heartsrevolution - "Kiss"




The Horrors / Luminous (2014)
★★★★★


4作目。個人的には前々作『Primary Colours』は大絶賛で前作『Skying』はあまり好きではなかったけど、本作はその2作両方の良い部分を引き継ぎつつもネクスト・レベルに押し進めた、いわば彼らの成長過程の縮図のような作品だと思う。「So Now You Know」ひとつをとってもイントロのシューゲイザー風ノイズは『Primary Colours』期を彷彿させるし、浮遊感のあるキラキラしたシンセの音色は『Skying』の延長線上にある。前作で物足りなく感じたグルーヴ感はここではしっかりと補完され、自然にゆらゆらと体が動き出してしまうような心地よさがある。

The Horrors - "So Now You Know"




大森靖子 / 魔法が使えないなら死にたい (2013)
★★★★★


アコースティックギターによるジャパニーズ・フォーク調の弾き語りを中心としながらも、「音楽を捨てよ、そして音楽へ」では泉まくらやdaokoを連想させるゆるふわラップ、「新宿」では歌詞にきゃりーぱみゅぱみゅが登場するエレクトロ・ポップ(自らの手による打ち込み)など、ヴァラエティに富んだ内容。しかし何よりも、アイロニーや自嘲を込めた印象的なフレーズが散りばめられた歌詞が素晴らしい。鋭利に研ぎ澄まされた言葉がズブッと心を突き刺してくる。本作から1年を置かずにリリースされた2nd『絶対少女』もぜひ聴いてみたい。

大森靖子 - "魔法が使えないなら"




Drake / Nothing Was the Same [Deluxe Edition]
(2013)

★★★★★


音数をグッと絞ることでピアノやビートのリバーブ音を引き立たせたクールなトラック多し。Ellie Gouldingの「Don't Say A Word」をサンプリングした「Pound Cake」もエモーショナル。デラックス盤だと全16曲で70分以上あるのが長すぎてツライけど、ボーナストラック含めどの曲も捨て難いクオリティ。ただ、このアルバムの中で「Hold On, We're Going Home」だけやや浮いてしまっているのが、いい曲なのにもったいないと思う。

Drake - "Wu-Tang Forever (It's Yours)"




may.e / REMINDER (2014)
★★★★☆
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昨年リリースのアルバム『私生活』が当ブログの年間ベストアルバム2位に選出された女性シンガーのミニアルバム。次のアルバムのデモが中心となっている。

リヴァーブのかかったシンプルなギターの爪弾きとボーカルは相変わらず素晴らしい。軽快なリズムの「メトロ」や小鳥のさえずりのような口笛の入った「クラシック」などノスタルジックな要素が強く感じられ、幼い頃の自分が公園で遊んでいる風景を収めた8ミリ映像をぼんやりと眺めているような感じ。どの曲も素晴らしいけど、年内にリリースされるであろう次のフルアルバムに期待を込めて星4つに留めておきたい。

may.e『REMINDER』はこちらのBandcampからフリーDL可能。



キノコホテル / マリアンヌの呪縛 (2014)
★★★★☆


4作目となるフルアルバム。前作『マリアンヌの誘惑』ではそれまでのGS歌謡的イメージを払拭するかのようにアッパーでパンク色が強い作品だった。今作のリード曲「ばら・ばら」もまたアッパーなガレージロックで、エンジニアをこれまでの中村宗一郎から南石聡巳にチェンジしたこともあってか、ハードエッジなギターとぶっといベースがうねりまくり。ボレロ調のリズムが新機軸なインスト「ボレロ昇天」から始まり、2曲目は王道のキノコホテル的な「冷たい街」、3曲目はミニマルなベースとドラム、耳をつんざくようなフリーキーなギター、ディレイのかかった幽玄なボーカルが絡む、7分超えのポストパンク「Fの巡回」。この曲は間違いなく本作のベストトラックであり、キノコホテル史上ベストトラックとも言えそう。願わくばこの曲をリード曲にしてほしかったところ(ネット上に音源が上がっていないのが残念)。

にしても、「アンタ、それでもキン○マ付いてんの?」というセリフの入ったインスト「ゴーゴー・キノコホテル」はちょっとネタ過剰気味。曲順に関してもやや不満あり。



Slowdive / The Shining Breeze:
The Slowdive Anthology (2010)

★★★★☆


オリジナルアルバム3枚は持っているので、それ以外のEP曲を補完するために借りたアンソロジー盤。2枚組全31曲のフルボリュームで、半分くらいはアルバム収録曲のため既聴だったけど、今回初聴きとなったEP曲はかなりよかった。Slowdiveは昨今のドリームポップ系バンドに多大な影響を与えたと思うけど、やはり本家本元は別格で、Slowdiveを聴くとほとんどのドリームポップ系バンドがつまらなく感じてしまうほど。



Oh Land / Oh Land (2011)
★★★★☆


2013年にリリースされたアルバム『Wish Bone』が当ブログの年間ベスト10位だったデンマーク出身のマルチ・プレイヤー、Oh Landの2011年作。2012年にオーケストラとクワイア(合唱団)を大勢率いて行ったライブ映像が先日公開されたのだけど、観終わって3分後にはこのアルバムを購入していた。

緻密に構築されたエレクトリックかつオーガニックなトラックとコケティッシュなボーカルがマッチしており、凝った演出や衣装、荘厳で神秘的なムード漂うステージングはビョークにも通じるものがある。現代において最も実力と知名度が見合っていない女性ソロ・アーティストなのでは?

歌、演奏、演出、衣装、全て完璧なライブ映像はこちら。
Oh Land - Wolf & I [Live Orchestral Version]



De La Soul / Buhloone Mindstate (1993)

★★★★☆

先日、過去タイトルを期間限定で無料配信していた彼ら。ファーストから順を追って聴いてるけど今回はその3作目。前作は曲数が多くて長いということもあってあまり印象に残らなかったけど、本作ではこれまでのピースフルで楽しげなヒップホップから一転、ウッドベースのサンプルループや90年代らしいビートを用いて急にATCQみたいな小洒落た音になった気がする。長さもコンパクトになり、女性ラッパーをフィーチャーしたり、スチャダラパーと高木完による日本語ラップが飛び出したりと聴きどころも満載。各トラックの個性が光っている。



Nine Inch Nails / Broken (1992)
★★★★☆


全99曲入りのEP(と言っても正確には8曲で、あとは無音トラック)。YouTubeでライブ映像観ていた時に思わず「カッケー!!」と(心の中で)叫んだ「Wish」目当てだったんだけど、やはりこの曲は否応なしにかっこいい。無機質なビートとメタリックなギターによるカオティックなサウンドは、そのまま2年後の大ヒットアルバム『The Downward Spiral』へと繋がる布石となっている。



N.E.R.D. / In Search of… (2002)
★★★★☆


2004年の『Fly or Die』と2008年の『Seeing Sounds』はよく聴いていたものの、未聴だったファースト。生音のバンドサウンドが中心ながらロックっぽさはなく、オーソドックスなヒップホップ作品に仕上がっていてかっこいい。ただジャケはテレビゲームしてる旧バージョンの方がよかった。



De La Soul / Smell The Da.I.S.Y.
(Da Inner Soul of Yancy) (2014)

★★★★☆
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J Dillaのプロデュースによる未発表トラック集となるミックステープ。やっぱりディラすごい、トラックがかっこよすぎる。以下リンクからフリーでDL可。
[Download] De La Soul / Smell The Da.I.S.Y. (Da Inner Soul of Yancy)



Skrillex / Recess (2014)
★★★☆☆


去年も「デビューアルバムが期待されるアーティスト10選」で1位に選出するなど、個人的に超待望だったフルアルバムが遂にリリース。ダブステップという括りには収まらないラガマフィンやドラムンベース、ジュークなど様々なビートが鳴らされていてヴァラエティに富んでおり、緩急をつけたアルバム全体の流れにも工夫がみられる。

でも『Scary Monsters~』や『Bangarang』といった過去のEP収録曲と比べるとフックが弱いというか、一瞬でグッと心を掴まれてヘドバンしたくなるような瞬間が少なく物足りなさを感じた。これも期待値が高すぎたゆえだけど、とりあえず現時点では「まあ普通にいいね」くらいの作品。



The Cure / Wild Mood Swings (1996)
★★★☆☆


まだまだ終わらないThe Cure旧譜探訪の旅・90年代編。『Pornography』の頃を思い起こさせるダークな「Want」から始まるも、南国風味な「The 13th」、小洒落たAOR「Gone!」、ブラスがいい味出してるアッパーチューン「Return」などThe Cureの音楽性の広さを堪能できる一枚。まとまりはないけど良曲多し。



Sweet Valley / F.A.N.G. (2014)
★★★☆☆
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WavvesのNathanによるプロジェクト。Sweet Valley公式BandcampにてフリーDL可。こちらはヒップホップやR&B、ダブステップ、ウィッチハウス、チルウェイヴなどをゴッタ煮にしたようなエレクトリックな作風。アシッド感がすごい。ジャケもヤバイ。



Pharrell / In My Mind (2006)
★★★☆☆


念のため言っておくけど、今さら本作を聴いたのは「Happy」のヒットがあったりMステに出演したからではなく…。6年ほど前からCD-Rで所持していたものの、一度も聴くことなくその存在を忘れてしまっており、先日引越しをした際にたまたま発見したから。本作はあまり売れなかったらしいけど、ただいま大ヒット中のセカンド『GIRL』と基本路線は変わっていない気がする。この頃も相変わらずファレルのファルセット・ボーカルはとてもセクシー。この頃からすでに人気はあったはずだし、あまり売れなかった原因は単純にジャケのせいでは…。



The Rolling Stones / Steel Wheels (1989)
★★★☆☆


80年代のストーンズ作品を聴くのは初めて。もしかしてディスコやエレポップに感化されたちょいダサい感じなのでは?と思ったら全くそんなことはなく、序盤からストーンズらしいアッパーなロックンロールでかっこいい。ただこの時代は、僕がストーンズに求める南部っぽさはないんですね。



Beastie Boys / Licensed to Ill (1986)
★★★☆☆


記念すべきデビューアルバム。初期(80年代)のビースティーズはビートとラップが主体で上モノが弱い印象。そんな中でもやはり名曲「(You Gotta) Fight for Your Right (To Party!)」の存在が圧倒的。



Beastie Boys / Paul's Boutique (1989)
★★☆☆☆


これも『Licensed to Ill』と同様にビートとラップがメインでおとなしめ。オーセンティックなヒップホップ作品としては純度が高いとは思うけど、彼らの豊かなミクスチャー感覚とポップさの絶妙なバランス感が完全に開花するのは次の『Check Your Head』(2月にAlbum of the Monthとして選出)からか。彼らがたまに覗かせるカントリーな側面は以前から好きなので「5-Piece Chicken Dinner」がいいアクセントになっていてよかった。



R.E.M. / Green (1988)
★★☆☆☆


以前聴いた『Automatic for the People』は美しい曲が多くて結構よかったけど、どうも僕にはR.E.M.の良さがわからない。彼らの魅力の一つであろう歌詞の意味がよく分かってないこともあるだろうし、もちろん嫌いとか苦手というわけではない。でも、「偉大なロックバンド」「偉大なロックボーカリスト」「偉大なロックアルバム」といったリストに彼らの名前を見るたびに、果たしてそこまで?と思ってしまう。耳あたりがよすぎるせいか、あまり印象に残らなかった。



まつきあゆむ / ディストーション (2006)
★★☆☆☆
まつきあゆむ ディストーション

『Odelay』期のベック、もしくはポスト中村一義的な認識でいたのだけど、2006年作なせいか思ったよりも普通のサウンドだった。とはいえ多彩なアイデアとユニークな歌詞で、天才肌であることがこの頃からすでに見え隠れしている。その後の作品もぜひ聴いてみたい。

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