初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.60(2014年6月)

2014年6月に初聴きした音源の感想まとめです。

<★の解説>----------------------
★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
----------------------------

では6月のAlbum of the Monthから。


■Album of the Month■
Coldplay / Ghost Stories (2014)
★★★★★
Coldplay - Ghost Stories

ユーフォリックに満ちていた前作『Mylo Xyloto』の反動か、一貫して「静」のムードに包まれた、美しく抒情的なコンセプト・アルバム。本作で唯一とも言えるアッパーなアンセム「A Sky Full of Stars」ですら神聖さを感じさせる。Aviciiプロデュースによるこの曲は、AviciiとColdplayがお互いの魅力を最大限に引き出すことに成功した最高のコラボ・ナンバーだと思う。世界で最も売れているバンドになってもなお進化を恐れずに、彼らがデビュー当時から持ち合わせていたロマンティックで繊細な感性が惜しみなく発揮され、アルバム全体を通してそれが貫かれているのが素晴らしい。

Coldplay - "A Sky Full of Stars"




Falty DL / Hardcourage (2012)
★★★★★


80年代後半のアンダーグラウンドなテクノとAphex Twinのアンビエント・ワークスの融合のような美しい作品。と同時にアーバンな雰囲気も漂い、夜が似合う作品でもある。アートワークもサウンドに合っていて好き。

Falty DL - "Straight & Arrow"




Sharon Van Etten / Are We There (2014)
★★★★☆


これまでよりも明るい曲調が増えたものの、声は相変わらず、というよりもさらにアンニュイで艶めいている。打ち込みやキーボードが効果的に使われてサウンド的にも幅が広がり、ビートに重きを置いた曲が増えた印象。特に「Our Love」のビートがかっこいい。



Chromeo / White Women (2014)
★★★☆☆


Justice以降のエレクトロ・ブームの中でブレイクしつつも、ブーム終焉後も一貫して「ファンキー」を追求している彼らの4作目。アッパーな四つ打ちトラックよりもミティアムテンポの曲の方が彼ららしいねっとりしたセクシーさが感じられて良かった。



Run-D.M.C. / Raising Hell (1986)
★★★☆☆


Aerosmithをフィーチャーした「Walk This Way」を収録した、ヒップホップ・クラシックとも言える作品。この時代のヒップホップの特徴であるチープなリズムマシンの音がかっこいい。ちなみに最近知ったのだけどここで言う「Walk This Way」とは「俺についてこい」でも「こんな風に歩け」でもなく、経験のある年上女性が童貞君に手とり足とり教えてあげている意味らしい。へぇ。



Beastie Boys / Ill Communication (1994)
★★★☆☆


本作の前作にあたる『Check Your Head』(当ブログではAlbum of the Month獲得)で開花した彼らのミクスチャー感覚がさらに爆発。「Sure Shot」、「Root Down」、「Sabotage」など人気曲も多数収録されている。ただヒップホップ、パンク、ファンクという3本柱のミクスチャーは基本『Check~』と同じ路線なので、あの時ほどの新鮮さはなかった。



De La Soul / Stakes Is High (1996)
★★★☆☆


かっこいいんだけど、純粋な「かっこいいヒップホップ」にまとまりすぎていて、デビュー作『3 Feet High and Rising』の頃持っていたピースフルな雰囲気や『Buhloone Mindstate』におけるフリーキーさがあまり感じられなかった。もう少し予定調和を崩すくらいの自由さがあってもいいかなと。



Black Sabbath / Paranoid (1970)
★★★☆☆


オジー・オズボーン率いるヘヴィ・メタル・バンドの2作目。同じくイギリス出身であるLed Zeppelin同様、ブルーズに影響を受けた重々しいサウンドが、悪魔崇拝や黒魔術的なイメージとも相まってかっこいい。



ジャックス / ジャックスの世界 (1968)
★★★☆☆


海外からも高く評価されている日本のサイケデリック・バンドによる、活動中にリリースされた唯一のアルバム。実は10年以上前から友人に勧められていて、ようやく初めて聴いた。ゆらゆら帝国のようなサウンドをイメージしていたけど全然違った。でも退廃的な中にも漫画っぽさがある歌詞は確かに坂本慎太郎に通じるものがある。「僕 死んじゃったのかな 誰が殺してくれたんだろうね」という歌詞がインパクト大。



Death Grips / Niggas on the Moon (2014)
★★★☆☆
Death Grips Niggas on the Moon

ビョークが参加というトピックもあり大いに期待していたけど、正直そこまでのインパクトはなかった。ヒップホップの要素は後退し、だんだんとエクスペリメンタルな要素が強くなってきている気がする。彼らの凶暴で野蛮なサウンド中にもあったポップさ、キャッチーさが良いと思っていたので、その辺が弱くなってしまったのは残念。ただ彼らの作品は後からジワジワ評価が高まることがほとんどなため、今回もどうなるか…。



銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ / SEX CITY ~SEXしたい~ (2010)
★★☆☆☆


同名映画の劇伴作品ということで、短いインストだったり、へヴィメタルだったりフォークだったりと幅広い楽曲が収録されている。映画を観ていないためこれらの楽曲の意味を正しく理解できないのが残念。主題となるメロディーが複数の曲で繰り返し登場するのはいかにも映画サントラっぽいけど、終盤になるとそのメロディーがややくどく感じられてしまった。



銀杏BOYZ / BEACH (2014)
★★☆☆☆


銀杏BOYZの各アルバムを聴きこんだ今だからこそ聴ける作品。ライブ・リミックス盤という名の通り、ライブ音源にエフェクトなどを加え、壮絶なノイズ・アルバムに仕上がっている。おそらく原曲(オリジナル・アルバムの方)を聴く前にこれを聴いていたら意味が分からなかったと思う。にしてもノイズが強すぎて、いい部分まで掻き消されてしまっているのが非常にもったいない。『光のなかに立っていてね』が素晴らしかった分、本作も期待度が大きかっただけにそれが残念。しかしそんな中でも「はじまり」や「東京終曲」といった、美しいサウンドスケープを描くエレクトリック・アンビエント曲は素晴らしかった。

なお、2回目以降に聴いた際は初聴き時のガッカリ感も薄れ、もっと高い評価になっている。
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