初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.61(2014年7月)

2014年7月に初聴きした音源の感想まとめです。7月は例年フジなんちゃらのせいで初聴き音源数が少ないのですが、今年も少なめでした。当たり前だけど、枚数少ないとこの記事書くのラクですね。

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★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス
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では7月のALBUM OF THE MONTHからいきます。


■ALBUM OF THE MONTH■
La Roux / Trouble In Paradise (2014)
★★★★★
La-Roux-Trouble-In-Paradise.jpg

La Roux名義のデュオとして発表された2009年のデビューアルバム『La Roux』、僕は駄作だと思っている。確かに「Bulletproof」はそれなりにいい曲だった。「In for the Kill」は、Skreamによるリミックスは良かった。それだけ。あのアルバムが僕に響かなかった理由としては、(これは彼女らのせいではないんだけど)メディアからよく「80's風のサウンド」などと形容されていることに違和感を感じたから。僕にとっての「80's」とは「Let's Dance」であり、「Relax」であり、「Electric Youth」であり、「Like A Virgin」であり、「Do You Really Want To Hurt Me」であり、「Club Tropicana」だ。つまり、享楽性とデカダンスとセクシーさがなければならない。あのデビューアルバムにはそれらが確実に欠落していた。

実質的にエリー・ジャクソンのソロ・プロジェクトとなってのセカンドである本作には、そんな「自分のイメージする80's」なムードがふんだんに盛り込まれている。それは決して「80'sエレクトロ・ポップ」ではなく、あの頃と同様にごく自然にシンセやパーカッションやサックスが取り入れられた、あくまで「ポップス作品」として仕上がっている。享楽的で、退廃的でセクシーなトラックの数々。「Uptight Downtown」なんて、完全にボウイの「Let's Dance」のオマージュだ。

彼女は2、3年前、「もう以前のようなエレクトロ・ポップはやらない」と語っており、すでに彼女に何の期待もしていなかった僕は「ああ、このまま地味シブ路線で没個性的なSSWになって忘れ去られていくんだろうな」と思っていた。けれど、彼女はこうして僕が絶賛するような作品を(思いがけず)作り上げてきて、嬉しいというよりむしろ驚いている。これを機にファーストを再評価することはないけど、このアルバムは今後も聴き続けていくだろう。

それと、最も重要なこと──本作のアートワークは僕の年間ベスト・アートワーク1位になるだろう。

La Roux - "Uptight Downtown"




Ed Sheeran / X (2014)
★★★★★


前作で打ち出された「アコースティックな男性SSW」というイメージも、彼の楽曲から伝わる繊細さや実直さがあらわれていて良かったけど、本作ではファレル・ウィリアムスの参加やリック・ルービンによるプロデュースでロック/ソウル/ヒップホップ色が強まり、いい意味でチャラくなって、エド自身の本質的なアーティスト性が爆発している。従来通りの美しくエモーショナルなアコースティック・ナンバーと新機軸のグルーヴィーな楽曲を、緩急を付けてバランスよく配置することで、全17曲ながら冗長さを感じさせない。

ファレル参加のシングル「Sing」が特に大好きなんだけど、ここではあえてエドのラップ・スキルが素晴らしすぎる「Take It Back」を取り上げたい。

Ed Sheeran - "Take It back"




Ultraviolence / Killing God (1998)
★★★★★


僕が中学生の頃、同じ勉強部屋の兄はロッテルダム・テクノ(いわゆるガバ・テクノ)にハマっていて、歪んだ高速キックを延々と爆音で聴かされたものだった。それが原体験となり数年後に僕はAlec EmpireおよびAtari Teenage Riotにハマることになるのだけど、まさかその頃の記憶がこんな形で蘇るとは。91年結成、ジャンル的には「hardcore techno/gabber, breakbeat hardcore, industrial techno, power noise, metal and rap」(Wiki参照)となっているロンドンのデュオによる3作目。

きっかけは銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』収録の「I DON'T WANNA DIE FOREVER」だった。この曲でサンプリングされているというUltraviolenceとは?と思い聴いてみると、ネタに使われた「Psycho Drama」という曲は結構な古臭い(そしてダサい)ハードコア・テクノだった。しかし関連音源を辿るうちに本作収録曲を聴いたら、初期ATRを彷彿させる高速ガバ・ビートとトランス&レイヴィーなシンセ、かっこいいサンプリング・ボイスに一瞬で心を掴まれ、即買いしてしまった。

Ultraviolence - "Still"




Bombay Bicycle Club / So Long See You Tomorrow
(2014)

★★★★☆


全英1位を獲得した4作目。前作は「Shuffle」が好きだったんだけど他の曲は何だか印象が薄くて、アルバムの評価としては高くなかった。今回のアルバムはそれぞれの曲にいろんな魅力があって、シングル曲中心に聴きどころが多かった。特にアラビア風なM8「Feel」が面白い。緻密なリズムとエレクトリックなサウンドで構成されたインテリ系ダンス・ポップ。



The Raveonettes / Pe'ahi (2014)
★★★★☆


デンマークのドリーミー・シューゲ・デュオ新作。2002年のデビュー以来ペースを緩めることなくリリースを続け、早いものですでに7作目。今回は事前に「ダークでノイジーな作品になる」と宣言していたので、近作のマンネリ状態から脱却かと思われたが、そこまで劇的には変わっていない。異なる点として特筆すべきはビートで、ヒップホップ系ビート(それも90年代のラップ・ポップス的な)が用いられている曲が多いほか、1曲目「Endless Sleeper」ではボサノバ風のビートが新鮮。

哀愁を漂わせつつも60'sガール・ポップ風のキャッチーなメロディは相変わらず。安定の良作だけど、そろそろこれまでとは全く異なる試みがほしいところ。



LLLL / Paradice (2014)
★★★☆☆
LLLL Paradice

東京を拠点とするシューゲイザー/シンセ・ポップ・バンド。Meishi Smileが運営するカリフォルニアのレーベルZoom Lensからのリリースで、Bandcampにて入手可。

使っている音やヒンヤリした質感はよくありがちなサウンドだけど、ダブステップなどを通過しつつも定型のフォーマットにはまらない自由なビートが個性的で面白い。そんな中でも80'sシンセ・スネアがかわいらしいM4「Because of my eyes」やシンプルなビートのM8「Quietly」などはJポップのようにも聞こえる。全体的には既聴感が拭えなかったのだけど、終盤のM12「Oddness」ではフリージャズのトランペットのような暴走気味のシンセがスリリングな展開を見せ、グッと引き込まれた。その後ラストを飾るM13「You」のキャッチーなメロディも良い。
[Zoom Lens Official Bandcamp]



De La Soul / Art Official Intelligence: Mosaic Thump (2000)
★★★☆☆


これまでと比べてトラックの音数が減ってグッとミニマムになり、生音よりもエレクトリックな音が前面に押し出されている。歌詞を読んでいないので詳細は不明だけど、「Art Official Intelligence」というタイトルやオープニングのタイピング音からも、わりとシリアスなコンセプト・アルバムという印象を受けた。

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