初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.68(2015年2月)

2015年2月に初聴きした音源の感想まとめ。新譜はちょっと少なめです。



★★★★★ 年間ベストアルバム20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースではない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベストアルバムの20位以内クラス



2月のALBUM OF THE MONTHは、これまで苦手だったこのバンド!


■ALBUM OF THE MONTH■
Hole / Celebrity Skin (1998)
★★★★★
Hole-Celebrity-Skin.jpg

自分にとってコートニー・ラヴは、「嫌いな女性ボーカリスト・ワースト3」に入るくらいの存在だった。というのは何も、素行不良なイメージや、カートやデイヴ・グロールとのあれこれのせいではなく(僕は特にカート信者ではないし)、単にあのしゃがれた声質が好きじゃなかったから。実はこのアルバム、学生時代に一度借りたことがある。所属していた音楽サークルで突然「Celebrity Skin」と「Playing Your Song」のドラムを叩いてくれと頼まれたからだ。渋々受けたものの、好きではないので課題のこの2曲以外は一切聴かなかった。

それから15年近い月日が流れて、Perfect PussyやWhite Lungといった荒々しいイメージの女性ボーカルにも耳が慣れてきたせいだろうか、ふとHoleの曲を聴いた時に「今なら聴けるのでは?」と思い、本作を中古で購入。するとあのハスキーな声が昔のように嫌悪感を抱くものではなく、むしろかっこいい印象になっていたばかりでなく、「Awful」や「Malibu」における優しげな(どこかジュリアナ・ハットフィールドを思い出させる)歌い方や「Hit So Hard」のけだるい感じなど、意外にも表情豊かなボーカルであることに気付かされた。

メロディも全体的にハードというよりはメランコリックなものが多く、「Northern star」などはアレンジがまるでスマパンの「Disarm」!と思ったら、本作はビリー・コーガンが全面的に参加しているようだ。この曲はコーガンによる作曲ではないものの、少なからず「Disarm」を意識をしたことは間違いないだろう。その他の曲に関しても各曲の緩急や陰陽といった要素がバランスよく配置され、バラエティに富んでいながら飽きさせない構成が秀逸だった。

Hole - "Awful"




Janet Jackson / Control (1986)
★★★★★


先月購入した『Janet Jackson's Rhythm Nation 1814』に続いて、その前作にあたるこちらも購入。ヒットシングル「Nasty」や「When I Think of You」を含むことを差し引いても、全9曲42分というコンパクトな内容や曲順の流れ、ジャケットのかっこよさなど含めトータル的にこちらの方が優れていると思う。

Janet Jackson - "Control"




Aphex Twin / Computer Controlled Acoustic
Instruments Pt 2 (2015)

★★★★★


『SYRO』は「エイフェックスらしい音を出す」という意味で彼らしい作品だったけど、本作は「エイフェックスらしいことをやる」という意味で実に彼らしい作品である。タイトルの通り、彼が生演奏したらしいドラムやプリペアド・ピアノの音をサンプリングしてプログラミングした作品集。全13曲ながらEP扱いなのもそのはずで、トータル28分しかない。でもその短さがとても心地よく、物足りなさを全く感じさせないほどに中身が濃い。

Aphex Twin - "DISKPREPT1"




Idlewild / 100 Broken Windows (2000)
★★★★★


だからあれほど、このバンドはいいと言い続けてきたじゃないか!──はい。これまでいろいろな人から散々オススメされながらもスルーしてきたバンド。青さをたずさえた骨太なギターロックで、完全に好みのサウンドだった。アメリカのポップ寄りエモ・バンドとは明らかに異なる音の質感なためか、UK出身のエモ・バンドMy Awesome Compilationを思い出させたり、コード感やメロディはAmerican Hi-Fiに、ギターのディストーション具合はNine Black Alpsに近いものを感じたりと既聴感バリバリだったけど、逆に「これなら間違いない」という安心感を感じさせた。

Idlewild - "Roseability"




Michael Jackson / Dangerous (1991)
★★★★☆


先月の『Bad』に続いてMJのオリジナル作を購入。数あるMJの名作の中で、最もリアルタイムの先鋭的なビートを取り入れた作品と言えるのでは?プロデューサーを前作までのクインシー・ジョーンズから、ニュージャックスウィングの代表的プロデューサーであるテディー・ライリーにシフトし、まさにNJS全盛期を代表する作品と言えると思う。尺は76分と長いものの、刺激的な音が詰まっているので飽きさせない。ただ、ラスト曲「Dangerous」の曲調が締めっぽくない気がして少し違和感を覚えた。



魔法少女になり隊 / 冒険の書1 (2015)
★★★★☆


rockin'onのRO69JACKで優勝し、今年のSXSWにも出演が決まっている5人組バンドによる6曲入りデビュー・ミニ・アルバム。アイドル・ポップとデスコアとチップチューンとパラパラ・ユーロビートの玉石混合サウンドにRPG的な世界観を持つ歌詞と、独創性は抜群。しかしそんなサウンド云々は置いといて、何よりメロディアスなのもポイント。ただ、今回は全6曲なのでちょうど良かったけど、正直このノリをフルアルバムでやられるとお腹いっぱいになってしまうのでは?今後はミディアムテンポやアコースティック寄りの曲なども取り入れて、さらに音楽性に幅を持たせてほしいところ。



John Lennon / Lennon Legend:
The Very Best of John Lennon (1997)

★★★★☆


ジョン・レノンのベスト盤ということで、さすがに知っている曲も多いし良い曲だらけ。全20曲、終盤はエンディング感漂う曲が続くのでちょっと満腹感もあるけど、ジョンの代表曲をたっぷり堪能できる。



Bell Biv DeVoe / Poison (1990)
★★★★☆


New Editionのベルとビヴとデヴォーによる別動ユニット。モー娘。におけるプッチモニみたいなものだろうか。R&Bやソウルが主体であるNew Editionとのコンセプト分けは明確で、こちらはヒップホップやラップをベースにしたアッパーでダンサブルなサウンドがメイン。個人的にはこちらの方が好み。おそらくファンクやジャズなどからサンプリングした音がベースになっているトラックは、ヒップホップと呼ぶにはややアップテンポで、ブレイクビーツに近い印象もある。



Soul Ⅱ Soul / Club Classics Vol. One (1989)
★★★★☆


グラウンド・ビートやニュージャックスウィングの祖とも言われるSoul Ⅱ Soul。BjörkやMassive Attackの初期プロデューサーを務めるネリー・フーパーが在籍していることや、ドラムのプログラミングを屋敷豪太が務めていることも含め濃いメンツが揃っている。ソウル、ファンク、ハウス、ヒップホップ、レゲエを融合したサウンドは今聴いても新鮮だし、Massive Attack『Blue Lines』はもちろん、Primal Scream『Screamadelica』にも通じるほどにグルーヴィーかつセクシー。唯一気になったのはA/B面の境で「African dance」と「Dance」というほぼ同じ曲(ダブ・バージョン?)が続くところ。



Foals / Holy Fire (2013)
★★★★☆


実は彼らのアルバムをしっかり聴くのは初めて。本作リリース当時は買う一歩手前まで行ったものの、今一つ決定打が及ばずに結局買いそびれていた。本作を聴くと、彼らがドラマティックで重厚かつ壮大な世界観を持った技巧派集団であることが分かる。全曲クオリティが高いが「Prelude」、「Providence」、「Moon」が特に秀逸。



The Cure / Bloodflowers (2000)
★★★☆☆


先に言っておくと、何度か聴いた今の段階での評価はもっと高い。リリース当時「ラストアルバム」と宣言されていたらしい本作は、初めて聴いた時にはその重く内省的な内容に驚かされ、やや地味な印象も受けた。しかし全曲ミディアム~スローテンポでアコースティックな質感を持つ本作は、聴けば聴くほど名盤『Disintegration』との類似性が感じられ、非常に美しいメロディに包まれた作品であることに気付く。

どこかドリーミーで幽玄なムードがあった『Disintegration』と比べ、こちらは傷心や喪失感といったメランコリックなトーンに貫かれており、無機質な打ち込みビートが多用されているせいもあってスマパンの『Adore』に近いものを感じた。『Bloodflowers』と『Disintegration』、この2作品は共通点も多いものの印象が大きく異なるが、これはスマパンで言うと『Adore』と『Siamese Dream』との関係性に似ているのでは。



The Doors / Strange Days (1967)
★★★☆☆


よりサイケデリック感が増し、ジム・モリソンのボーカルも深みが増している。ただ「Break On Through (To the Other Side)」のようなアップテンポな曲がないせいか、単純に1stと比べて勢いやインパクトには欠ける。ブルース的な要素が増え、アメリカ中部の荒野が目の前に浮かんでくるような枯れたサウンドは、何度も聴き込むことで次第に本当の魅力がわかってくるのだろうか。



Ariana Grande / My Everything (2014)
★★★☆☆


おそらく日本盤なせいもあるが、ボーナストラックが2重に追加されているので曲順の流れが非常に悪い。表題曲でしっとりと本編を締めたあとで突然アゲアゲなシングル「Bang Bang」が始まったり、ラストが前作収録のシングル「Baby I」の葉加瀬太郎をフィーチャーしたバージョンだったりすることで(アルバムのムード的な)始まったり終わったりを繰り返すため散漫な印象を受ける。アルバムというフォーマットが崩壊しかけている現代ならではの弊害だが、個人的にはこの「ボーナストラックの追加されたデラックス・エディション」の形態はやめてもらいたい。

すでに耳タコ状態なシングル曲を多数収録していることもあり、シングル以外の曲の印象が薄い。シングル曲は、嫌いな「Break Free」も入っているが「Problem」や「Love Me Harder」はかなり好き。



TMN / TMN CLASSIX 2 (1993)
★★☆☆☆


リリース当時、数回聴いた記憶があるきりでほとんど記憶に残っていなかった93年リリースのリミックス・アルバム。リミックスといっても収録曲の半数はほぼ原曲に近く、残りの半数もリミックスというよりはほとんどオーバーダブのような感じで、キックやサンプリング・ボイスやシンセフレーズが雑に追加されているだけだったりする。「雑に」というのは、音を差し替えているのではなくそのまま音を乗せてしまっているので、キックの音などがダブって聞こえてしまっているから。結果、新たに加わった音がただ違和感を感じるだけの「余計な音」になってしまっているのが残念。A面にあたる前半はクラブ・ミュージック的な構成で、原曲のラップパートのみをフィーチャーした「U.K.Passenger」などはいい感じに仕上がっていると思う。それにしてもリミックスアルバムなのかベストアルバムなのか、扱い方がよくわからない。



TMN / TMN CLASSIX 1 (1993)
★★☆☆☆


こちらも「2」と同様。「Just Like Paradise」や「HUMAN SYSTEM」はかっこよかった。しかしいくつかの曲はやはり新たに加えられたキック音が元々のキック音とバランス悪く重なり、雑な印象。



TM Network / DRESS2 (2014)
★☆☆☆☆


1989年にリリースされた傑作リプロダクツ・アルバム『DRESS』の第二弾という扱いながら、今回は外部プロデューサーではなく全曲が小室哲哉によるリミックス。「EDM」がテーマになっているようだけど、今どきこの音選ぶか?みたいな、低音を強調したキックをやたらと使っているのが古臭く、いわゆる今様の洋楽的な「EDM感」はほとんど感じられなかった。そもそもボーカルの譜割りが歌謡曲的なので、ビートとボーカルのリズムが合っていないように思う。やっつけ感漂うジャケも微妙(「ドレス」なのにTシャツ…?)。結論としては、TMはやはりオリジナルが素晴らしいということ。






【次月予告】※予約注文済みやまだ聴けていないタイトル
may.e+丘 / see you soon ”session for us” (2015)
Sherwood & Pinch / Late Night Endless (2015)
Future Brown / Future Brown (2015)
Purity Ring / Another Eternity (2015)
The Go! Team / Scene Between (2015)
Björk / Vulnicura (2015)
The Prodigy / Day Is My Enemy (2015)
Duck Sauce / Quack (2014)
シャムキャッツ / AFTER HOURS (2014)
Kendrick Lamar / good kid, m.A.A.d city (2012)
The Cure / 4:13 Dream (2008)
Sinitta / The Best of Sinitta (1998)
Bobby Brown / Don't Be Cruel (1988)
KRS-One / I Got Next (1997)
Manic Street Preachers / The Holy Bible (1994)
Sunny Day Real Estate / Diary (1994)

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