ライブレポート

ライブレポート:Phillip Phillips@原宿ASTRO HALL

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7月27日(月)、フジロックの余韻に浸りながら灼熱のコンクリートジャングル・東京へと舞い戻ってきた僕は、トランクを原宿駅構内のコインロッカーに預け、腕にフジロックのリストバンドを付けたまま、夏休み中の中高生でごった返す竹下通りを歩いていました。向かった先は、キャパ400人のライブハウスASTRO HALL。この日ユニバーサル・ミュージックの招聘により行われたPhillip Phillipsの初来日ショーケース・ライブに行ってきたのでした。以下レポートです。




まずこのPhillip Phillipsというアーティストについて少し説明をしておきたい。

Phillip Phillips(芸名っぽいけど本名Phillip LaDon Phillips Jr.)はアメリカ出身の男性シンガーソングライター。今アメリカで普通にテレビを観たり音楽を聴いたりしている人ならば知らない人はいないかもしれない。というのも彼は、ファイナルでは一億票ほど投票される国民的オーディション番組「アメリカン・アイドル」のシーズン11(2012年)の優勝者だからだ。

僕はもう何年も「アメリカン・アイドル」を観ているけど、番組には本当に歌の上手い人がたくさん登場する。ちなみに去年サマソニでQUEENのボーカリストとしてヘッドライナーを務めたAdam Lambertもこの番組出身である(彼は準優勝だけど)。

そんな「アメリカン・アイドル」の優勝者たちの中でも、Phillip Phillipsは特別な存在感を示している。これまでの優勝者やコンテスタントはポップスやカントリー、(王道の)ロック、R&B、ジャズ系のシンガーが多かったのだけど、彼は番組の中で「アメリカン・アイドル初のインディー・ロック系シンガー」とか「デイヴ・マシューズの声にColdplayやMumford & Sonsを彷彿させる音楽性」などと言われたりしていた。

そんな彼が最終審査で歌ったのは「優勝したらデビュー曲となる曲」というテーマで選ばれた彼のオリジナル曲「Home」。この曲が初めて披露されたステージで、おそらくほとんどの視聴者が彼の優勝を確信したはず。僕もその一人だった。なぜならめちゃくちゃいい曲だったから。

そして彼の歌は多くの人々の心をとらえ、大量の票を集め、見事優勝した。個人的にはこういった「インディー・ロック」寄りのアーティストが「アメリカン・アイドル」みたいなUSポップ・カルチャーの象徴みたいな中からあらわれたのは、2012年のUSインディー・シーンにおいて非常に重要なトピックだったと思う。それは例えば、同じ年にMumford & Sonsが『Babel』で全米チャート1位の大ヒットを記録したこととか、もう少し遡れば2011年のThe Decemberists『The King Is Dead』や2008年のデスキャブ(Death Cab For Cutie)『Narrow Stairs』の全米1位獲得とか、それと並ぶぐらいのことだったんじゃないだろうか。


こちらがその最終審査のようす。



そんな彼の初来日となるショーケースライブに、抽選で当たった150人ほどのファンが集まった。場内は年配の人や若い男女も多かった。MCの女性による軽い紹介の後、フィリップとサポートのチェロ担当Davidが登場。フィリップはいつも通りのチェックのネルシャツ姿で自然体のファッション。失礼ながら、彼は誰もが認めるイケメンなわけでもないし、オシャレでもない。だけど確実に「顔が好き」という層はそれなりにいるタイプだし、飾らない雰囲気に好感が持てるナイスガイである。ほどなくミニ・ライブがスタート。

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代表曲「Gone, Gone, Gone」、「Raging Fire」、「Home」などを次々と披露しつつ、客席は自然とシンガロングに包まれた。そんな様子を見て、MCでは集まったファンへの感謝の言葉も。

ギターの弾き語りスタイルだけど、ハンチング帽と青いストールがオシャレなDavidがサポートとしてとても重要な役割を果たしていた。チェロの音によって曲に華やかさや哀愁など様々な色が加わり、ときにはチェロを膝に抱えて横向きに弾いてベース代わりにしたり、指でボディを叩いてパーカッションにしたり。たった二人のステージにもかかわらず、とても色彩豊かなで力強い音だった。


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ちなみに、フィリップの声はお世辞にも美声とは言えない。むしろ年齢に似合わないくらいくぐもった渋い声の持ち主だ。先ほど挙げたデイヴ・マシューズや、ブルース・スプリングスティーンのようなタイプの声質で、力強いけどマッチョな感じはなく、そのかわりに色気と知性が感じられる。

それにしても、前日まで行われていたフジロックに出てくれていたら最高だったなあと思う。例えばEd SheeranやThe John Butler Trioのように、グリーンステージの昼間の時間帯に彼の音楽が聴けたら最高だっただろう。あるいはフィールド・オブ・ヘヴンでもいい。ぜひ来年、出てもらいたいと思う。

ライブ終了後はインタビューのコーナー。「歌う時にヘン顔になるのは生まれつきだからしょうがない」とか「寿司を二回食べた」、「故郷のジョージアは日本よりも暑いから避暑にきたみたいだ」などとジョーク混じりに答えたり。気取ったところがなくて、いい人オーラがにじみ出ていた。その後はサイン会が一応設けられていたのだけど、そんなものもお構いなしにフィリップは自ら積極的に、前方に集まったファンからのサインに応じたりセルフィー撮ったり。ひとりひとり丁寧に、20分くらいずっとやっていてさすがだなーと思った。うん、いい人すぎる。

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今度は単独でもフェスでも、もっとたくさんの人が集まる場所でのライブで再来日してほしいです!

Phillip Phillips - "Gone, Gone, Gone"

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