ライブレポート

ライブレポート:スプートニクvol.06 (yule, NeruQooNelu, etc.)@新宿Nine Spices

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The PosiesやInternet Forever、最近ではHey AnnaやCryingなどの国内盤をリリースしているレーベル、Thistime Recordsが主催するイベント『スプートニク vol.06』に行ってきました。8月23日に新宿のライブハウス「Nine Spices」にて開催されたこのイベントに出演したのはyule、NeruQooNelu、HELLO STRANGER、VILLA!!の4組。目当てはyuleで、それ以外のバンドはこのイベントをきっかけに初めて知ったのですが、それぞれに強い個性があってとても楽しいイベントでした。以下レポートです。





■VILLA!!
2015年結成、「エセ・トロピカル」とか「ハワイではなく千葉のビーチ」といった形容が言い得て妙な5人組バンド。確かにブルーハワイ片手というよりもビール、いやホッピーという趣き。

絶妙な脱力感のあるメロディーは10年代初頭のUSインディー・シーンにおけるサイケ~サーフ・ポップや、昨今の日本におけるシティ・ポップと呼ばれる界隈とも共振するところがある。ただ当の本人たちはそんなシーンの存在など知らないとでも言うかように、至って自然体のままのらりくらりと自分たちの奏でたい音楽をやっているだけ、というようにも感じられる。カウベル多用なドラムと、たまにギュワーンと暴れるギターが良かった。

初ライブだったようでまだステージパフォーマンスの面では初々しい部分もあったけど、次はぜひともホッピー片手に酩酊ライブでもやってほしい。


■HELLO STRANGER
イラスト、グラフィックデザインの制作活動も行っている男性ソロ・アーティスト。全曲英詞によるガラス細工のような繊細なファルセット・ヴォーカルで、エレアコ一本によるシンプルな弾き語り。しかしエフェクターによりアンビエントな残響音を鳴らすことで、ギターとシンセのアンサンブルのように聞こえるのがとても良かった。中性的というよりむしろ乙女キャラながら、MCでは「メイクサムノイズ」や「パスザマイク」などなぜか英語交じり、そしてFワードも飛びだしたりと、かなり個性的なキャラの持ち主。

基本的に静かな曲ばかりなので場内の静けさに緊張していたようだけど、ラストの曲ではお客さんに手拍子を求めたりと意外な一面も覗かせた。


■NeruQooNelu
外国籍メンバー2人を含む7人組。が、この日はその2人を除く5人でのライブ。Sonic Youhのオルタナ感、PixiesやPavementのひねくれたコード進行、さらにはPonytailやBattlesの変則リズムをごちゃ混ぜにしたような超個性的バンド。

と、上記のように書くとややとっつきにくい印象を与えてしまいがちだけど、実際はめちゃくちゃポップ。ギター兼ヴォーカルを務めるMachiicoのキュートなヴォーカルとメロディーによって、ジャンクかつ変態的な楽曲が不思議とポップにまとまる。ちょうどDeerhoofやSpeedy Ortizにも通じる「ストレンジとポップのギリギリ境界線のところにあるポップ」という感じ。7人編成でのライブはこの変態性がさらに増すのか気になるので、ぜひまた観てみたい。


■yule
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いよいよトリは今回のお目当て、yule。今年結成された男女混声6人組バンドで、今回が初ライブ。すでにSoundcloud上で公開されているハイクオリティな楽曲がどのように再現されるのか非常に楽しみだったし、この日リリースされた初のフィジカル音源『Sleep』(ライブ会場限定販売EP)もぜひとも入手しておきたかった。

ステージにはマンドリンやグロッケンシュピール、シンセなども置かれており、俄然パフォーマンスへの期待も高まる。やがてドリーミーなイントロに導かれてまずメンバー4人が登場し、やや遅れてヴォーカルを務めるAnnaとReiがステージへ。

そして6人の音が鳴らされた瞬間、今後大きなバズを巻き起こすに違いないと確信した。以前僕はSpincoasterでこのバンドを紹介した際、シューゲイザーやフォークトロニカの文脈を絡めつつ、トクマルシューゴやMEW、Kyte、Team Me!などを引き合いに出した。しかし実際にここで鳴らされた音は、それらの要素を内包しつつもさらにアイリッシュ・トラッドやフォーク、ケルト・ミュージックといった西洋的土着感を感じさせる、よりエネルギッシュで多幸感溢れるものだった。

Spincoaster : yule / 羊が眠る頃

振り絞るように少し体を震わせながら歌うReiのヴォーカルは低体温ながらとてもエモーショナル。それに対しAnnaは、優しさと力強さを感じさせる美しく伸びやかなハイトーン・ヴォーカルで、誤解をおそれずに例えるならば遊佐未森や矢野顕子のような母性を感じさせる「和」な声の持ち主。他メンバーも楽曲ごとにグロッケンシュピール、マンドリン、電子ドラムなどを加え、多彩な音のアンサンブルによって祝祭感に満ちた音を鳴らしていた。特にドラムは、いわゆるロックバンドの典型である8ビートよりもトライバル寄りなビートを刻むことによって、このバンドに躍動感と無国籍感を与えるのに大いに尽力していると感じた。

「羊が眠る頃」におけるシューゲイザーばりの轟音ギターもライブ終盤におけるハイライトとなっていて、今後も彼らのライブに欠かせない楽曲になりそう。全6曲、初ライブにして圧巻のクオリティのパフォーマンスを見せつけた彼らがステージから去った後、ごく自然にアンコールが起こり、しばらくしてからReiとAnnaのみがステージに戻ると、「アンコールは想定していなくて、今回の6曲を完璧にしたくてそれだけに集中してリハーサルしてきたので、他に今披露できる曲がない」と説明したうえで「sleepless sleep」を2人のアコースティック・バージョンで急遽披露してくれた。演奏がシンプルな分、メロディの良さや2人のハーモニーの美しさが存分に発揮され、ライブの締めとして程よい余韻を残してくれた。


■set list
yule - 2015.08.23 スプートニク vol.06

1 Morgenrot
2 ゴーストタウンからの手紙
3 starry song
4 sleepless sleep
5 羊が眠る頃
6 舟乗りとバルカロール
en. sleepless sleep (acoustic)



■yule - 1st e.p.『Sleep』 digest
※ライブ会場限定販売



また、先日新曲が公開されたばかり。

■yule - Symbol






※yuleのライブ写真は、バンドから許可を得て掲載しています
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