ライブレポート

ライブレポート:下北沢インディーファンクラブ2015 DAY 1

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9月21日と22日の2日間に亘って2年ぶりに開催されたサーキット型フェス「下北沢インディーファンクラブ」の一日目に行ってきました。入場規制により当初の予定通り観れない事態もあったものの、全9組を観ることが出来ました。以下レポートです。




この日、特にお目当てのアクトはmay.e、D.A.N.、OGRE YOU ASSHOLEの3組。

まずはリストバンド交換所であるタウンホールへ。リストバンドを付けてMAP&タイムテーブルを受け取り、しばらくディスクユニオンで時間つぶし。店内はちょうどこの日出演する柴田聡子の新譜『柴田聡子』が流れていた。特に何も買わずに最初の会場へ。


■may.e
12:40-13:10 風知空知

まずはこのブログでも年間ベストで2位になったりインタビューしたりしているmay.eからスタート。会場の「風知空知」はちょっと場所がわかりづらくてしばらくさまよった。ようやく見つけたその場所はビル4階にあるバーで、ソファや柔らかい椅子に座ってゆったり観ることができとても良い雰囲気。オープンエアということでエアコンがほとんど効かず場内はやや暑かったものの、may.eのクールで凛とした、そして優しげな歌声は体感温度を3度くらい下げてくれた(本人はかなり暑そうだったけど)。今回はコーラスに「丘」のメンバーでもある長沼洋子を加えての2人編成。立ち見も多数出るほどお客さんが集まった。

『Mattiola』からの曲はやらなかったものの、『私生活』と『REMINDER』、『スパンコール』から数曲ずつ演奏。ただ、ギターの演奏はストロークではなくアルペジオ中心になっていて、『see you soon "session for us"』に近い雰囲気になっていた。演奏を聴きながら、「浜においてきて」の中の"灰の砂の上のあしあと / 大きなあしあとが / わたしのとなりで連なっていたなら」ってすごく情緒豊かな歌詞だなーとあらためて気付かされたりもした。



まだ一組目のアクトが終わったばかりだけど、ここで早速お昼ご飯。ここを逃すと15時半くらいまで食べる時間がないのだ。風知空知からほど近い「キッチン南海」という、おじちゃんとおばちゃんが経営しているこじんまりしたお店にてカツカレーを食べた。実は2年前のインディーファンクラブの時もここで同じものを食べていて、今年5月の下北沢サウンドクルージングの時も行こうとしたんだけど営業終了していて食べれなかったので、今回はそのリベンジ。なぜそこまでこれが食べたいのかと言われても困るくらい、何てことはない昔ながらの日本式のカツカレーなのだけど、グリーンカレーだのスープカレーだのマッサマンだのといろいろなカレーの味を知ってこそわかる、昔ながらの日本のカレーの美味しさがあるのだ。


■D.A.N. (※観れず)
13:50-14:30 SHELTER

開演時間ちょうどに会場に着くと、すでに入場規制で長蛇の列。さすがフジロックのルーキーステージにも出ただけあって人気だ。お目当てのアクトの一つだっただけに残念だったけどここはすっぱり諦め、時間カブリが悩ましかった柴田聡子へと移動。


■柴田聡子
13:50-14:30 GARDEN

到着するとこちらも結構混んでいる。リリースされたばかりの新譜『柴田聡子』のジャケのワンピース姿で、お決まりのメガネをかけ髪は下していた。ところどころ音程が危うく、お世辞にも上手い歌とは言えないんだけど、不思議な歌詞の世界観とも相俟ってそれも一つの魅力になっている。「悪魔のパーティー」とか実にインパクト大で、さっきもディスクユニオンで流れていたけど1、2回聴いただけで覚えてしまう。


■And Summer Club
14:30-15:00 CLUB 251

大阪のローファイ・ギター・ポップ4人組。ギターの女性が常に無表情なのがいい。リハが不十分だったのか、本番中にPAにいろいろ注文していたのが個人的には結構マイナス。あとヴォーカル、もうちょっとシェイプアップしてほしいなーと思った。


■oono yuuki
15:00-15:30 風知空知

2年前のインディーファンクラブではバンド形態でSHELTERに出演し、一番手の出演ながらかなりの行列ができていたのを覚えている。あまり詳しくはないのだけど、人気があるんだろうなあということで早めに風知空知へ行くとすでに立ち見状態。今回はソロということだけど、やはり人気が高い。

アコギ片手に裸足で登場し、繊細なアルペジオの美しい音色を聴かせながらやはり繊細な歌声でポツリ、ポツリと囁くように歌い始める。しかし徐々に演奏は熱を帯びていき、ギターが激しくかき鳴らされて疾走感を増していくとともに、歌声も力強くエモーショナルに。演奏力はもとより曲の構成や展開も上手いし、歌の表現力も高い。ソロ弾き語りなのにビートが鳴っているようにも感じられる。頭の中ではバックにMumford & Sons調の壮大なバンド・サウンドが聞こえた。


■Kidori Kidori
15:30-16:00 ERA

インディーファンクラブの会場は南口側に集中しているけど唯一の北口側の会場。会場は住宅地の中にあって4階部分。普段はドアが二重なようだけどこの日は一重だったので、お客さんが出入りするたびに隣の民家に音漏れしていたけど大丈夫なんだろうか…。

そんな心配はともかく、名前だけ知っていて気になっていたKidori Kidoriは、長めのパーマヘアの一見チャラそうな2人(ギターヴォーカルとベース)+モヒカンのドラムの3人組。そんなルックスだけど怖い感じではなく隣の兄ちゃん的な感じで、キャラの良さがMCなどからも感じられた。ユーモア溢れる歌詞にちょっと捻くれた演奏が加わった、軽快なグルーヴのポップなサウンド。

次のOGRE YOU ASSHOLEまでまだ1時間近くあるけど、入場規制の心配もあり途中で移動開始。


■OGRE YOU ASSHOLE
16:50-17:30 SHELTER

というわけでSHELTERに到着すると、まだ50分前ということで中に入れはしたものの、間もなく満員になってしまう勢いの混み具合。調べたところキャパは250人。なんで彼らほどの人気アクトがこのハコでこの時間帯なのか謎。

満員状態の中でリハが始まり、曲が終わると歓声が。そこで出戸さんが「あ、リハなんで」と言って笑いが起きたりも。しかし演奏が始まるとそんなユルいムードは一転、4人のストイックな演奏が激しくぶつかり合う。2年前は朝イチで出演し、30分の持ち時間を2曲15分ずつで使い果たした彼らだけど、今回は5、6曲演奏した。中でも圧巻はやはり最後の「ロープ(Long ver.)」。この曲の終盤ではスポットライトの逆光に照らされた4人のシルエットが浮かぶ中で轟音パートをぶちかましてくれた。


■YOUR ROMANCE
17:40-18:10 CLUB Que

一人は理系っぽく、もう一人は80年代のロックシンガーを思わせる、対照的な2人のヴォーカルを擁するバンド。出囃子がNew Order「Sub-Culture」だったりするところからも、このバンドの参照点がうっすらと感じられる。メガネをかけた理系顔のヴォーカル&ギターは一見真面目そうに見えるけど、シャウトしたり暴れ回ったりとにかくテンションが高く、ラスト曲ではメガネをふっ飛ばしたりも。そしてもう一人のヴォーカル(ギターとキーボードも演奏)は革ジャンを着こみ何度も髪をかき上げ、モニターに足を乗せて歌ったりと、まるで往時の吉川晃司や氷室京介、近藤真彦あたりを彷彿させる立ち振る舞い。そのロックスターなりきりっぷりがかっこよかった。

楽曲はファンキーかつロマンティックなディスコ・ポップ調だけど、ベースがピック弾きなのが気になった。ピックだとロックっぽい固い音になってしまいがちなので、指弾きでもう少しファンキーなベースが入れられればもっとかっこいいサウンドになると思う。

ランチ以降休憩全くなしだったので、観る予定だったcar10を断念してClub QUEの近くで30分ほど休憩。


■Teen Runnings
18:50-19:20 CLUB Que

1年10ヶ月ぶりに見るTeen Runnings。いつの間にかトリプルギターの5人になっていた。オープニングではまずヴォーカルのShota Kanekoが一人で登場してカラオケを披露。それからメンバーを呼んで15曲ほど演奏したのだけど、ギター3本になったことで以前よりもサウンドに厚みが増していい感じだった。そしてKaneko氏は「さっさとやりましょう、僕らもシャムキャッツ観たいんで」と本音を洩らしたりと相変わらずのキャラ全開。最高。


■ シャムキャッツ (※観れず)
19:30-20:10 SHELTER

そんなTeen Runningsも観たいシャムキャッツ。が、やはり当然入場規制で長蛇の列。うーむ、やはりこのハコの充て方はおかしい…SHELTERを結構大きなハコだと勘違いしてるんじゃないだろうかと思ってしまった。


■初恋の嵐
19:30- GARDEN

シャムキャッツが観れないため、キャパの大きいGARDENへと移動。初恋の嵐といえば2002年にヴォーカルが急逝したことくらいしか知らなかったのだけど、今回はゲスト・ヴォーカルとして曽我辺恵一、キセルの辻村豪文、かみぬまゆうたろうを加えた編成。ゲストはキーボードに高野勲、ギターにHicksvilleの小暮晋也。相変わらず細身で半袖シャツ、リーゼント、黒ブチ眼鏡というロカビリースタイルでかっこいい。

かみぬまゆうたろうは初めて知ったんだけど、歌も上手いしイイ声でびっくり。彼のソロの曲も聴いてみたい。本編は4曲のみの演奏だったけど、アンコールはグダグダトークの末に各ゲスト・ヴォーカルのソロを挟んでの長い曲をやり、アンコールだけで30分近くやっていたんじゃないかと思う(お腹が空いてさすがに途中で出てきてしまったけど…)。初恋の嵐の曲自体も初めて聴いたけど、独特のコード進行なのにとてもメロディアスで良かったので機会があれば聴いてみたい。これを以てインディーファンクラブ2015終了。





フェスレポートはここまで。ここからは当日いろいろ考えさせられたことについて書きたい。テーマは「お客さんのノリ方」について。

僕はこの前日にUltra Japanに行ってきた(詳しくはこちらでレポートしてます)。Ultraではみんな個性的な服装で、お酒やエナジードリンクを飲んで、笑顔で飛び跳ねたりビートに身を委ねて楽しそうに踊っていた。

一方、インディーファンクラブのお客さんはまるっきり対照的だった。アクトにより多少の差はあるものの、基本みんな静かだ。ノッているというよりもしっかりと演奏に耳を傾け、演者の一挙手一投足を見逃すまいとしている。

もちろんどちらのノリ方が正しいというわけでもないし、どちらの方が良いということもない。そもそも「快楽性」「高揚感」を重視したEDMと、「アート性」「情緒」「美学」などを重視するアクトの多いインディーファンクラブ出演アクトの音楽は、その見どころ聴きどころが異なるのは当然。だけど、違和感を感じたのはそのノリ方を強制してしまうような「現場の空気」だ。

Ultraで踊らずに腕組みして観るのも別にいいと思うし、インディーファンクラブでバカ騒ぎをするのもいいと思う(周りの人に迷惑をかけるのはNGだけど)。でもUltraで楽しそうに踊る大勢の人を見て素直に思ったのは、音楽でこんなに楽しそうになれる人がこんなにたくさんいるんだ、ということだった。他人事のように書いてしまったけどもちろん自分も楽しかったし、めちゃくちゃ踊った。

インディーファンクラブのお客さんだって、ライブを観てみんな心から楽しんでいたと思う。その中には「ああ…何ていい音楽なんだ…」としみじみ楽しんだ人も多かったことだろう。でも、全員がそうだったのだろうか。

僕は、中にはUltraのお客さんのように飛び跳ねたり踊りまくったりして楽しみたい衝動を抱えた人も多かったんじゃないかと思った。でも、みんなそれをしなかった。周りの空気を読んだから。何となくそういう楽しみ方はここにはそぐわない。浮いてしまう。周りから白い目で見られる。そんな「懸念」を抱いたからではないだろうか。

なぜそう思ったのかというと、自分がそうだったからだ。今ここで流れている音楽は前日のUltraとタイプは違えど、僕は前日同様に踊りたかった。でもそんな「懸念」のためにそうしなかった。空気を読んで、なるべく周りの人に疎まれないようにした。

同じ考えでそうした人はきっと僕の他にもたくさんいたはずだ。Ultraとインディーファンクラブ、もちろん音楽的には大きく異なるけど、来場するお客さんの人格や性格まできっちりと分かれているとはとても思えない。個々の音楽の嗜好はそんなに単純なものではないのだから。

もちろん、お客さんとしてどのように観ようが勝手なので、僕は別にその人たちに「本当は踊りたいのなら踊ればいいじゃないか」というつもりはない(そもそも自分がそうしなかった立場なので言う権利はない)。でもなんか、その同調圧力みたいなものが気になった。お客さんが皆静かな会場で、もし僕一人が踊り始めたらどうなっていたのだろうか?他の踊りたい思いを抑えていた人たちはつられて一緒に踊るのだろうか。それともやはり踊りたい衝動は抑えつつ、冷やかな目で迷惑そうに僕を見るのだろうか。

ちなみにステージ上の演者からすれば、お客さんは盛り上がってくれた方が嬉しいはず。もちろん、真剣に見入って耳を傾けてくれているのも嬉しい。だから、繰り返しになるけどお客さんのノリ方でどちらの方が正しいということはない。でも全員が同じ感じで観ないといけないような空気感はイヤだな、と思った。そんな空気を感じて勝手に踊りたいの我慢してるのはオマエだけだ、と言われればそれまでだけど。これはヘンに空気を読み過ぎて周りに合わせてしまった自分に対する自戒の意味もある。

どんな音楽であれ、それがたとえ第三者から見て滑稽な動きであろうと、お客さんは心を解き放ってライブを楽しむのがいいと思う(周りに迷惑さえかけなければ)。oono yuukiの時、最前に座っていた男の人がものすごく気持ちよさそうに恍惚の表情を浮かべながらノっているのを見て、とてもうらやましい気持ちになった。あの表情がとても印象的だったな。

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