初聴きディスクレポート

初聴きディスクレポート Vol.80(2016年2月)

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2016年2月に初聴きした作品のディスクレポートです。ようやく今年リリースの新譜をいくつか購入。あとはBauhausやSiouxsie and the Bansheesのボックスセットを購入したり、1月にまとめ買いしたDavid Bowieの旧譜を古いものから順に聴いたりしてました。未聴のものがすでに30タイトル以上たまっているので、3月以降もマイペースに聴いていこうと思います。



★★★★★ 年間ベスト20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした

*今年リリースでない場合、旧譜のみの年間ベスト20位以内クラス




2月のALBUM OF THE MONTHは、先日の来日公演も素晴らしかったあのバンドの2nd!


■ALBUM OF THE MONTH■
The 1975 / I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It (2016)
★★★★★
The 1975 I Like It When You Sleep

UK発の4人組による待望の2nd。彼らのセルフタイトル1st期の楽曲と言えばキャッチーなメロディーを備えたダンサブルでファンキーな80's風ロックという印象が強かったのだが、今回はややそれとは異なる。もちろんキャッチーなメロディーは健在であるものの、シューゲイザーやアンビエント、北欧エレクトロニカ、ドリーム・ポップなどの要素が増したように思う。

前半ではM3「UGH!」やM5「She's American」など前作の延長線上にありそうな曲も多いが、M2「Love Me」は本作の中でもグリッターな異彩を放っているし、ELOを連想させるメロウでキュートなエレポップ「A Change of Heart」もかなり新鮮。しかし本作の中でも特に印象深いのは中盤、6曲目以降のスロウでドリーミーな曲群だ。インタールード的なインストも含むこれらの数曲は、これまでの彼らの楽曲よりも実験的であると同時に、抽象的・映像的な一貫したムードを纏っており、これらはまるでプログレッシブな展開を持った一つの長い一曲のようにも聞こえる。

そんな中盤を経て、シングル曲であるM13「The Sound」からはクライマックスに向けて再び盛り上がりを見せるが、そんな構成も含めてまるで一本の映画を観ているような気分になった。それぞれの曲が情景豊かでカラフルでありつつストーリー性が感じられるという点も、本作の「映画っぽさ」をより強いものにしている。そう言えば本作の1曲目は前作と同じ曲「The 1975」だが、ここではより壮大なサウンドにアップデートされ、さながら映画のオープニングのようだ。

全17曲、国内盤はボートラ含め全19曲、トータル82分超の特大ヴォリュームという前情報を知った時には不安が募ったものの、いざ聴いてみると不思議なことに長さは全く気にならなかった。このいくつかの「映画っぽさ」が、本作を冗長に感じさせない大きな要因と言えるだろう。

もうひとつ、ボーナストラックについても触れておきたい。本編ラストのシンプルなアコギ弾き語り曲「She Lays Down」は、言ってみれば映画のラストシーンに流れるしっとりとした哀愁バラードで、アルバムを本作で聴き終えることも可能だと思う。しかし日本盤ボーナストラックの2曲は、まさにエンドロール的な役割を果たしている。2曲のうち最初の曲はM4「A Change of Heart」のデモ・バージョンで、オリジナルとあまり違いがなく、こういった「一つの作品に同じ曲のバージョン違いが入っている」パターンというのは個人的に好きではないのだけど、ここでは劇中歌がエンドロールで再び流れるというように捉えることができ、それが妙にしっくりきた。そして大ラスを飾る「How to Draw」はまさに締めに相応しく、「She Lays Down」よりもさらにドラマティックで美しい余韻を残してくれる。

「長尺」で「同じ曲が複数」で「中盤に静かめの曲が続く」と、要素としてはマイナスとなりそうなものばかりだったが、メロディーそのものの良さや楽曲のヴァリエーション、ドリーミーで映像的なムードなどが相互に作用してプラスに。まるで映画『ウォールフラワー(The Perks of Being a Wallflower)』を観た時のような、──甘美でせつなくも清々しい気分に浸ることができる──そんな作品だと思う。





David Bowie / ★ (2016)
★★★★★
david-bowie-blackstar.jpg

先行公開された「★」を聴いた時点でかなり期待していた本作。その「★」はここ数年のRadioheadを思わせるダークなメロディから始まり、中盤は神秘的でメロディアスな展開を見せる完成度の高い曲。2曲目「'Tis A Pity She Was A Whore」の弾けるドラムの音もかっこいいし、「Lazarus」のディレイがかったサックスの音色、「Sue (Or In A Season Of Crime)」のドラムンベースなアレンジなど、とにかく全編にわたってエネルギッシュでクリエイティヴィティに溢れている。そして本編最後の曲であり、ボウイから僕らへの最後のギフトである「I Can't Give Everything Away」の言葉にできない美しさ…。今回惜しくもALBUM OF THE MONTHにはならなかったが、どちらにするかで過去最大に悩んだ。





Sia / This Is Acting (2016)
★★★★☆
Sia This Is Acting

7作目。最近のSiaと言えば「ミディアムテンポのエレクトロ・ポップ」というフォーミュラがあるが、前作『1000 Forms of Fear』において変化球とも言える曲がThe StrokesのNickとの共作「Hostage」だったと思う。しかしこの曲はいい曲ではあったものの、あのアルバムの中ではかなり浮いていた。

一方、本作における変化球はM4「Move Your Body」とM10「Sweet Design」だろうか。前者はSiaのソロ曲としては珍しいアッパーな四つ打ち曲で、EDMとはまた異なる様相を呈したトライバルなダンストラックとして前半のハイライトとなっている。後者はモロにBeyoncéな曲。そもそも本作に収められた楽曲は、もともとRihannaやBeyoncéなど他アーティストのために書かれ、ボツになったり断られたりしたものだという。

M11「Broken Glass」のJポップばりに転調を重ねる感じもドラマティックでエモーショナルで良い。とは言え、エモーショナル過剰になりがちだった前作と比べて本作はM7「Reaper」のようなオーガニックでピースフルな曲などもあり、後半の展開にちょっとした「外し」も加わっている。楽曲はどれも粒揃いでアレンジの幅も広がり、確実に前作超えと言える作品。



LADY FLASH / 恋するビルマーレイ (2016)
★★★★☆
LADY FLASH 恋するビルマーレイ

2008年に結成された、大阪を拠点とする4人組バンドがメンバーチェンジを経てついにデビュー・フルアルバムをリリース。

Beach Fossilsと相対性理論とNokies!とBorn RuffiansとPete & The PiratesとHomecomingsを鍋で煮込み、換気扇によって吸い出された蒸気を吸ってハイになっている、そんなハッピーなインディー・ポップであり、ニコニコしながらカラーバットで殴りかかってくるようなパンクでもある。ビルマーレイ、ギャングオブフォー、ウディ・アレン、大塚愛が登場する歌詞も素敵。



Bauhaus / In the Flat Field (1980)
[from 5 Albums Box Set (2013)]

★★★★☆
Bauhaus In the Flat Field

1979年デビュー、ピーター・マーフィー率いる4人組ポストパンク・バンドの1st。1998年の再結成以前に残した4枚のアルバムとシングル集の5枚組ボックスセットより。ノコギリのようにささくれだったギターと鬼気迫るヴォーカルと性急なビートがかっこいい。



David Bowie / David Bowie (1967)
★★★★☆
David Bowie David Bowie

ボウイが20歳の時にリリースしたデビューアルバム。以降の作品とは異なるデラム・レコードからリリースされ、当時はほとんど話題にもならなかったらしい。

一聴してBob Dylanに似ていると思ったけど実際それを狙ったらしく、フォークを基調にしたサウンドながら20歳とは思えない円熟味がすでに感じられる。ボウイ作品の中でもわりと不遇の扱いなのでそこまで期待していなかったが、この頃から既に類稀なヴォーカリストとしての表現力の高さや演劇的要素(特に「Please Mr. Gravedigger」に顕著)があらわれており、思った以上に良かった。



Bauhaus / The Sky's Gone Out (1982)
★★★★☆
Bauhaus The Skys Gone Out

性急で攻撃的なパンク要素は残しつつも、全2作よりもさらにポップになった3作目。

インダストリアルな趣のM4「Swing the Heartache」が特にかっこよく、B面にあたる後半は組曲「The Three Shadows」、メロディアスでアコースティックな「All We Ever Wanted」など実験精神に満ちた新機軸な曲が多くて面白い。



Spiral Life / Spiral Move TELEGENIC 2 (1994)
★★★☆☆
Spiral Life spiral move TELEGENIC 2

車谷浩司と石田小吉によるユニットの2nd。1st『Further Along』の頃にはまだ拙い部分(というか、洋楽をパクろうとしながらも不器用で上手く乗りこなせていない)もあったけど、本作での成長ぶりには驚かされた。あまりの「Movin' on Up」っぷりに思わずズッコケてしまった「PEOPLE」をはじめ、純粋に楽曲のクオリティやソングライティング面で言えば素晴らしい曲ばかり。「ああ、これはあの曲だな」とニヤニヤしながら聴くのもまた楽しい。



David Bowie / The Man Who Sold the World
(世界を売った男) (1970)

★★★☆☆
David Bowie Man Who Sold The World

3作目。『Space Oddity』からわずか2年でどうしたらこの変化を遂げるのか本当に不思議だけど、とりあえず本作はロックなアルバムである。それも60'sブリティッシュ・ハードロックみたいな、ギターがギュワンギュワン、ピロピロと鳴っている感じの。『Space Oddity』と『Hunky Dory』に挟まれた作品にしてはその2作ほどメロディアスさはないけど、これもまたかっこいい。



ゲスの極み乙女。 / 両成敗 (2016)
★★★☆☆
ゲスの極み乙女。 両成敗

男女4人組バンドによる2ndフルアルバム。全17曲というヴォリュームが懸念でもあったけど、楽曲はどれもコンパクトにまとまっているし、曲順にもメリハリがあるのであまり気にならなかった。

ポエトリーリーディングな「無垢」やパンキッシュな「勤めるリアル」「Mr.ゲスX」 などはインパクトがあると同時に彼らの音楽性の幅広さを感じさせる、本作においても最も重要な曲と言える。特に「Mr.ゲスX」は、タイトルからも推測されるようにX JAPANへのオマージュと思われ、後半のハードロック/メタルに展開していくプログレッシヴなアレンジも見事。

いくつかの楽曲でところどころに挿入された寸劇のような部分には正直サムいものもあったし、サビに対してAメロが弱すぎるという点も否めない。しかし、とにもかくにもこのバンドのキモは演奏力の高さだと思う。特にリズム隊の2人テクニックとセンスは目を見張るものがあった。



Siouxsie and the Banshees / Join Hands (1979)
[from Classic Album Selection (2016)]

★★★☆☆
Siouxsie and the Banshees Join Hands

1976年結成。ヴォーカルのSiouxsie SiouxがSex Pistolsの親衛隊だったというエピソードやBasement Jaxxにゲスト・ヴォーカルで参加したこと、そしてThe CureのRobert Smithが参加していたことでも知られているパンク/ニューウェーヴ・バンドの2作目。1978年~1983年までの6作を集めたボックスセットより。

4作目の『Juju』はかなりメロディアスな作品なので、1st『The Scream』よりもいくらかポップになっているかと思いきや、さらにフリーキーでパンクなサウンドになっている。メロディーやコードを無視(?)するかのごとくかき鳴らされるノイジーなギター音にまみれながらも、中盤にはオルゴールの優しい音色も覗かせるという最高にパンクなアルバム。






【再購入したもの】
※初聴きではないため★評価なし。感想は割愛。
※リリース年順

Bauhaus / Mask (1981)
[from 5 Albums Box Set (2013)]

Bauhaus Mask

ボックスセットより2nd。Bauhausは本作のみ、以前レンタルして聴いたことがあった。サウンドに似合わずジャケがかわいい。



David Bowie / Let's Dance (1980)
David Bowie Lets Dance

ボウイの15作目で、最も多くのセールスを記録したアルバム。プロデュースはボウイ自身とChicのNile Rodgersで、夜の都会がとても似合う踊れる作品。



Siouxsie And The Banshees / The Scream (1978)
[from Classic Album Selection (2016)]

Siouxsie And The Banshees The Scream

ボックスセットより1stアルバム。The Beatles「Helter Skelter」の原型を留めないパンク・カヴァーは必聴。



David Bowie / The Rise and Fall of Ziggy Stardust
and the Spiders from Mars (1972)

David Bowie The Rise and Fall of Ziggy Stardust

ボウイの代表作であり歴史的名盤と言える5作目。捨て曲なし、全曲メロディーもアレンジも素晴らしく、各曲の繋がり(アルバムの流れ)も含めて完璧なアルバムと言える。


David Bowie / Space Oddity (1969)
David Bowie Space Oddity

ボウイの2作目。Grandaddyが「He's Simple, He's Dumb, He's the Pilot」でオマージュを捧げた名曲「Space Oddity」収録。






【次月予告】※購入済みや予約済みでまだ聴けていないタイトル
Rustie / EVENIFUDONTBELIEVE (2015 / 2016)
Eno • Hyde / High Life (2014)
Bauhaus / Singles (2013)
Project:Komakino / Struggle for Utopia (2009)
BEAK> / BEAK> (2009)
宇多田ヒカル / DEEP RIVER (2002)
The Prodigy / Music for the Jilted Generation (1994)
Jellyfish / Spilt Milk (1993)
Siouxsie And The Banshees / Nocturne (1983)
Bauhaus / Burning from the Inside (1983)
Siouxsie And The Banshees / A Kiss in the Dreamhouse (1982)
Siouxsie And The Banshees / Juju (1981) *
Siouxsie And The Banshees / Kaleidoscope (1980)
David Bowie / Scary Monsters (And Super Creeps) (1980)
David Bowie / Lodger (1979)
David Bowie / Heroes (1977) *
David Bowie / Low (1977) *
David Bowie / Station To Station (1976)
The Rolling Stones / Black and Blue (1976)
Laura Nyro / Smile (1976)
Paul Simon / Still Crazy After All These Years (1975)
David Bowie / Young Americans (1975)
The Rolling Stones / It's Only Rock 'n' Roll (1974)
David Bowie / Diamond Dogs (ダイアモンドの犬) (1974)
David Bowie / Pin Ups (1973)
David Bowie / Aladdin Sane (1973)
Laura Nyro / Gonna Take a Miracle (1970)
Laura Nyro / Christmas and the Beads of Sweat (1970)
Laura Nyro / New York Tendaberry (1969)
Laura Nyro / Eli and the Thirteenth Confession (1968)

* 再購入
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