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年間ベストアルバム1997-2016

ブログ7周年特別企画:年間ベスト・アルバム・クロニクル 1997-2016 〈第四回:2012-2016 転換期〉

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当ブログ7周年特別企画、「年間ベスト・アルバム・クロニクル 1997-2016」。企画趣旨についてはこちらの記事<イントロダクション>をご覧ください。ざっくり言うと、過去20年分やってきた年間ベストを現在の自分の音楽ライブラリと視点で再度選び直して当時のものと比較するというものです。

月イチペースで4ヶ月にわたって書いてきましたが、いよいよラスト。第四回目は2012年から2016年までです。

第一回目の〈1997-2001 形成期〉第二回目の<2002-2006 拡大期>第三回目の<2007-2011>インディー期も宜しければ。





-2012-

■リアルタイム版 年間ベスト・アルバム2012 TOP10
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No.1 Cloud Nothings / Attack on Memory
No.2 Beach House / Bloom
No.3 Godspeed You! Black Emperor / 'Allelujah! Don't Bend! Ascend!
No.4 Crocodiles / Endless Flowers
No.5 Soko / I Thought I Was An Alien
No.6 The Cribs / In the Belly of the Brazen Bull
No.7 Ellie Goulding / Halcyon
No.8 Chomp / Buddha Jabba Momma
No.9 Fun. / Some Nights
No.10 Crystal Castles / (Ⅲ)



■2012年 回顧録
価値観をひっくり返した衝撃作
自分の中で「何か」が変わった、そして現在における嗜好を方向づけることになった重要な年。インディー・ロックにハマって以降、陽性で美メロで美しいサウンド(主にドリーム・ポップやチルウェイヴ、ギター・ポップ、エレクトロ・ポップなど)を好んでいましたが、それをひっくり返すような衝撃がありました。その名はCloud Nothings『Attack on Memory』。

彼ら自身、前作まではチャカチャカしたギターを奏でる陽性ギター・ポップだったけど、ここで突然のハードコア化。冒頭のSlintみたいな「No Future No Past」に、そこから畳みかける9分近い疾走パンク「Wasted Days」、この2曲だけでも完全にヤラれましたが、さらに「Stay Useless」や「Cut You」みたいなメロディアスなポップ・ナンバーまで。全8曲、トータル33分という短さながら、とても一言では語れない魅力の詰まった一枚。このアルバムがなければ、この並びの中にGY!BEもThe CribsもChomp(Cloud Nothingsのドラマーと元ギタリストのバンド)も入らなかったと思います。この年の6月に開催されたHostess Club Weekenderのライヴも最高でした。




紙媒体よ、さらば
前年の2011年にsnoozerが廃刊して、フリーペーパーのWONDERKINDも確か2012年頃に終わりました。15年近く集めてきたタワレコのフリーペーパーbounceもこの頃には集めなくなって(置き場所に困り果てた)、新しい音楽の情報源は完全にWEBに移行。といっても、ピッチフォークとかStereogumといった海外メディアでさえ以前のように定期的に見ることはなくなっていったかな。理由は膨大な情報量を拾いきれないから。以降はTwitterが主な情報源となりました。フォロワーさんが情報のキュレーション的な役割を果たしてくれるので、その中から引っかかったものだけ拾うみたいな感じに落ち着きましたね。


ブラック・ミュージックの変革
そういえば2011年のところで大事なことを書き忘れました。それはThe Weekndのミックステープ三部作。Beach HouseやSiouxsie & the BansheesをサンプリングするR&Bシンガーなんて今までいなかったからとても新鮮だったし、何気にその後のトレンドを大きく変えたアーティストだと思ってます。少なくとも僕にとっては、それまでR&Bって甘くてゆったりし過ぎているところがちょっと苦手ではあったんだけど、彼の登場でだいぶ意識が変わりました。


■2017年版 年間ベスト・アルバム2012 TOP10
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No.1 Beach House / Bloom
No.2 Cloud Nothings / Attack on Memory
No.3 Crystal Castles / (Ⅲ)
No.4 The Killers / Battle Born
No.5 Purity Ring / Shrines
No.6 Soko / I Thought I Was An Alien
No.7 Hannah Cohen / Child Bride
No.8 Bat For Lashes / The Haunted Man
No.9 神聖かまってちゃん / 楽しいね
No.10 Speech Debelle / Freedom of Speech


Beach House、Cloud Nothings、Crystal Castlesが超接戦の三つ巴状態。リリース年がずれていたらいずれも年間1位になり得たレベルです。Cloud Nothingsは、もしこのアルバムを最後に解散していたらきっとここでは1位だったのではと思います。『Attack on Memory』は僕にとって超重要作であることは間違いないのですが、2014年にリリースした次作『Here and Nowhere Else』がさらに凄かった…(詳しくは後ほど)。それによって、『Attack on Memory』の「絶対的な価値」が少し霞んでしまったのは確か。

Beach Houseは逆に、2015年リリースの『Depression Cherry』『Thank Your Lucky Stars』が(ともに素晴らしかったけど)『Bloom』や『Teen Dream』には及ばなかったことで、『Bloom』の絶対的な価値が確立されたように思います。というわけで1位2位は入れ替わり。ほんとに僅差ですけどね。

6作品が新規にランクインしたけど、リアルタイム版ではPurity Ring22位、Hannah Cohen21位、Bat For Lashes27位、神聖かまってちゃん37位、Speech Debelle32位、The Killers30位ということで、いずれもそこまで上位ではなかった作品が今回TOP10入りしたのは興味深いです。とりわけThe Killersに関しては、当初は前作『Day & Age』と比べると地味だなーと思っていたんですが、2013年の来日公演前に聴き込んでいるうちに評価が爆上がり。いくつかの曲はAORやハートランド・ロックに興味を広げてくれたりもしました。そして「Miss Atomic Bomb」という曲がめちゃくちゃ良いです(以前やった「2010年代前半ベストトラックTOP100」では6位)。



▼この年はこんな作品もありました
Death Grips / No Love Deep Web
Muse / The 2nd Law
Sigur Rós / Valtari
The xx / Coexist
Sharon Van Etten / Tramp
Lana Del Rey / Born To Die
Taylor Swift / Red
Passion Pit / Gossamer
Perfume Genius / Put Your Back N 2 It
Skrillex / Bangarang
cero / My Lost City






-2013-

■リアルタイム版 年間ベスト・アルバム2013 TOP10
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No.1 Arcade Fire / Reflektor
No.2 may.e / 私生活
No.3 Phoenix / Bankrupt!
No.4 Parenthetical Girls / Privilege (Abridged)
No.5 The 1975 / The 1975
No.6 The Weeknd / Kiss Land
No.7 Justin Timberlake / The 20/20 Experience 2/2
No.8 The Strokes / Comedown Machine
No.9 Kanye West / Yeezus
No.10 Oh Land / Wish Bone



■2013年 回顧録
10年ぶりの邦楽
〈第三回:2007-2011 インディー期〉で書いたように、しばらくまともに聴いていなかった邦楽も2010年ごろから再び聴くようになったんですが、それでも年間ベストにはほとんどランクインしませんでした。この頃は邦楽と洋楽で魅力を感じるポイントがそれぞれ異なっていたので、なんか混ぜて評価しにくかったです。しかしこの年may.e(現在はmei ehara名義)が2位にランクイン。2002年に1位だったSUPERCAR以来10年ぶりのTOP10入りでした。



この年は、12月に入るまで上位にふさわしい作品に巡り合えないという、個人的には不作…?と感じられる年でした。12月にArcade Fireとmay.eを購入し土壇場で1位・2位に決まりましたが、「単純にまだ耳に新しいからよく思えるだけなのでは?」という一抹の不安も。


■2017年版 年間ベスト・アルバム2013 TOP10
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No.1 may.e / 私生活
No.2 The Weeknd / Kiss Land
No.3 Kanye West / Yeezus
No.4 The 1975 / The 1975
No.5 Arcade Fire / Reflektor
No.6 M.I.A. / Matangi
No.7 Justin Timberlake / The 20/20 Experience 2/2
No.8 Justin Timberlake / The 20/20 Experience
No.9 Jon Hopkins / Immunity
No.10 N'夙川BOYS / Timeless Melody


あれから3年以上が経って、やはりなおもArcade Fireとmay.eの作品が素晴らしいことに変わりなかったけど、The Weeknd、カニエ、The 1975がだいぶ評価を上げて猛追。この後に挙げる「この年はこんな作品もありました」では、単純に自分が好きな作品の他に存在感のあった重要作も入れてますが、その数の多さからも決して不作な年ではなくむしろ豊作だったことがわかります。遂に出たマイブラ新譜の他、Boards of CanadaやMazzy Starの久々の新譜、そして大森靖子やKing Krule、Lordeといった個性派ソロ・アーティストの登場など、「シーンの活性化」という感じの年でした。

ランクインこそしなかったけど、この年はDaft Punkの『Random Access Memories』が出た年という印象が強いですね。彼らとJustin Timberlakeの作品が、この年以降のブラック・ミュージック/ソウル/R&Bとかの方向性を決定付けたように思います。JTは2枚出しているけど、2/2の方が評価高いのは当時も今も変わらず。

邦楽はmay.eの他に、新たにN'夙川BOYSがランクイン。何なんですかね、このインディー・シーンにもロキノン系にもイロモノバンドにもカテゴライズされない、でもどれも片足突っ込んでるみたいな不思議な立ち位置は。その「ワケのわからなさ」「でも曲はとにかくポップ」というのがクセになります。そんなところは神聖かまってちゃんの存在感にも少し重なるところがあるかも。



▼この年はこんな作品もありました
Boards of Canada / Tomorrow's Harvest
Icona Pop / This Is...Icona Pop
King Krule / 6 Feet Beneath the Moon
Mazzy Star / Seasons of Your Day
My Bloody Valentine / m b v
Vampire Weekend / Modern Vampires of the City
Sky Ferreira / Night Time, My Time
Lorde / Pure Heroine
Iceage / You're Nothing
Travis / Where You Stand
Youth Lagoon / Wondrous Bughouse
Sigur Rós / Kveikur
Esben and the Witch / Wash the Sins Not Only the Face
Daft Punk / Random Access Memories
Danny Brown / Old
大森靖子 / 絶対少女
BiS階段 / BiS階段
Katy Perry / Prism
Paramore / Paramore
Deafheaven / Sunbather






-2014-

■リアルタイム版 年間ベスト・アルバム2014 TOP10
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No.1 銀杏BOYZ / 光のなかに立っていてね
No.2 Cloud Nothings / Here and Nowhere Else
No.3 Weezer / Everything Will Be Alright in the End
No.4 Caribou / Our Love
No.5 大森靖子 / 洗脳
No.6 Coldplay / Ghost Stories
No.7 Lily Allen / Sheezus
No.8 Charli XCX / Sucker
No.9 La Roux / Trouble in Paradise
No.10 Esben and the Witch / A New Nature



■2014年 回顧録
ヤケクソ気味のハイパー・ポップ
2010年から邦楽も聴くようになって以降、主に好きだったのはceroとかKai Takahashi(Lucky Tapes結成前のソロ名義)、Wallflower、Homecomingsなど。でもこの年ランクインした邦楽が銀杏BOYZと大森靖子っていう、まあ何か、漠然とこれまでとは変わってきました。うまく言語化できないけど。

銀杏BOYZと大森靖子はいずれも、人間の汚い部分やダサい部分、弱い部分をさらけ出すような「エグさ」があります。それをヤケクソ気味のハイパー・ポップな音楽に乗せるところに惹かれました。銀杏の「I DON'T WANNA DIE FOREVER」とか、大森靖子の「イミテーションガール」とかはまさにその極端な例。これは僕が中高生の頃にガバとかトランスとかユーロビートみたいな音楽が好きだったという下地があったからこそだとは思いますが。






■2017年版 年間ベスト・アルバム2014 TOP10
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No.1 Cloud Nothings / Here and Nowhere Else
No.2 銀杏BOYZ / 光のなかに立っていてね
No.3 Weezer / Everything Will Be Alright in the End
No.4 Alvvays / Alvvays
No.5 きのこ帝国 / フェイクワールドワンダーランド
No.6 Coldplay / Ghost Stories
No.7 Lily Allen / Sheezus
No.8 Esben and the Witch / A New Nature
No.9 Caribou / Our Love
No.10 TM NETWORK / QUIT 30


Charli XCXとLa Roux、大森靖子が抜けて、Alvvays、きのこ帝国、TM NETWORKが新たにランクイン。リアルタイム版ではそれぞれ12位、16位、次点でした。Alvvaysみたいないわゆるギター・ポップ系ってCloud Nothings『Attack on Memory』以降はほとんど聴かなくなっていたけど、これはギター・ポップ系の中で唯一なレベルでのランクインだし、当時よりも今の方が評価上がってる珍しいパターン。それだけ曲がめちゃくちゃ良いということなんですが、きのこ帝国も同じ理由でランクを上げています。



▼この年はこんな作品もありました
坂本慎太郎 / ナマで踊ろう
Skrillex / Recess
Pharrell Williams / Girl
The Smashing Pumpkins / Monuments to an Elegy
The Rentals / Lost in Alphaville
Flying Lotus / You're Dead!
Ed Sheeran / X
Aphex Twin / Syro
OGRE YOU ASSHOLE / ペーパークラフト
Taylor Swift / 1989
Sia / 1000 Forms of Fear
Royal Blood / Royal Blood
Bombay Bicycle Club / So Long, See You Tomorrow
神聖かまってちゃん / 英雄syndrome






-2015-

■リアルタイム版 年間ベスト・アルバム2015 TOP10
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No.1 Beach House / Depression Cherry
No.2 Beach House / Thank Your Lucky Stars
No.3 水曜日のカンパネラ / ジパング
No.4 乃木坂46 / 透明な色 [TYPE-B]
No.5 Youth Lagoon / Savage Hills Ballroom
No.6 New Order / Music Complete
No.7 Editors / In Dream
No.8 Coldplay / A Head Full of Dreams
No.9 Purity Ring / Another Eternity
No.10 !!! (chk chk chk) / As If



■2015年 回顧録
またBeach Houseか…
Beach Houseが1位2位だったこの年。ちょっと不満が残ります。確かに2作とも甲乙付けがたいくらい良かった。でも、前作『Bloom』や前々作『Teen Dream』ほどではない…果たしてこれが1位2位でいいんだろうか?でも他に、これを超えるものがなかったのだから仕方がない。そういう意味において、今振り返れば他の年と比べ「不作」と言えるかもしれません。当時は当時なりに楽しめはしたものの。


「苦手」という認識も変わるときがある
この年ランクインした邦楽は水曜日のカンパネラと乃木坂46。いずれもそれ以前はどちらかというと苦手な部類でした。前者はもともと買おうとしていた某バンドのアルバムを試聴したらあまり良くなくて、隣に置いてあったから腹いせに買い、後者は中古で投げ売りされていたAKBのベスト盤が思いのほか良かった流れで出来心で買ったものでした。些細なきっかけがあれば、苦手なものでもハマるもんです。


敢えて「聴かない」ということ
この頃から音楽の聴き方がまた変わってきたように思います。聴き方というよりは考え方そのものかな。最新の音楽情報を、あれこれ必死に追うのを意図的にやめたんですね。インディー系の最新情報を追うのが楽しい時期もあったけど、聴き方が薄っぺらくなることを危惧したというか。

気になる新人や好きなアーティストの新曲が公開されても、とりあえず聴かない。数週間経ってまだ興味があればチェックしてみる。そんな感じのスタンスに切り替えたら気持ちに余裕ができて視野が広がったし、1つの作品を深く掘り下げられるようにもなりました。


■2017年版 年間ベスト・アルバム2015 TOP10
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No.1 Beach House / Depression Cherry
No.2 Beach House / Thank Your Lucky Stars
No.3 Editors / In Dream
No.4 乃木坂46 / 透明な色 [TYPE-B]
No.5 New Order / Music Complete
No.6 Purity Ring / Another Eternity
No.7 Christine and the Queens / Christine and the Queens
No.8 水曜日のカンパネラ / ジパング
No.9 Youth Lagoon / Savage Hills Ballroom
No.10 Coldplay / A Head Full of Dreams


入れ替わりは1作品のみ。!!! (chk chk chk)が抜けて、リアルタイムで16位だったChristine and the Queensが浮上。これはライヴを生で観たというのが大きいです。



例えば80年代や90年代、00年代初頭の作品であれば後追いで聴くことも多いけど、ごく最近の作品だとちょっと後追いで聴くきっかけが生まれにくいですね。なのでここ数年の2017年版年間ベストには、完全後追いのものはほとんど入ってこない気が。

▼この年はこんな作品もありました
cero / Obscure Ride
Kendrick Lamar / To Pimp a Butterfly
The Libertines / Anthems for Doomed Youth
Björk / Vulnicura
Sufjan Stevens / Carrie & Lowell
Donnie Trumpet & the Social Experiment / Surf
Grimes / Art Angels
Justin Bieber / Purpose
Tame Impala / Currents
Oneohtrix Point Never / Garden of Delete
Jamie xx / In Colour
Archy Marshall / A New Place 2 Drown
Chelsea Wolfe / Abyss






-2016-

■リアルタイム版 年間ベスト・アルバム2016 TOP10
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No.1 The Lumineers / Cleopatra
No.2 Leonard Cohen / You Want It Darker
No.3 Nick Cave & The Bad Seeds / Skeleton Tree
No.4 M83 / Junk
No.5 MATSU MIXU / Lp1
No.6 Pet Shop Boys / Super
No.7 David Bowie / ★
No.8 Seiho / Collapse
No.9 Birdy / Beautiful Lies
No.10 Alicia Keys / Here



■2016年 回顧録
The 地味
去年なのでつい最近ですから、回顧することも何もないですが。ただ、これまでの年間ベスト・アルバムのラインナップと比べて2016年は非常に「地味」だったと思います。「地味」というのは作風とか作品のクオリティとしてではなく、ラインナップとして。例えばいろんな音楽メディアの情報をフォローしている熱心な人ほど、この並びを見て「つまらない」と感じるのではないでしょうか。ここにはかつて僕の年間ベストに登場していたPassion PitやPhoenixのようなキャッチーなポップ・バンドもなければ、Lily AllenやLady Gagaのような女性ポップ・アイコンもいなく、またこの年のメディアの年間ベストを席巻したChance The RapperやBeyoncé、Frank Oceanもいません。去年はこれまでで最も「世間とのズレ」を感じた年でした。ただ、性格上世間とズレている方が嬉しく思ってしまうタチなのですが。

Leonard Cohen、Nick Cave、David Bowie、Pet Shop Boysといったキャリア30年~40年近い大ベテランに、AOR風味の大人びたサウンドに変貌を遂げたM83、「枯れた」ムードをたずさえたハスキー・ヴォイスでカントリーやフォークをベースにした神聖な音楽を鳴らしたThe Lumineers。ランクインした二組の女性ソロ・シンガーでさえ、Alicia Keysは90年代のオーガニック・ヒップホップ作品のような感触のシリアスな作風、Birdyはピアノ/アコギ主体の愁いヴォーカル系ということで、「ラインナップとして」だけでなく、実際サウンド的にもジミシブ系が多いかもしれません。その中で最もフレッシュでキャッチーな音を鳴らしていたのが62歳と57歳のデュオPet Shop Boysだったというのも面白いです。2014年のTM NETWORK、2015年のNew Orderに続き、80年代から活動しているアラ還の歌ものエレ・ポップ/シンセ・ポップ系バンドはいつまでも瑞々しさが失われないのがすごいです。




■2017年版 年間ベスト・アルバム2016 TOP10
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No.1 The Lumineers / Cleopatra
No.2 Leonard Cohen / You Want It Darker
No.3 Nick Cave & The Bad Seeds / Skeleton Tree
No.4 M83 / Junk
No.5 Pet Shop Boys / Super
No.6 David Bowie / ★
No.7 Seiho / Collapse
No.8 Birdy / Beautiful Lies
No.9 Alicia Keys / Here
No.10 Francis and the Lights / Farewell, Starlite!


1作のみ入れ替わり。MATSU MIXUに代わってFrancis and the Lightsがすべりこみランクイン。これも2015年のChristine and the Queens同様、ライヴ・パフォーマンスに惹かれたというのが大きいです。曲自体の良さにあらためて気付かされたというのもありますが。



▼この年はこんな作品もありました
ラブリーサマーちゃん / LSC
Radiohead / A Moon Shaped Pool
Weezer / Weezer (The White Album)
神聖かまってちゃん / 夏.インストール
The 1975 / I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It
Solange / A Seat at the Table
Kanye West / The Life of Pablo
KANDYTOWN / KANDYTOWN
The Weeknd / Starboy




■あとがき
こうして振り返ってみて、当時のものと現在の視点でのものを比較してみると、時期ごとに変化パターンに特徴があるように思いました。

1997-2001は、こういう音楽を聴き始めた初期なのでどれも思い入れが深く、現在に至る嗜好の土台になっていることもあって変化は少なめ。

2002-2006は、世間のトレンドもわかってきた時期だけど、流行に流されつつ聴いていたものはブーム終焉後に冷めてしまうことも多い。その一方で、リアルタイムでは聴いていなかった後追い作品が入れ替わりで多数ランクインしてきた。

2007-2011は、インディー・ロックという流行に左右されがちな音楽にハマったことで、リアルタイムでは物量的に楽しめたけど、それぞれの思い入れが弱かったこともあり飽きも早かった。しかしリアルタイムで30位や40位くらいにいた作品のいくつかは、普遍的な魅力を持っていたりその後の嗜好に大きな影響を及ぼしたりしたため後に評価が高まることになり、大きく上昇して入れ替わった。

2012-2016は聴く母数こそ減ったもののいろんなタイプの作品があり、またその当時から現在まで大きく嗜好が変わっていないこともあって基本的には変化は少ない。


こんな感じです。時期によって情報の集め方や聴く母数など大きな変遷をたどってきましたが、嗜好に関しては根本のところはあまり変わっていないかな?ただやはり時代とともに、「モノ」に関する考えは変わりますね。最近はフィジカルへのこだわりも以前ほどなく、むしろ持っている音源を全部データ化して管理したいと思っていたり。買うものも最小限にとどめているし、情報元はほぼTwitterからのみ。

これからどういう聴き方になっていくのか、全く見当が付きません。今はまだSpotifyなどのストリーミングは「試聴」という扱いでしか活用していないし、ストリーミングで聴いた作品は年間ベストの対象外だけど、そのうちフィジカル音源を買わなくなってストリーミングで音楽を楽しむ時期が来るのかも?そうなると年間ベストはどうなる?答えは風に吹かれている…。

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